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浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

最敬礼

2013-10-09 22:40:48 | 日記
 外出先でテレビのニュースを見ることがある。最近、大企業幹部が頭を下げている場面にしばしば出会う。みずほ銀行、JR北海道、どこかの格安航空会社・・・。

 小泉政権時代、「民間でできるものは民間へ」ということばがはやった。地方自治体などの業務が、様々なかたちで民間企業に移行している。民間委託、指定管理者制度。しかし、何でもかんでも、民間企業に任せることはよいことなのか、大いに疑問である。民間企業の不祥事を見るまでもなく、あるいは低賃金の雇用者(公務労働者)を増やすことになるということだけではなく、本来的に民間企業に任せてはならない分野がある。

 たとえば浜松市の図書館はどこの窓口に行っても、民間企業の人が応対する。中央図書館は指定管理にしないと言われていたが、貸出・返却のところにいるのは民間企業の方。とても丁寧な応対だが、ボクはなじめない。型にはまった業務としての応対、といってもいいだろう。

 指定管理の前は、係員と本の話をしたりしたが、今はそういう雰囲気はない。貸出・返却に関わる業務内容だけの応答だ。図書館はそうであってよいのか、とおもう。

 静岡市立図書館は、指定管理にしていない。市の直轄である。

 図書館法という法律がある。その「図書館」の定義は、「「図書館」とは、図書、記録その他必要な資料を収集し、整理し、保存して、一般公衆の利用に供し、その教養、調査研究、レクリエーシヨン等に資することを目的とする施設」とある。

 図書館は、本の貸出・返却だけではなく、教養や調査研究に資する文化の殿堂であるべきだ。

 そして第三条。こういう広汎な「奉仕」は、特定の図書館に限定して、それ以外は貸出・返却に徹するということなのだろう。

第三条  図書館は、図書館奉仕のため、土地の事情及び一般公衆の希望に沿い、更に学校教育を援助し、及び家庭教育の向上に資することとなるように留意し、おおむね次に掲げる事項の実施に努めなければならない。
一  郷土資料、地方行政資料、美術品、レコード及びフィルムの収集にも十分留意して、図書、記録、視聴覚教育の資料その他必要な資料(電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られた記録をいう。)を含む。以下「図書館資料」という。)を収集し、一般公衆の利用に供すること。
二  図書館資料の分類排列を適切にし、及びその目録を整備すること。
三  図書館の職員が図書館資料について十分な知識を持ち、その利用のための相談に応ずるようにすること。
四  他の図書館、国立国会図書館、地方公共団体の議会に附置する図書室及び学校に附属する図書館又は図書室と緊密に連絡し、協力し、図書館資料の相互貸借を行うこと。
五  分館、閲覧所、配本所等を設置し、及び自動車文庫、貸出文庫の巡回を行うこと。
六  読書会、研究会、鑑賞会、映写会、資料展示会等を主催し、及びこれらの開催を奨励すること。
七  時事に関する情報及び参考資料を紹介し、及び提供すること。
八  社会教育における学習の機会を利用して行つた学習の成果を活用して行う教育活動その他の活動の機会を提供し、及びその提供を奨励すること。
九  学校、博物館、公民館、研究所等と緊密に連絡し、協力すること。


小耳に挟んだこと

2013-10-09 09:29:30 | 日記
 ボクの耳は小さい。耳が小さい人は金が貯まらないといわれる。そうかもしれない。別に生きていけるだけのお金があれば、それでいい。ただし、町田の住人ような生活はごめんだ。

 さて、最近耳にしたこと。耳は小さくても、聞いたことが重要であるかないかは理解できる。

 富士山が「世界遺産」になるというニュースで湧いていた。清水にある三保の松原もそれに含まれることになり、あまり乗り気でなかった静岡市は驚いたようだ。

 清水の三保海岸も、久能海岸と同様に、海岸侵食が激しい。その理由は、安倍川からの土砂の供給が減ったからだ。ではなぜ減ったのか。

 それは先の東京オリンピックにさかのぼる。

 行論には無関係だが一応指摘しておく。オリンピックというのは、ある種国威発揚の手段でもある。北京オリンピックの時もそうだが、外国人に見せたくないものを取り除く、貧民を追い出す、そして見せたいものを建造していく。次のオリンピックでもそうした動きがでてくるだろう。

 東京オリンピックの時も同様で、まさに東京は大きく改造された。高速道路が建設され、競技場が整備されれるなど、工事、工事の連続であった。

 そこで必要とされたのが、砂利だ。

 安倍川にはダムがない。

 天竜川河口付近の遠州灘海岸も海岸侵食が進み、その対策を県が行っているが、その対策は海岸の破壊であると、このブログでも書いたことがある。天竜川の土砂の供給がなくなったのは、ひとえにダム建設による。佐久間ダム、秋葉ダムなど、天竜川にはダムが多い。ダムが土砂の供給を止めるのだ。

 では安倍川は?

