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浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

生活保護の「利用者」

2017-04-21 09:46:29 | その他
 今日の『東京新聞』「核心」欄は、小田原市のジャンパー問題を検証する委員会の座長であった井出英策氏へのインタビュー記事である。井出氏らがまとめた報告書は、小田原市のHPからみることができる(生活保護行政のあり方検討会)。

 普通生活保護を受給している人のことを、「生活保護受給者」と呼ぶが、井出氏は「利用者」という。憲法25条で保障されている権利であるから、「利用者」だとする。なるほど、生活保護は「もらう」ものではなく、「利用する」ものだという考え方は新鮮であると同時に権利性を明確に示す。

 井出氏のインタビューの内容は、生活保護制度の考え方を豊かにする。生活保護利用者の弱者性は、自由がないからだ、自由に受給したカネをつかえないところからくる、というのだ。

 なぜ生活保護バッシングが生ずるか、それは「実際には世帯収入が300万円以下の世帯が34パーセントをしめるのに、自分は中間層だと思い込み、そういう人たちが利用者たちを「不届き者」だと思ってしまうところにある、発想を転換することが大事で、医療、介護、教育が公的に誰でも個人的負担なく利用できるようにすれば、生活保護費は少なくなる」とし、報告書には「みんなが頼りあい、幸福を追求するという哲学」をこめたのだという。

 そして井出氏は、なぜジャンパー問題が生じたのか原因を探るなかで、その担当者たちが市役所内で差別されている存在であったことにきづく。差別された者が、外で差別する、という構造。これは社会全般に普遍的にあるものだ。

 井出氏らの報告書は、生活保護制度を考え直す契機となるものだ。

 私はダウンロードして、その考えを広めていこうと思う。小田原市のジャンパー問題が、有益な結果を生み出した。


 

静岡県知事選

2017-04-21 09:05:51 | その他
 静岡県知事選に、現職の川勝平太が立候補することとなった。彼は民主党などの支援で知事の座についたので、民進党系の知事だとされ、自民党などから強い批判を受けてきた。

 しかしなかなか立候補を表明しないので、民進党議員の渡辺周や細野豪志が立候補の意思を様々なかたちで表明してきたが、川勝が立候補することで、彼らの立候補はなくなった。自民党は対抗馬を立てようとしてきたが、勝てる候補が見当たらないようで、細野が立候補したらそれに乗ろうとしていた。自民党は候補者を立てられないだろうが、ひょっとしたら細野が離党して自民党推薦で出馬するかもしれない。

 そもそも民進党議員には、自民党から出馬したかったがすでに自民党の候補がいるために民主党に入って立候補するという輩が多かった。要するに、議員になるためには、何党だっていいのだ。彼らの目的は、ただ議員になることだけだ。議員になって何かをしようという意思は、かたちだけである。

 なぜそういうことが行われるかと言えば、それは小選挙区制だからだ。中選挙区であったなら、自民党から複数が立候補しても当選する可能性はある。しかし小選挙区制では、各党はひとりだけを立候補させるから、あたらしく立候補する者は他党からかあるいは無所属ででるしかない。政党の後援があれば候補者も有利なので、とにかくどこの党でもいい、自分を支援してくれる政党を獲得する。候補者の中には、政党を渡り歩く者があんがいいる。

 いずれにしても、川勝が当選するだろう。彼はべつによいことをしているわけではないが、ただひとつ、浜岡原発の再稼働には消極的であることだけがよい。