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浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

死への存在

2020-04-27 20:36:55 | その他
 この世に生まれてきた。しかしその生の終局には、必ず死が来る。生とは、すなわち「死への存在」である。ハイデッガーの哲学。死を見すえた哲学は、ファシズムのそれだという指摘を受けて、私は生が「死への存在」であることを考えないようにしてきた。

 でも、COVID-19 の蔓延は、死を身近に感じさせる。今というこの時を生きていて、ふと死のことを思うときがある。

 今日、『図書』5月号(岩波書店)が届いた。石内都さんの文に、「何か不気味な現実を感じないわけにはいかない。」を発見した。石内さんの知人が「せきを切ったように亡くなっている」ことから続く文である。

 COVID-19 が蔓延する現実に「不気味」を感じる。実際このCOVID-19 により多くの人がこの世を去っている。

 読み進めていくと、齋藤真理子さんの「黄色い本のあった場所」に。そこでは『チボー家の人々』のことが記されていた。

 高校1年の頃読んだ本だ。今も実家の玄関の書棚に並んでいる。もう一度読みたい。でも長編だ。

 日本政府(厚労省の医系技官たち)は、韓国や台湾のように、COVID-19 を抑えきるつもりはないようだ。補正予算にPCR検査の費用をほとんど計上していないという。
 だとするなら、私たちはより死へと近づくことになる。

 21世紀になって、日本は本当に悪くなった。悪い部分が何のためらいもなく露出するようになった。

 冬、雪が降ると、雪に覆われてあたりは急に静かに、美しくなる。今までの日本は雪に覆われていたのだ。
 しかし今、無残にも雪が融けていく。隠されていたものが、見えてきた。
 

〈翻訳〉日本人とCOVID-19

2020-04-27 14:34:24 | コロナ
日本のCOVID-19 の感染数の低さは驚きであり、それが人びとの警戒心を緩めた

 非常事態宣言から1週間以上が経過した4月15日、東京都北東部にある銭湯・コインランドリー「斉藤湯」には、相変わらず多くの客が訪れていた。サウナや湯船を共同で利用する銭湯は、1時間ごとの消毒や営業時間の短縮、生ビールの提供停止などはあるものの、営業を続けている。
 銭湯は、食料品店、薬局、病院などと並んで、政府が必要不可欠な業種としている。劇場や美術館、デパートは閉店し、カラオケ店、パチンコ店、ネットカフェ、ナイトクラブは一時的に閉鎖された。しかし、レストランや居酒屋は、昼間に限られた時間帯ではあるが営業を続けている。また、東京都は国の公的措置として理容店や美容院、DIY店などを閉店させようとしたが失敗に終わった。

 「日本は十分に規制されていない。外出している人が多い」と話すのは、非営利団体「日本医療ガバナンス研究所」の上昌広事務局長。「多くの日本人はCOVID-19 の死亡率は低いと思っている。」

 東京の上智大学学部長で政治学の教授でもある中野晃一は、「人々は『社会的距離』という基本的な原理をほとんど知らないままです。感染の範囲については何も考えていないし、一般の人々はこれまでのところ感染のリスクを適切に評価することができていない」と述べ、「自宅待機の要請は遅すぎた」"と付け加えた。

 世界第3位の経済大国である日本は、のんびりとした遅い対応には驚かされた。最初の症例は1月16日に発表され、2月には北海道で急増し、そこでは1ヶ月間の非常事態となり、横浜でダイヤモンド・プリンセス号が4週間隔離された際にも感染が拡大した。
 日本は社会的距離を保つためのルールを実施していない。その理由の一つは、法律によって閉鎖を強制したり、ルールを破った市民に罰金を科すことができないからだ。現在、全国的に拡大されている非常事態下でさえも、他の国で見られるような強制的な封鎖はできない。
 日本政府は、そのかわりに、風通しの悪い場所や人混み、近距離で会話ができるような場所は避けるように、国民に「自粛」を呼びかけている。これらのスポットは「三密」と呼ばれている。
 それらには、ラッシュアワーの満員電車やバスは含まれていない、政府のアドバイスが、時折ドアを開けておけば十分な換気ができるという印象を与えているため、である。どの企業が開いているのか、閉鎖されているのかという訳の分からないリストと、リモートワークを促進するための企業の消極的な姿勢や準備不足が、COVID-19 が夜だけ襲っているように見せかけている。

