よっちんのフォト日記

旅先や日常で感じたことを
写真と文章で綴ってみたい。
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念願の「高遠蕎麦」-長野県茅野市:「峠の茶屋 風聲庵 」

2015年08月25日 | 信州(南信)
Soba Restaurant“Fuuseian”, Chino City, Nagano Pref.

さてさて、長野県伊那市の高遠町の散策を済ませた後、ワタクシ達は次の目的地の諏訪に向かって杖突街道と呼ばれる道を進んでいきました。
高遠の街から杖突峠に向かって行くと、街道沿いに趣がある集落が連続しているんですよ


「弥勒」という集落の名前も興味深いのですが、このあたりの集落の入り口には、どの集落でも立派な庚申塔が残っておりました。
庚申塔は信州のみならず、日本各地で見ることが出来るのですが、皆さんは庚申信仰というのをご存知でしょうか


庚申信仰とは中国の道教に日本の民間信仰が絡み合った信仰だと言われていますが、庚申(こうしん、かのえさる)は干支、
つまりすなわち十干・十二支の60通りある組み合わせのうちの一つなんです。
干支でいうと庚申の年は60年に一度やって来るのですが、日々の中でも60日に一度、庚申の日がやって来ると考えられていました。
庚申の日には体内に住む三尸(さんし)という虫が、その人が寝ている間に体内から抜け出して天帝にその人の悪事を告げるるんですよ。
ですので、庚申の日には三尸が天帝のもとに行かないように、夜を徹して飲食をして眠らずに夜を明かすという風習が広まるんです。
江戸時代に庚申信仰が爆発的に広まるのは、ワタクシが思うには贅沢な食事を禁止されていた農民にとって、唯一夜更かしや飲酒が認められたからでしょうね


明治時代になると、政府は庚申信仰を迷信と位置付けて街道筋に置かれたものを中心にその撤去を進めたんです。
さらに高度経済成長期以降に行われた街道の拡張整備工事によって、残存した庚申塔のほとんどが撤去や移転されることになりました。
今も残る庚申塔は、交通量の少ない街道脇に置かれていたため開発による破壊を免れたものなんですね


この集落にはずらりと馬頭観音像が並んでおりました。馬頭観音とは本来はヒンズー教に由来する菩薩さんのことなのですが、
室町時代の頃から国内の流通が活発化し、馬が移動や荷運びの手段として使われることが多くなりました。
これに伴い馬が急死した路傍や馬捨場などに馬頭観音が多く祀られ、動物への供養塔としての意味合いが強くなっていったようです。
急坂が多い杖突街道でも、物資の運搬に多くの馬が利用されたのでしょうね


そんなことを思いながら車を走らせると、長野県茅野市高遠町と茅野市の境にある杖突峠に到着いたしました。
眼下には諏訪盆地、諏訪湖を眺めることが出来るんですよねぇ。素晴らしい光景でありました。
そして、この杖突峠につくと「峠の茶屋 風聲庵 」(ふうせいあん)というお店があったので、お蕎麦を食べることにいたしました


メニューを見て即断即決。ワタクシは念願だった「高遠そば」を注文いたしました。
普通、そばつゆと言えば、醤油と砂糖、みりんで作った返しを使うのが一般的なのですが、高遠そばは違うんですよ。
大根おろしの辛味+こんがり焼いた味噌の風味+ねぎの辛みでそばを食べるのが高遠そばなんですよね


実はこのお店の佇まいを見た時、さほど蕎麦の味には期待していなかったのですが、これが嬉しい誤算でありました。
蕎麦は立派な蕎麦でありまして、本格的な高遠そばをいただくことが出来たんです


なお、福島県の会津などでも「高遠そば」が食されていますが、これは以前に紹介した保科正之が高遠藩から会津藩に格上げされた際に、
多くの家臣とともに百姓たちも連れて行ったことにより、高遠の蕎麦文化が伝わったんですよ。
食文化というのは興味深いですね

峠の茶屋 風聲庵…長野県茅野市宮川3372-27

使用したカメラ:FUJIFILM X-T1


飲食店は建物の雰囲気などで「この店は美味しそう」「ここはダメやろなぁ」とある程度は予想がつくんですよねぇ。
ここのお店は、上記したように店の建物はイマイチでしたが、それもそのはずで茅野市から借りている施設だそうなんですよね。
しかしながら蕎麦を打っている職人さんの腕は確かだと思います。いいお店でした



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35 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
こんばんは (ゆーしょー)
2015-08-25 00:20:30
弥勒という地名は珍しいです。
弥勒菩薩と関係あるのでしょうか。
峠から見る盆地の風景はいいですね。
ここでもソバですね。
ポチ♪
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Unknown (スーさん)
2015-08-25 00:39:47
こんばんは。
高遠そば、独特のおそばだったようでこだわりの逸品なのですね。
会津藩に繋がる食文化のルーツもひも解くと興味がわきますね。
今回も素敵なお写真を見せて頂き、ありがとうございます♪
P☆
返信する
Unknown (YUKA)
2015-08-25 02:10:07
こんばんは^^

見構えで判別できるほどってすごい。
今回も美味しそうだなぁ~~~^^

しかも最高の眺望。
よっちんさんのお出かけは、晴れが多いですよね!
う、羨ましい(笑)
返信する
高遠そば (安人(あんじん))
2015-08-25 06:13:58
お早うございます(*^^*)

歴史にも詳しいので色々と勉強に成ります
(直ぐに忘れる欠点も・・(泣))

高遠そば  そんな歴史が有るのですね

美味しそうです

ポチ(*^^*)
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Unknown (guuchan)
2015-08-25 06:20:25
紋ちゃん ポチッ!

 高遠蕎麦おいしそう~~
素敵な景色の中で、美味しい者が食べられ、
よっちんさんは果報者ですね。

 弥勒とつくことは、信仰深い土地柄なんでしょうね。
(みろく石)ってのも各地にありますね。
 西国巡礼で、馬頭観音様がおあmつりしてあるお寺には、多くの競馬関係者の絵馬がかけてありましたよ。

 庚申さんって子供の頃から、よく聞いていましたし、
(さるぼぼ)も一応、厄除けに部屋に吊るしていますが、由来をお聴きしたのは初めてです。
 ありがとうございました<m(__)m>

 
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Unknown (FREUDE)
2015-08-25 07:51:43
業務上、あちこちの飲食店に行くことが多く
ダイエットのしづらい贅沢な環境に身をおいております

一事が万事、気の利かない店は
味も期待できないことを経験しております
残念なのは気の利かない女性店員が多いことですね
アルバイトなのでしょうけれど味まで阻害します
返信する
Unknown (チーちゃん)
2015-08-25 08:51:48
おはようございます♪
美味しそうなお蕎麦ですね。
その土地でしか楽しめない味
至福のひと時でしたね(*^_^*)
☆~
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Unknown (こた母)
2015-08-25 09:07:14
今日も、勉強になりました。
庚申信仰の事が、よく分かりました♪
期待できない・・・と思ってたお蕎麦が、
思わぬ誤算!
ラッキーでしたね♪
返信する
Unknown (しずか)
2015-08-25 09:55:45
庚申信仰のことは知っています。

この庚申塔凄いですね!

こんなのは初めて見ましたよ。

高遠そば美味しそう!

一度食べてみたいです。

応援☆
返信する
Unknown (hirugao)
2015-08-25 10:19:55
いい景色と美味しいその地の食べ物は最高の
楽しみですね。
お蕎麦美味しそうですね。

今日のお昼はお蕎麦にします(笑)

応援です
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