歴史とドラマをめぐる冒険

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麒麟がくる・第二十九回・「摂津晴門の計略」・感想・浅井長政がその扱い?

2020-10-26 | 麒麟がくる

まず大雑把な感想
・摂津晴門が「悪代官」みたいになっている。これでは悪役VS善玉になってしまうのじゃが。じゃが!ただ、鶴ちゃんの演技が素晴らしいので許せる。
・足利義昭は駒ちゃんと組んで、小石川療養所みたいな施薬院を作ろうとしている。悲田処か。初めて聞いた。東京近辺にあったらしい。
・光秀の横領は史実的には事実らしいが、取り上げる必要あったのか。ブーメランになってしまうぞ。
・浅井長政が「その他大勢」だった。えっという感じだった。
・なんか「帝」が急にクローズアップされてきたが、十兵衛を尊王の人として、帝のために信長をうつ、とか安易なことはしてほしくない。

1,光秀と横領

史実の明智光秀に寺領押領の「くせ」があったことは事実のようです。丹波でもやっているとのこと。ほら、調べると事実がブーメランになって十兵衛に戻ってきてしまう。いくら幕府の腐敗を描くためとはいえ、この話題はとりあげる必要がなかったと思います。

「明智光秀 残虐と謀略」によれば、元亀二年、光秀は二度にわたり、正親町帝から比叡山領の押領を訴えられているとのことです。綸旨まで出て、信長まで訴えは行ったとか。
文が引用されているので、史料的裏付けもあるようですが、まあ調べないと分かりません。

2,足利義昭の小石川療養所?

足利義昭が悲田処のような無料治療施設を作ったなどという話は聞いたことがありません。私の知識不足かも知れないので、調べてみます。ドラマ的には別にそうしても構わないと思います。ただ、足利義昭の現実逃避の場所になっているようで気になりました。リアルの政治に関わらず、施薬院を目指すということか。大して多くの人を救えるわけではない。「麒麟がくる世」に比べると、スケールが小さい。モデルは東山文化に逃避の場を求めた足利義政なのかなとか考えました。慈善は行為としては立派でも、もっと立派なことが将軍ならできるはずです。

とはいえ「全て設定」なので、これもまた「信長と義昭の距離が開いていく」または「光秀と義昭の距離が開いていく」ことへの伏線かも知れません。でもこのドラマ、「伏線かと思ったら、特に伏線でもなかった」なんてことが多いのです(笑)

下層民対策や撫民という考えは、江戸も四代の徳川家綱ごろからやっと始まるとされています。もちろん戦国大名だって多少のことはしたかも知れません。施薬院全宗がいましたね。義昭と繋がりがあるのか。調べないと私には分かりません。なお療養所である小石川療養所ができたのは徳川八代の吉宗からです。

3、帝のクローズアップ
一体十兵衛はどういう人物として設定されているのかと思います。教養人設定のはずなのに、帝のことを「あまり知らない」という風に描かれていました。イロハさんに言われて、初めて帝のことを考えたという風に描かれます。帝の問題については、道三とも話していたのですが。

光秀を「尊王の人」に仕立て上げ、譲位を迫る信長をうつ。うーん、嫌ですね、その展開は。私の見立てでは「そうはならない」のですが。おそらく光秀にとって正親町帝もまた「麒麟が呼べる人ではない」とされると予想しています。

さて正親町帝は信長の美濃攻略時にすぐ「信長と連絡」をとっています。その内容は「皇室領を保証して欲しい」というものです。誠仁親王のことも言及しています。

行事を行うためには金が入ります。天皇は食うに困るということはありませんでしたが、大きな行事を行うためにはあまりに困窮していました。この時代の帝のリアルな姿はこのようなものです。ただし奥野さんという学者さんによると収入は銭だけで年間7千5百万円。その他もあるので1億円ぐらい。ただし困窮する前はその10倍以上。昔に比べて困窮というだけです。築地塀が崩れているとか、あれは江戸期に流行った作り話です。朝廷式微論といって、すでに否定されています。

イロハさんが正親町帝に優しくしてもらって、美しいと感じていました。「太平記」の場合、足利尊氏は片岡孝夫さんの後醍醐帝を見た瞬間「最高に美しい」と感じます。あれは理由がよく分かりません。あれに比べればイロハさんの実感は経験に基づいていました。正親町帝はたぶん今53歳なので、イロハさんは45歳ぐらいでしょうか。

私は正親町帝についても一通りのことしか知りません。これも宿題です。大河は原則として天皇を描かないし、その方がいいと思いますけれども。

4,えっ浅井長政がその扱い?

長政が信長を裏切る理由、描かれるのか描かれないのか?私はその解釈がどうなるのかとワクワクしていたので、あの浅井長政の軽い扱いに、驚きました。

とりあえず以上です。文句ばっかり書いている。要求水準が高いというか、私の要求水準がおかしい、のかも知れません。

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