 2月から3月にかけて、他の国が数週間にわたり避難していたのに、日本の感染数は低いままだった。3月には全国的に学校が休校となったが、住民は満員の地下鉄に乗って通勤し、ナイトクラブに集まり、寿司屋を埋め尽くした。

 齋藤湯やコインランドリーで、バラ風呂、酒風呂、キャンドル露天風呂、美顔術の予約が続いた。インターネット上では「熱いお風呂やサウナはコロナウイルスを殺す」という噂が広まったが、専門家は「同じ施設を共有することで感染症が増える可能性がある」と警告していた。しかし、3月1日、同社はホームページに手指消毒液の写真とメッセージを掲載した、「みんなでコロナウイルス対策をして乗り越えよう!」。

 3月21日までに、日本では1000人の患者が発生し43人が死亡したが、隣の中国や韓国に比べればまだ少ない。一部の専門家は、日本人は誤った安心感の下で生活していると警告したが、憶測は続いた。日本が大量実験や隔離をしていないのであれば、その封じ込めの秘密は何なのだろうか?
 握手やハグの代わりにお辞儀をしたり、靴を脱いだり、清潔な公衆トイレを利用したり、病気になったときにはマスクを着用するという長年の伝統が、日本の感染率の低さに貢献していると指摘する人もいた。他にも、アクセスしやすい公共医療システムと肺炎治療の歴史を指摘する人もいた。

 春が来ると、桜の開花を祝うために人びとが集まった。あるビデオでは、ピンクの花の下にピクニック用の毛布を敷いて、マスクをしていない人々がプラスチック製のコップから水を飲む姿が映し出されている。お年寄りを含む群衆は、桜の木の下を肩を並べて移動し、ほとんどの人がマスクをしているが、そうでない人もいる。

 3月下旬までに、東京都内でのCOVID-19 の患者数は毎日2倍に増え始めた。日本では4月21日までに1万1500人以上(ダイヤモンド・プリンセスは712人)を記録し、そのうち約4分の1が東京都内だった。政府任命の専門家によると、報告された症例の40%は感染源が不明で、東京都や他の都道府県では1日の症例の50~75%が感染源不明であるとしている。

 「感染症が急増する前に、日本の医療体制は崩壊する可能性がある」とCOVID-19 に関する政府の専門家会議を代表して、尾身理事長は警告した。

 一般的に3週間の入院期間は、季節性インフルエンザの場合のような3~4日の5倍にもなり、急激な病床不足や感染症の入院に対応できない状況になっている。特に地方の病院では、専門の病棟や感染症患者への対応のための訓練を受けたスタッフが不足している。NHKによると、東京都内でCOVID-19 の症状が出た患者は80の病院で追い返されたという。また、東京の日本赤十字社医療センターでは、コロナウイルスの疑いがある80歳の男性のベッドを探そうとして、120の施設に電話をかけている様子が映し出されている。4月20日には、9つの都道府県が病院の定員の80%に達していると報告した。4月20日には、9都県の病院がすでに定員の80%に達しているとの報告があったが、東京都は50%の増床に努めるよう施設に要請している。

 4月3日までは、症状の重症度に関わらず、陽性の患者は入院することが規則で義務付けられていた。これにより、病床の容量を越えている可能性があり、その後、症状が軽い患者は自宅で過ごすか、特別に用意されたホテルに移すことができるように規則が緩和された。
 千葉大学医学部附属病院感染症科のタニグチ准教授は、彼が知っている病院はまだCOVID-19 の患者でいっぱいではなかったが、最近では症状が軽い患者を収容するホテルが設置されたと語った。「家族間で感染が起こったと思われるケースもある」とし、「患者の家族からの隔離として有効に機能することを期待したい」と話している。

