はる風かわら版

たかぎはるみつ の ぼやき・意見・主張・勝手コメント・コラム、投稿、原稿などの綴り箱です。・・・

観る・覗く道具

2006-06-10 15:43:38 | コラム記事

 野山へゆくと鳥達のさえずりが賑やかになりました。ところが姿を見つけるのは意外と難しいものです。双眼鏡を買ったけど、さっぱり見えないと嘆いている方がいました。どれどれと覗いてみると、20倍も拡大できるものでした。倍率が大きいと当然覗ける範囲が狭まり、野鳥をとらえるのが難しくなります。6から8倍がお奨めです。

 大型のカメラ販店にゆくと、いろいろなルーペが売られています。写真の粒子や色合いを見るための5倍程度の筒状、三角錐状のものは、観察道具の優れ物です。焦点距離が決まっているので、虫や樹肌の上にかぶせて置くだけで、巨大な怪獣がうごめき、美しく複雑な模様が織り成す別世界な自然がくっきりと覗けます。

 同じ売り場を探すと、透明なガラスが両面にはめ込まれたスライドマウントを見つけることができます。これを使って、本物の花びらや草を挟み込んでステンドグラスのように飾り、日にかざしてみると、それは素敵なネイチャースライドになります。
 小さな葉脈や繊毛、花びらにある模様まで、まるで顕微鏡を覗いているようにその微細な形がわかります。

 実は、自然を見るには肉眼の1倍が最も優れた道具かもしれません。野鳥を見つけるのも、双眼鏡があるからできるのではなく、まずは自分の目なのです。
目は、マクロにもミクロにも焦点を合わせることができるのです。

(北海道新聞 06.05.28 掲載)

コメントを投稿