昭和46年(1971年) 高校二年生の秋
秋の一日遠足は、
大阪府河内長野へ行くことになった。
誰が言い出したか 「 一日遠足は、私服で行こう 」・・・と、その意見に皆は盛り上がった。
私は、困った。
「 参考書を買う 」 という理由なら金を出して呉れた親父も、
「 着るものが欲しい 」 と、言うと、
「学生服がある!」 ・・・が、定番だった。
だから遠くへ出かける時は、いつも学生服を着たのである。
( 尤も、「 学生服を着る 」 ということ、苦にも していなかったけれど )
クラスで、
「 なんだかんだ 」 と、意見が出たが、
担任 ・木全先生の意見もあって、結局、学生服で行くことになった。
私は、内心、ホッ としたのである。
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「 チャン、チャン、チャ・チャ・チャ、チャ・チャ・チャ・チャ 」
入学以来、学校の外へ出かける度に、
これ ( 建築科学生歌の手拍子 ) をやった。
「 何処へ行っても、これ をヤル、昔から変らない 」
・・・と、担任教師が呟いた。
カツアゲ
昭和46年 ( 1971年 ) 11月12日(金) 午後5時30分
私は、同級生水阪 と共に、
心をときめかせて
学校の外 5分の所にある善源寺楠公園 ( 私の通学路 ) の電話BOXへ向かった。
学校の玄関にも公衆電話はある。
それにも拘らず、ワザワザ、出かけていったのである。
↓ 隅切部分が事件の位置 ・・イメージは1974年
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公園の電話BOXの向いには交番がある。( 巡査は常駐しない )
そして、交番の直ぐ側の交差点にさしかかった時である。
「 チョット、金貸して呉へんか 」
背後から、ヤンキー3人に、囲まれた。
「 エッ?」
「 これから、京都へ行くんや、・・、金貸して呉へんか 」
「 これだけ(10円)しか、無い・・」
丁度、電話を掛けるために手にしていた、10円玉を見せた。
徒歩で通学していた私、普段から現金に エン が無い。
この時未だ、状況を認識していない。
「 時計でも、ええんヤ 」
・・・ここで、初めて 事を認識した。
「 時計、持って無い 」 ・・・と、腕をみせる。
「 ホナッ、お前 」
隣に居た同級生水阪に、矛先が周った。
「 お金、持ってません 」
「 時計、しとるやろ 」
「 困ります 」
奪おうとはしない。手を出さないのだ。
大声も出さない、静かに威圧していく。
横に居る私は、危機感を感じない、緊張もしなかった。
呑気な訳ではない。
主犯の男、なかなか、長けているのだ。 (タケテイル)
他の二人は、無言のままである。
背の高い一人と目が合った、その男は 「 ニヤッ 」 と、笑った。
「 ケガ、しとないやろ 」
とうとう
同級生水阪、時計を外した。
手渡すと、3人、足早に去って行ったのである。
「 カツアゲ された 」
交番で
吾々二人は、学校に帰り、建築科長上野先生に、申告した。
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「 男児二人して、ナサケナイ 」
・・・という顔をされ、本当になさけなかった。
伴われ交番へ ・・ ( 交番は学校の直ぐ隣、通用門の横にある )
交番には巡査が、三人居た。
状況を説明すると、
★★星の巡査、直ぐに質屋を当たる手配をした。
近くの質屋に腕時計を持った3人が来た、・・・という情報が入った。
運転免許証を提示した事ことからバレタ のだ。
犯人の身元が判った。
前科があった。
3人の顔も把握した。
さすが、警察である。
★★星の巡査、逮捕すべく、颯爽と出かけて行った。
交番で待っている間、
★星の若い巡査が、
さっき説明したことを繰り返して聞いては ( 警察 ) 手帳にメモしている。
この巡査、