 神戸大学の岩田健太郎教授は、「通常なら他の病院で診察を受けるはずの重篤な患者を診ているため、COVID-19 の患者を診ていない医療機関も含め、医療機関が忙しくなっている」と語った。医療用品が十分ではなく、「これは従事者の間で懸念を生じさせている」と彼は言う。「準備不足のために恐怖が拡がっている」と言う。

 「日本ではマスクやガウン、フェイスシールドが不足しています。3Dプリンターで作ったフェイスシールドを提供している会社があるので、これで解決できるかもしれません」とヤグチは言う。千葉大学病院はゴーグルをアルコールぞうきんで消毒して再利用することにしたと谷口は言う。「当院ではN95マスクが不足しています」と付け加えた。「当院では、気化した過酸化水素で消毒して再利用することにしました。 ガウンについては今のところ解決策はない。安価なプラスチック製のレインコートを使おうとしている病院もあります。それもやむを得ないかもしれない」

 専門家の中には、日本の医師が発熱などの症状のある重症者にのみウイルス検査を行うという慣行が、誤解を招くほどの感染数の低さにつながっていると考えている人もいる。
 中野晃一は、現在でも十分な検査が行われていないとし、日本政府の対応には「重大な欠陥がある」と付け加えている。日本医師会が3月に行った調査では、医師からの検査依頼290件が保健所で断られていたことが判明した。

 Safecastは、2011年の日本の津波と福島第一原子力発電所の事故後に結成された国際的な非営利環境データ組織で、COVID-19 の発生期間中ずっとデータを収集してきた。また、ユーザーはコロナウイルスの検査を受けようとした体験談をSafecastの世界的な追跡マップに投稿している。

 ある47歳の男性が3月23日の体験談を教えてくれた。「私は39.2℃の高熱から37.5℃まで約5日間発熱がありました。私はまた、しつこい咳をしていました」と彼は書いている。「彼らは私が中国やイタリアに旅行した誰かと直接接触していたかどうかを尋ね、私はノーと答えたので、彼らは私は低リスクだと言った。」
 男性はCOVID-19 の検査を依頼したが、「難しい検査だと言われた。 私はどうしてかを尋ねた。30分で結果が返ってこないし、高額だと言われた。 医師からは胸部レントゲンを撮られ、肺炎でないからCOVID-19 に感染していないと告げられ、咳止めをもらって家に帰された」という。

 多くの人が検査を受けたくても受けられないと上は言う。また、恥をかかされることを恐れて検査を受けることを恐れている人もいる。検査を受けた人の中には、「公に恥をかかされた」人もいると上は言う。ライブハウスやバー、ジムなどでの「クラスター感染」がクローズアップされ、京都の大学周辺では、大学関係者への悪質な攻撃や差別が行われた。

 4月1日に放送されたNHKのドキュメンタリー番組では、名古屋の南成協病院で働く医療従事者が直面している烙印を明らかにした。

 中野は、人びとの行動は矛盾している、それは政府が安全な手段について確固としたスタンスをもたないからだと考えているという。東京では、ビルや通りが完全に空っぽになっているところもあれば、ショッピングモールや駅で、こんなにも多くの人がお互いの近くにいるとは信じられない、と中野は言う。

 日本の多くの人がウイルスを心配している、感染したり、他の人に感染させたりしたくないので、多くの人が家に引きこもっている。しかし、多くの人は会社に出勤しなければならないため、家にいることができない。中野は「日本は秩序ある社会で、人々は礼儀正しく、群れのように振る舞うことで知られている、無謀でもないし、反抗的でもない、従順でないなんてことはありません、と中野は語った。

 

〈翻訳〉ローテクの日本

2020-04-27 11:47:50 | 政治
 ロサンゼルスタイムズから、日本は「ローテク」と言われている。その通りである。

ローテクの日本では、コロナウイルスが発生する中での在宅勤務が課題となっている

 今月、日本政府がコロナウイルスの蔓延を抑えるために緊急事態を宣言し、在宅勤務を求めると、家電量販店に群衆が殺到した。「社会的距離」がどうでもよくなったのだ。
 多くの日本人は、在宅ワークに必要な基本的なツールを持っていない。ロボット、デザインの精巧さ、ガジェット類の豊富さなど、日本の超近代的なイメージとは裏腹に、日本は多くの点で技術的に困難性がある国である。

