『朝日』、『毎日』、『日本経済新聞』などは全国紙、『中日』、『北海道新聞』、『中国新聞』などはブロック紙、そして県ごとに発行されているのが県紙である。それ以外に、地域紙という新聞がある。
今月号の『Journalism』に、藤森研氏が「地域紙」について書いている。藤森氏が注目するのは、東日本大震災の被災地で発行されている、『石巻日々新聞』などであるが、そうした地域紙の役割に光を当てている。
私も、地域紙の役割を書いていこうという思いを持っている。というのも、静岡県の様々な運動を調べていて、その運動に地域紙が大きな役割を果たしていることに気付いたからだ。
有名な沼津三島コンビナート反対の闘いでは、『三島民報』、『沼津朝日』がなかなかよい報道をしていた。こうした地域紙は、静岡県では東部に多い。西部は、掛川市の『郷土新聞』くらいで、浜松市にはない。
県紙である『静岡新聞』は、きわめて保守的な新聞として戦後「活躍」してきた。今は少しその傾向が薄められているような気がするが、本質的には変わらない。県内の政治的・経済的な支配層との結合が強い新聞である。
そういう立場の県紙である『静岡新聞』であるから、県庁や経済界などいわば権力からの視点による報道となりがちである。また県内全体の記事で埋めていくわけであるから、一つの地域の問題を詳しく報じるということは難しい。
コンビナート反対闘争では、地域紙が、地元の人々の懸念など住民の意識や動きを報じ、また市や市議会などの動きも詳細に伝えていた。それが反対闘争をする人々の情報共有に大いに役立っていたのではないかと推測している。
地域紙は、地域に密着しているが故に、その地域の問題点などを取り上げていけば、それなりの力を発揮するのではないかと思う。私も資力があれば、発行したい気持ちを持っている。