これ以上海月の呼吸見ていてはだめだひみつもほどけてしまう おとくにすぎな 海月の呼吸。 ふわふわといつまでも。 そんな呼吸を見ていたら、「ひみつもほどけてしまう」ような、ゆったりと緩んでいくこころ。 お題が「上海」とは思えないほど巧みな詠みで、くらげの呼吸に吸い込まれていきます。 全体がくらげのまったり感で、とろけそうな雰囲気。 けれど、その分、普段こころをしっかりと締め、秘密を閉じ込めていることもよくわかります。 |
似合わないことばこぼれて手拭いでぬぐえばしみる上海ブルー 斉藤そよ 上海ブルーって言う青色があるのかな。と思って検索をかけたのですが、どうやらお酒の名前のようです。いい名前ですね。 でも個人的に、この作品の「上海ブルー」は青色そのものであってほしいなぁ。などと、勝手なことを思っています。 私が見つけたお酒には「上海碧」と書いてあるから、きっとくっきりと濃い「碧色」なのでしょう。上海ブルー。 似合わないことばのこぼれた先。 まるで影のように、一点の碧色を落とす。 そんな印象をもって、私の心に残りました。 ひらがなのせいか、全体的にやわらかい雰囲気で、静かにしっとりとしみる作品です。 |
強烈な夏のうねりに飛び込もう上海ハニーのリズムにのって 凛 オレンジレンジの「上海ハニー」という選択がありましたか! しかも、意外にも、題詠の中に上海ハニーを詠みこんだ作品はけっこうありました。 そのなかでも、この作品はカラっとしていて、読んだ瞬間、私の頭のなかにも上海ハニーが流れ出しちゃいました。 「夏のうねりに飛び込もう」というのが勢いがあっていいですね。 ノリノリです。 |
お題を分断して、「海」で始まる言葉を考えるところまではめっちゃ作為的だったのですが、「海月」と思った瞬間、するするとほどけるように出てきたので、自分としてはかなり素直な歌です。あちこちでとりあげていただいてうれしいな。自選10首に入る予定です☆
そうなんです!まったく無理のない雰囲気の作品!!
私の「なふたりん」の苦しさがよみがえります・・・うぅ。本当にお恥ずかしい。(滝汗)
「ほどける」という言い回しがとってもステキですね。
くらげの呼吸のゆるさと、ひみつがゆるんでいく様子、どちらにもすっと繋がり、言葉の流れがとても美しいと思いました。