 しかし、より大きな障害は日本の企業文化にあると専門家は言う。オフィスではいまだに電子メールの代わりにファックスに頼っていることが多い。多くの家庭には高速インターネット接続がなく、書類には「ハンコ」と呼ばれる印鑑を押してサインしなければならないことが多い。多くの日本人はリモートワークができない。

 イギリスの市場調査会社YouGovの調査によると、日本では比較的高い80%の人がウイルスに感染することを恐れているにもかかわらず、最近調査した人のうち通学や通勤を避けることができた人は18%にとどまっていることがわかった。インドでは、調査対象者の70%近くが家に引きこもっていた。YouGovによると、米国では約30%だった。

 日本におけるテレワーク(在宅勤務)の先駆者であるタザワユリによると、日本の労働者はアメリカ人のように仕事が明確に決まっていないことが多いため、企業はスタッフが常に連絡を取り合い、チームで仕事をすることを期待しているという。「しかし、これは労働者とその家族にとって死活問題です。今できることをすぐにやらなければならない。」

 タザワは、パソコンが使えない場合に、携帯電話だけですぐに在宅ワークを始める方法をオンラインで公開している。彼女はこの方法を "仮説的クラウドオフィス "と呼んでいる。通常のZoom会議のようにチェックインして議論するのではなく、音声のみの接続で、普段はオフィスを共有している社員が同じ部屋にいるような感覚で仕事ができるようにすることを提案している。「コロナウイルス対策にはテレワークが重要です」とタザワ。

 トヨタ自動車やソニーなど日本の大企業の中には、すでに在宅ワーク・オブ・ホーム政策を発表しているところもある。最大の問題は、経済の約7割を占める中小企業である。コーポレートガバナンスの専門家で、日本人向けに在宅勤務に関する無料のウェビナーを提供しているニコラス・ベネスは、関心が驚くほど低いという。
 最新のITシステムがないために、柔軟な働き方、オフィスルール、管理方法、さらにはリモートワークに対する意識の醸成が遅れている。これが労働生産性の低さの一因となっている。

 「テレワークでは、上司とのメールやスカイプでの確認に時間がかかりすぎるため、管理職が従業員を信頼し、意思決定を委任する必要があります」と、マネジメントとガバナンスのトレーニングを提供する非営利団体、Board Director Training Institute of Japanの代表を務めるベネスは述べている。
 日本の企業では、いまだに対面でのやりとりのニュアンスや、「空気の匂いを嗅ぐ」「空気を読む」能力に頼っているとベネスは言う。

 そして、ファクスである。政府の調査によると、日本の家庭の3分の1がファックスを持っているという。ソフトバンクのような未来志向の企業で、このような古風な慣習を嫌う企業でない限り、ファックスがないオフィスを見つけることは稀だ。多くの立派な(公共?)機関では、メールを敬遠し、資料請求などはFAXのみで受け付けることにこだわっている。

 そのため、コロナウイルスの感染数が増えるにつれ、都市部の通勤電車はいつものぎっしり満員状態よりも少しだけ混雑が減っただけである。

 タカミフトシは、自宅で仕事ができると言われた4月中旬までは、事務所で仕事をしなければならなかったという。しかし、今のところ何をすればいいのか、ほとんど指示がないという。そのうちオンライン授業を受けることになるかもしれないという。
 タカミは、雇用主を特定しないように頼んだが、人の命よりもルールを重んじるような職場について、自己分析を行っているという。「私はどんなことに自分の人生を費やしたいのかを考えるために自分の時間をつかうつもりです」と彼は言った。

東京都はいい加減にしなさい!

2020-04-27 11:15:02 | 政治
 東京都は、都民に自粛を求めるだけではなく、みずからがやるべきことをするべきだ。もっと民間検査会社に依頼して、検査数を増やしなさい。

 東京が沈静化しないと、地方にもCOVID-19 が流されてくるのだ。

<新型コロナ>陽性率、都内で急上昇 検査少なく実態見えず

 最悪の政権と、最悪の都知事。

PCR検査で、感染者を取り込め!!