さっき、★★星の巡査に説明していた時、横で聞いていたはずなのに・・・
「 メモを取る、必要があるのか 」
・・・と、思われることまで書き込んでいた。
入れ替わり、★★星の年配の巡査 ( 鼻の頭が赤い )、
又、同じ様に同じ質問をする。 これにはマイッタ。
しばらくすると、
「 主犯格の男を捕まえた 」
・・・と言って、★★星の巡査が帰って来た。
他の二人は分らない。
都島警察署に連行したと言う。
同級生水阪は、
犯人の確認と、調書を執るため都島警察へ向かった。
私は、
手伝って欲しいと言われ、
パトカーに乗って出かけることに成った。
犯人逮捕に一役、雇われたのである。 (カワレタ)
「 背の高い男 」を、捕まえに行くと言う。
交番からパトカーに乗って、都島橋を渡り、天六 ( 天神橋筋六丁目 ) 方向へ
国分寺か長柄西かに、さしかかった。
「 右折禁止ヤナ 」
「 緊急時のランプ点灯さしたら、大丈夫ヤ、行ける 」
・・・巡査が会話している。
パトカーは、きずかれない様にと、
「 背の高い男 」 の家がある道路の曲がり角で停まった。
「 犯人の家に着いたら、[ 友達です ] 言うて、呼び出して呉れ、出てきた所を捕まえるから 」
名前も教えて貰った。
その時の私は、事の重大差を認識していない。
・・・危険の中に居たのだ。
私は、巡査に、言われるままに従った。
玄関のある立派な家だった。
「こんばんは・・・○○サン、居ますか 」
家の人が出てきた。 姉の様だった。
暗くなって、学生服を着た高校生が訪ねてきたのである。
雰囲気を察したみたいだ。
「 帰ってない 」 と、言う。
私は巡査に報告した。
居ない と判ると、ひきあげだと言う。
姉に何事かも告げずに・・・
私が、パトカーの後部座席に座ると、
窓外に、さっきの姉の顔があった。
姉が、けげんそうな顔をして、覗き込んでいたのである。
警察署で
都島警察署に着くと、
同級生水阪、
刑事と被害届の調書を作成中だった。
「・・・ケガ、しとないやろ・と言われた時、ブルブルと身震いするほど、恐ろしかった・・・」
刑事が読み上げている。
そんなに、大げさに書かなくてもいいのに
亦、大きな声で・・・
捕まったのは、主犯の一人だけで、他の二人はどうなったかは知らない。
こちら側から腕時計を手渡している為、「 恐喝罪 」 に当り、
無理やり奪い取る 「 強盗罪 」 には当たらない。 だから、罪は軽いと言っていた。
私は、手続きの残る同級生水阪より先に、帰宅することになった。
私は、
パトカー に乗って、帰宅したのである。
心ときめかせて、電話するはずだったのに
事が起こらなかったら、楽しかったはずなのに
わざわざ、学校の外へ行って電話をかけようとした
これを、「 チョットした気の緩み 」 ・・・と、謂うのであらう
然し それが因で、その結果、 ソレガモトデ
事件に巻き込まれる事になってしまった
「 運が悪かった 」 ・・・と、笑いごとでは済まされまい
原因は己にあるのだから
ところで 私が、捕り物劇をしていた頃、
連絡を受けた地元 ・大東町の交番の巡査が、私の家に、帰りが遅くなる旨を報告に着た。
「 警察にいるから 」 ・・・と、聞かされた母は
「 うちの息子は、警察に捕まるような、悪い事をする子では無い 」
・・・と、言切った。
「 いやいや、その反対で、された方だ 」 と、巡査・・・・
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昭和46年(1971年) ドルショックの年
一期先輩達は就職難であった。
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TVドラマ 「 俺は男だ!」
タイトルからしたら、
もう一つ物足りなかったが
主演の森田健作に、私が似ているからと
家族全員(5人)で観ていた。
「 心ときめかせて 」
何に そう 「 心をときめかせて 」 ・・・たのかは、
気が向いたら、語ることにしやう。