ゴールデンウィーク前半の3日間、わたしたちとそらは今後の人生観(犬生観)を変えるような経験をしてきた。
そらはこれまで FDSC の会員として、また交通パトロール隊の一員として、いくつかのイベントなどでふれ愛犬のボランティアをさせていただいている。
そのつながりで今回、日本セラピードッグ協会から、被災地宮城へボランティア活動に行くというお話があり、セラピー犬の見習いとして参加させてもらったのです。
ももが来ているのと重なったので、始めはどうしようか考えたんだけど、この貴重な経験は2度とあることではないので参加しようと決めた。
ももはその間、そらも以前お世話になったことがある富士宮のドッグテールワンさんに預かってもらった。ここは、オーナーさんがやはり犬関係のボランティアをされていて、(すでに被災地にも何度も行かれて、行き場のない犬たちの一時里親探しなんかの活動もしているそう。)ゲージに閉じ込めるのではなくその子の気持ちを考えてくれるので安心して預けることができる。のっぴきならない事情の時は、とても助かるところ。といっても、今回が2度目の利用なんだけど…
ということで29日、5家族7頭で出発。
ただ、隊長の方もおっしゃっていたが、犬を通じて被災地の人を励ますといっても、果たしてどこまでできるんだろう?今日明日を生きるのに必死な状況の中で、どう受け止められるのか?まして、愛犬を亡くされたり、やむを得ずあきらめた人も多くいるはずで、その方たちの感情を思うと、行くことが果たしていいのか?少なからずの不安を抱えていたのはみな同じだったと思う。
行きの道中はものすごい渋滞。那須あたりまでは混んでいてもその先はすくだろうと思ったら大間違い。首都高から仙台までびっちり。皆、同じような思いのボランティア渋滞とでもいったらいいか…
休憩で寄ったサービスエリアでもセラピー活動!?
そんなで現地に入ったのは12時間後の夜8時過ぎ。ほんとは途中で1か所訪問する予定が、帰りに変更することに・・・
本来ボランティアということならテント持参で行くところなんだけど、ペンションらぶりぃさん(わんこOKの宿)のご厚意で格安で雨露をしのいで泊まりながらの活動。
2日目。足を延ばして気仙沼へ。
すでにがれきは集積されて道はできていたけど、テレビで見た映像が目の前に広がる。悪夢を呼んだのは地震ではなく津波であったと、津波の威力の怖さを改めて実感する。
最初の訪問先は恵潮苑という介護施設。
すぐ横の土手で時間調整で待機していると、ボランティアで避難所のお世話をしているという若い女性が、「触らせてください」と近づいてきてくれた。聞けば、自宅は流され、愛犬も行方不明に。その後、乗りあげた漁船の魚網に絡まって亡くなっている姿を発見したということ。「犬を触りたくて仕方なかった。こうしていると癒されます」と、何度も何度もそらの顔や体をなでてくれる姿に思わず涙があふれてしまいました。と同時に、ああやっぱりこういう人もいる。来て良かったんだとほっとした。
施設の中ではお年寄りが集まっていて、その一人一人にそら達はご挨拶。犬を好きな方もいれば、苦手な方もいる。その中を時には顔を近づけ愛嬌をふりまき、でも決してはしゃぐことなくまわるそら。完璧に仕事モードだ。そらは人になでてもらうのが大好き。その大きさにびっくりしてしりごみしていた人も、おとなしく座っているそらに触れ表情を緩めてくれる。
2か所目はまさに避難所の最前線。今だ、自治会による炊き出しが行われている高台の児童館。
眼下には流された集落。ちょうど満開を迎えた桜の美しさが希望への光。
支援物資の積まれている中での子どもたちの笑顔にはこちらが癒される。
3日目は愛の郷(けやき)と仙台楽生園。
特に最後に伺った施設は、中が1丁目北とか2丁目南とかエリア分けされているほど大きな施設。その中を順番に7,8か所回らせていただいた。皆さんの笑顔の数に比例して、当然時間も長くなり、1時間半ほどかかったが、そらは飽きる様子なく、触れあい活動ができた。
時にはしっぽをつかまれてもおとなしい。
寝たきりでもわんこがみたいという人のもとへそっと近づく。
震災によって施設入りを余儀なくされたおばあちゃん。
この3日間。にわかセラピードッグを努めたそらは本当によく頑張ってくれた。心配された余震もなく、常に安定したベストコンディションでミッションをこなしてくれた。そらだけじゃなくて、行った他のわんこ達みんなの癒しパワーはすごいものだった。
ゴールデン2頭が隊長の愛犬。正真正銘のセラピードッグ。背を向けているのがアンディー君、前を向いているのがランディー君。 その前で伏せているのがラブのクレス君。アンディー&ランディーのお友達。 後列左が、副隊長の愛犬。ポメのグラディーくん。 中央が、Mダックスのアンテリーくん。 その右横、白柴のあいちゃん。 そしてそら。
犬をとおして何か自分達にも出来ることを生涯にわたってしていきたいと思っている私たちと、4歳という充実した年ごろになっているそらにとって、今回の経験はまさに次の一歩への自信にもつながるものとなった。そらはともかく、わたしたちはセラピーに関してまだまだ無知の状態。もっともっとたくさん学んで経験を積んで少しでも誰かのお役にたてたらという思いを強めた3日間でした。
最後になりましたが、この貴重な機会を与えていただいた協会長さんへ感謝の気持ちでいっぱいです。さらに、一緒に参加された他のメンバーの方々にもお世話になったお礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。
そして、長い記事を読んでいただいたみんなへありがとうです。
追伸。
ももも元気に戻ってきました。 「10年やってるけど、一番手を焼いたかも…」と言われてしまいました。(汗) そうかなぁ、ラブのパピーにしてはおとなしい方じゃない?やっぱり知らないところで、ももなりにストレスだったんだろうな。これからゴールデンウィーク最終日までたっぷり遊んであげるからね。