2020-04-27 11:07:13 | 政治
 厚労省の医系技官や「専門家会議」に勝手にやらせる時期は、もはや過ぎている。彼らもすでにどうしようもない事態に追い込まれていることは認識していることだろう。しかし、彼らは誇り高い連中である。間違いは認めない。
 このまま坐視していては、日本のCOVID-19 の感染はとまらない。

 山梨県でCOVID-19 感染者を治療している山梨大学は、重要な情報発信をしている。全国の大学医学部・病院は決起せよ。君らのところには、PCR検査をすることは容易なことだろう。

 山梨大学に続いて欲しい!!

PCR検査体制強化に今こそ大学が蜂起を!

 

【本】新井勝紘『五日市憲法』(岩波新書)

2020-04-27 10:12:35 | 
 本書は、深澤名生・権八、千葉卓三郎らによって、五日市でつくられた憲法草案に関する書物である。著者の新井氏は、指導教官の色川大吉氏らとともに、五日市の土蔵の中から、その憲法草案や、五日市で行われていた学術討論会や学芸講談会などの資料を発見した人である。

 私も若い頃、その土蔵を見に行ったし、書棚には『三多摩自由民権史料集』もあれば、色川さんの本もたくさん並んでいる。色川さんの本は、いずれも魅力があり、文章の背後に情熱が漲っているのがよくわかる。

 本書は、五日市憲法草案についての前半と、それを主になって起草した千葉卓三郎を探索したその経過が記されている後半とにわかれる。後半の方がずっと面白い。

 歴史研究は、よい資料に巡り会えるかどうかが重要な要素であるが、新井氏は憲法草案だけではなく、千葉卓三郎という人物をさぐりあてることができたという幸運の持ち主である。

 本書後半は、そうした探索過程の醍醐味が記されている。とても面白く、一気に読むことが出来る。

 ステイホームの時だからこそ、こういう本を読むことをすすめたい。

〈部分訳〉検査の遅れが析出される

2020-04-27 09:33:26 | コロナ
 Changes in testing rates could mask the novel coronavirus disease (COVID-19) growth rate

 2019年12月に中国でCOVID-19が出現して以降、それは急速に世界中に伝播し、近年の歴史の中で最も重要なパンデミックイベントの1つに至る。COVID-19の流行拡大率の信頼できる推定値を導き出すことは、介入戦略のタイミングと強度を導くためにかなり重要である。実際、多くの研究では、基本的な再生産数R0を推定するために、流行の初期段階で報告された症例の時系列を用いて流行拡大率を定量化している。COVID-19の発生率の日次時系列を用いて、報告された症例の流行曲線が、検査率の変化により必ずしも真の流行拡大率を反映していない可能性があることを示し、これは流行初期の診断検査能力が限られていることに影響されている可能性がある。

 イタリアでのCOVID-19の流行は、調査期間中に指数関数的な成長を示したが、日本では最初の数週間は直線的な成長を示した。このパターンは、日本では流行が拡大しているにもかかわらず、一定の感染リスクに直面していることを示唆していると考えられる。日本では2020年3月5日まで直線的な増加が見られるが、この傾向は、その間に症例数が検査能力を上回ったことを示唆している。実際、2020年3月4日には検査率の急激な上昇が見られ、累積陽性率が大きく変化している。さらに、検査能力の制約から偏りが少ないと思われる入院患者数と重症患者数(挿管やICUが必要)の増加傾向は、指数関数的な増加傾向を示している。

 さらに、アメリカ・カリフォルニア州での流行の軌跡は、2020年3月11日のゼロカウントから指数関数的な増加に続き、不連続的な増加から始まっていることもわかった。この急激な増加は、おそらく、検査の遅れ、報告の遅れ、あるいは流行初期のCOVID-19症例の確定が困難であったことによるものであり、このパターンは一般の人々にも誤解を与えるものであると考えられる。


日本は沈んでいく

2020-04-27 07:56:12 | 政治
 安倍晋三に政権を任せてから、あらゆる数値が下がっている。何度も書いているが、日本はもはや先進国だとはとてもいえない。

