よっちんのフォト日記

旅先や日常で感じたことを
写真と文章で綴ってみたい。
そう思ってブログを始めてみました。

幻となった鉄路-奈良県五條市:五條新町

2024年08月09日 | 奈良(奈良市以外)
Gojo Shinmachi, Gojo City, Nara Pref.

さてさて、五條新町の町並み散策を続けているワタクシ達なのですが、
「まちなみ伝承館」という建物が新町通りのちょうど真ん中あたりにあるんです


まちなみ伝承館は明治から大正にかけて建築され、民家として実際に使用されていた建物を改修整備して完成した建物です。
施設内には五條新町の歴史や文化などに関する資料を展示し、自由に見学することが出来るんです


中に入るとこんなものが置いてありました。NATIONALのカラーテレビですので、昭和40年代のものでしょうね。
大阪人って松下幸之助のように「低い身分から自らの才覚で出世した人物」を好む傾向があり、
その影響もあってナショナル(松下電器)の家電って大阪ではシェアが高かったように思いますわ


まちなみ伝承館をさらに西に向かうと、コンクリート製の高架橋があるんです。
高架橋は五條新町の町並みをかすめるように延び、吉野川の手前でぷっつりと途絶えています。
これは五條市から紀伊山地を抜け、和歌山県新宮市までを約112キロで結ぶはずだった「旧国鉄五新線」の遺構です


五新線は、かつて、和歌山線の五条駅と紀勢本線新宮駅を結ぶ計画だった国鉄の鉄道路線(未成線)です。
この地図のルートで新宮まで結ぶ予定でしたが、まずは五条駅 - 大塔村阪本(現・五條市大塔町阪本)間を阪本線として、
先行開通させる予定だったんですよ


明治時代から構想が持ち上がっていた五新線の着工は昭和14年でした。
この写真のアーチ橋建設などが進められましたが、戦争の影響で昭和16年に工事が中断します。
戦後は2度の着工を経て昭和40年からは路盤がほぼ完成していた五条-城戸間約11キロはレールを敷かずに自動車専用道とし、
路線バスが走ったんです。ただ、これは暫定的な措置で、城戸から先の阪本まで約13キロの工事が完了すれば、
五条-阪本間は鉄道を走らせる構想だったそうなんです


昭和42年に工事が始まった阪本までの区間ではかなりの設備が完成しましたが、国鉄の赤字がかさみ昭和50年代に工事は中止されます。
城戸までの路線バスは国鉄、JR、奈良交通と運行会社を変えて続きましたが、平成26年に廃止。
バスは整備が進んだ国道を走ることとなったんです


もし新宮までの路線が開通していたとしても沿線は過疎地域ばかりですから乗客は微々たるものでしょうし、
林業資源の運搬も鉄道ではなくトラック輸送に移り変わっていきましたので、廃線になるのは間違いなかったでしょう。
ただ、五新線の遺構は「選奨土木遺産」に認定されました。
地元では有志らが結成したNPO法人「五新線再生推進会議」が今後の有効活用を考えているそうです。
何かイベントのようなものがあれば、ワタクシも参加したいなぁと思うんですよ


この旅館は明治時代に創業したそうで、昔は吉野川に吉野杉の筏を組んで下ってきた筏師がよく宿泊していたそうです


ではでは、かなり汗もかきましたので、ちょっと冷たいものでもいただくとしましょうかね

使用したカメラ:FUJIFILM X-T30


日本各地で鉄道路線が廃線になっています。過疎による人口の減少、そして自動車の普及によって地方では鉄道利用者が激減しています。
採算の取れない路線が廃線になっていくのはやむを得ないと思う反面、公共交通機関を維持していないと地方の衰退に拍車がかかります。
特に赤字路線が多いJR北海道、JR四国などにはもう少し国から支援があってもいいのじゃないかと思うんですがねぇ。



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