 そして今後はどうなるかといえば、安倍晋三の政策の中心にある新自由主義的施策が、日本が今までに蓄積してきた諸々のものを崩してしまい、今後につながるものがまったく期待できない。企業番付でも、日本企業の数はとっても少なくなっている。唯一TOYOTA自動車だけがランク入りしているだけだ。

 安倍晋三にやらせていると、日本は破滅する。

アベノミクス7年の悲劇 沈みゆく日本 教育も科学技術も…世界で競争できない日本の未来は暗い

『さらば 厚労省』の紹介④

2020-04-27 07:35:30 | 政治
 次の記述。

厚労省は新型〇〇〇〇〇〇〇患者について「日本は人口当たり死亡者数が少ない」と発表したが、その出典は「各国政府・WHOホームページから厚生労働省で作成」とある。通常、各国政府・WHOが扱うのは遺伝子検査などによる確定診断のある死亡者数であり、これを人口で割ったものらしい。しかし、「PCR圧力」があった日本では、遺伝子検査を積極的に行わなかったことによって、新型〇〇〇〇〇〇〇という診断がつかないまま死亡したケースが多い可能性がある。日本の新型〇〇〇〇〇〇〇の「死亡者数が少ない」という説は、見かけ上の数字のマジックに過ぎないかもしれない。厚労省が、全死亡数のうちの遺伝子検査実施件数や割合も併記しなければ、信頼に足る発表とは言い難い。・・・・・厚労省が言うところの新型〇〇〇〇〇〇〇患者の死亡率という数字が、見かけ上小さく見えるのは、重症例や死亡例における遺伝子検査実施件数が少なかったために、確定診断のついた死者数が少なかったからである可能性が高いのだ。

 上記は、『さらば 厚労省』254~255頁からの引用である。〇〇〇〇〇〇〇のところは、原文ではインフルエンザが入るが、これにコロナウィルスを入れても十分文意はまったく通じる。

 つまり、厚労省の医系技官は、2009年と同じことをしているのである。PCR検査(遺伝子検査)をさせないのは、今回に限ったことではないのである。あえて数字を少なく見せることによって、厚労省の医系技官がおこなっている公衆衛生や医療政策がうまくいっていると主張したいのだろうか。

 不自然に亡くなっている方のPCR検査に応じてもらえないというNHKの記事を昨夜アップしたが、しないことによって日本の COVID-19による死者数を小さく見せたいのだろう。

 だが、 COVID-19は、新型インフルエンザとは異なり、ものすごく厄介なウィルスである。おそらく厚労省の医系技官の「野望」を、実質的に打ち砕くだろう。だがそれはあまりに日本にとって悲劇となる。

【本】駄場裕司『天皇と右翼・左翼』(ちくま新書)ーその4ー

2020-04-26 18:07:26 | 
 すべてを検討することは出来ないので、部分的に考察するしかない。

 202頁に、アイリス・チャンの『ザ・レイプ・オブ・南京』について、「笠原十九司や本多勝一、梶村太一郎といった共産党陣営の歴史学者・言論人たちもチャンの本に否定的だった」とある。まず私もチャンのその本はあまり評価しない。だとすると、私も駄場さんから「共産党陣営」だと断定されてしまうのだろうか。南京事件について私も研究したことがあり、それを証明する一次史料を発見しているが、こういう事件の研究についてはとりわけ史料批判を徹底的に行い、厳密に史実を確定していかなければならないのだが、しかしチャンのそれは厳密ではない。笠原氏らは、私と同様に厳密な手法で南京事件に迫っているので、チャンの本はあまり評価できないのだ。
 ついでに言っておけば、笠原氏、本多氏、梶村氏、いずれもお会いしたことはあるが、「共産党陣営」であるかどうかまったく知らない。駄場さんはどのようにしてそれを確かめたのだろう。

 さて笠原氏らが何故にチャンの本に「否定的」なのか、駄場さんはひとりで答えを出している。朝香宮鳩彦の命令書(「捕虜はすべて殺せ」)にチャンは着目しているが、笠原氏の南京事件の本にそれについて言及していない(その本は書庫にあり今手元にないが、おそらくその命令書は信用できないものであった?)、笠原氏ら「共産党陣営」は朝香宮のそれを意図的に隠そうとしているのではないかと、駄場さんは疑っているのだ。「共産党陣営がチャンの邦訳を嫌った理由は自明だろう」と。
 嫌った理由は、簡単である。チャンの本が実証的ではないからなのだ。

 204頁には、「共産党系歴史学者の家永三郎」とある。なぜ家永氏が「共産党系」なのか。家永氏は戦闘的民主主義者ではあるが、マルクス主義者ではない。いわゆる史的唯物論を歴史の方法論として採用もしていない。昭和天皇に、進講したこともある。駄場さんは何を根拠にこう断定するのか。
 こういうレッテル貼りが、本書で目につくのだ。

 そろそろこの本について言及するのはやめたいが、最後にただ一つ。それは本書は立体的ではなく、いろいろな事項が並列的(平面的)に並べられていて、体系的に話がまとめられているものではないということだ。

 最近、社会学を学んだ人が歴史に参入することが増えているが、彼らは、歴史学の方法論をきちんと学んでいないので、史料操作や文献の扱い方について、史料や文献には信用度に応じて序列があることを前提にしていない、それらを同列に扱う、つまりすべてを同等の資料として扱ってしまうのである。

 なぜそうなるか。文学部史学科は減らされ、社会学がなぜか幅をきかせる時代になっているのだ。つまりヨーロッパ型の学問は疎んじられ、アメリカ型の学問が尊重されるようになってきているのだ。個別的な研究も、そういう流れの中にある。

 駄場さんも、社会学である。(終わり)

【本】駄場裕司『天皇と右翼・左翼』(ちくま新書)ーその3 ー

2020-04-26 17:27:40 | 
 駄場さんには申し訳ないけれども、本書にはいろいろ指摘したいことがある。90頁に、「吉田茂から池田勇人の宏池会に始まる戦後の「保守本流」と最も近い関係にある新聞社は朝日であ」る、という指摘がある。となると、冒頭の朝日を「左翼」に比定するのはいかがなものかと思うのだが、どうだろうか。

 さて、また92頁には「重要なことは「語られること」より「何を語らないか」にある」とあるが、私にとっては、語らないことは語る価値がないから語らないのであって他意はない。

 96頁から日本ジャーナリスト会議(JCJ)への言及がある。同会議は、「KGBエージェントたちのコントロール下にあった国際ジャーナリスト機構(プラハ)から招待された1956年6月の「世界ジャーナリスト集会」に日本から代表を派遣するため、1955年2月に岩波書店常務取締役兼『世界』編集長吉野源三郎を初代議長として結成された」とある。そうなのか。そういう設立の歴史を、私は知らなかった。その後、駄場さんは、「KGBの系統の日本ジャーナリスト会議」(107頁)という断定を行う。なぜ日本ジャーナリスト会議が、「KGBの系統」になってしまうのか、私には理解できない。KGBー国際ジャーナリスト機構ー世界ジャーナリスト集会ー日本ジャーナリスト会議という関連からそう断定するのだろうが、世界ジャーナリスト集会に参加したから「KGBの系統」とどうしていえるのだろうか。こういう断定は、日本ジャーナリスト会議がKGBと直接何らかの関係があるなら別段、ただ前述の関係だけで断定するのは冒険ではないか。「世界ジャーナリスト集会」に派遣したら「KGBの系統」となるのか。本書ではそういう関係しか示されていないからそう指摘せざるをえない。ついでに言っておけば、吉野源三郎氏は、私がもっとも尊敬する知識人であり、きわめて独立性のある人間である。

 思想aをもつAという人物とつながりをもつBは、思想aをもつ人と推定されてしまうのである。人間はそう簡単ではない。親子であっても、同じ場合もあるが、異なる場合もあるのだ。人それぞれなのである。もしBがAのもつ思想aをもつのなら、AとBの思想の中身を比較して提示しなければ、説得性はない。