 東京オリンピックの東京改造のために必要な砂利が、安倍川から大量に採取され、貨車で次々と運ばれていったそうだ。東京オリンピックのために、安倍川の土砂が奪われた。それが原因だという。

 だから現在は、安倍川河川敷からの砂利採取は禁止されているという。だったら上流からの土砂の供給は復活しているのかというとそうでもない。安倍川の流水が少ないので、砂利が運ばれないというのである。静岡市の飲料水は、安倍川の伏流水だそうだ。取水量が多く、したがって川面には流水がみられないのだという。

 忘れてはならない。

 東京オリンピックで日本が喧噪に明け暮れたとき、地方から資源が奪われ、地方が疲弊していく。また同じような構造が繰り返される。

 今回のオリンピック招致活動も地方からみていると、シラケてくる。地方を踏み台にして、あるいは地方を犠牲にして、東京が栄える。その招致活動を、メディアは過去のオリンピックの写真展まで開いて持ち上げようとする。ジャーナリズムからの距離は離れるばかりだ。

 こういう問題に切り込まないで、何のジャーナリズムかとおもう。だがいつか、富士山の世界遺産ー三保の松原ー安倍川ー三保海岸の海岸侵食ー東京オリンピックを結ぶ調査報道がなされるにちがいない。


 

人間として・・

2013-10-09 06:37:57 | 日記
 ヘイトスピーチ。新大久保や大阪などで繰り広げられている「在特会」なる団体が叫ぶことばは、尋常ではない。憎悪そのままのことばが、吐き捨てるようにつぎつぎと叫ばれる。口汚いというレベルをこえ、聞いていて気分が悪くなるほどだ。

 彼らは自らが行っている醜悪な行動をインターネットで堂々と公表している。ボクもそれを見たが、あまりにひどいと思わざるを得なかった。なぜこんなにもひどいことばを公衆の面前で吐けるのか。

 コリアンから個人的にひどい目に遭わされたことがあるかのような憎悪むき出しのことばだ。

 しかし、そういうことはないようだ。ただ単に、不確かな、根拠なき「在日韓国・朝鮮人に特権がある」という情報を盲目的に信じて行動しているようなのだ。

 この種の悪罵は、しかし匿名性の強いインターネットの「世界」では、ありふれたことだ。ボクも別のブログで、あまりにひどい悪罵、もう悪罵としか言いようがない書き込みをされたことがある。あるいは二チャンネルでの書き込みは、「在特会」なる団体が街頭で叫ぶ内容と軌を一にしてる。インターネットの「世界」で記されている悪罵が、そのまま街頭に進出してきたといってもよい。

 この種の悪罵を書き込んだり、街頭で叫ぶ人々は、もうそういうことばをつかうだけで、人格が疑われる。グローバリズム、国際化などのことばが日常的につかわれる21世紀に、こういうヘイトスピーチが、白昼堂々と公衆の面前で行われるようになったことを、ボクは憂う。
 
 以下は、『毎日新聞』社説である。


社説:ヘイトスピーチ 差別許さぬ当然の判決

毎日新聞 2013年10月08日 02時35分


 特定の人種や民族への憎しみをあおるヘイトスピーチ(憎悪表現)と呼ばれる言動の違法性を認める初めての司法判断が示された。東京や大阪などの在日韓国・朝鮮人が多く住む地域などで繰り返され、社会問題化しているこうした行為の歯止めにつながることを望みたい。

 朝鮮学校を運営する学校法人が、「在日特権を許さない市民の会(在特会)」や会員らに損害賠償などを求めた訴訟で、京都地裁は1226万円の賠償を命じ、学校周辺での街宣活動も禁止した。「密入国の子孫」「朝鮮学校をぶっ壊せ」と怒鳴り上げ、その様子を撮影した映像をインターネット上で公開したことが業務を妨害し、名誉を傷つける不法行為と認めた。当然の判断だ。

 判決はさらに、一連の言動が国連の人種差別撤廃条約が禁止する「人種や民族的出身などに基づく区別、排除」に該当すると認めた。このような差別行為であれば条約に基づき、損害も高額になるという判断も示した。

 在特会側の街宣活動は、学校が隣接する公園を、管理者である京都市の許可を得ないまま運動場として使っていることを非難するものだった。しかし判決は、事実を示す内容が含まれていたとしても、在日朝鮮人に対する差別意識を世間に訴える意図があることは明らかで違法とした。演説も公益目的のない侮蔑的発言としか考えられないと述べ、「政治的意見を述べる自由は保護される」という在特会側の主張を退けた。

 表現の自由は基本的人権の中でも重要な権利であり、デモによる意見表明は尊重されるべきだ。しかし、ヘイトスピーチは、攻撃の対象となる在日韓国・朝鮮人らの尊厳を傷つけ、外国人に対する偏見と排外主義的な感情も助長しかねない。

 韓国や中国では、日本でのデモなどの様子がネット上で紹介され、反日感情を刺激している。一部の人たちの言動が日本と韓国や中国との関係悪化を助長することは避けなければならない。

 日本も加盟する人種差別撤廃条約にはヘイトスピーチに対する処罰規定がある。ヨーロッパなどには刑事罰を科す国もあるが、日本はその部分を留保している。新たな法規制をすれば、表現の自由をおびやかし、行き過ぎた言論統制を招く恐れがあるためだ。判決は現行法でもヘイトスピーチに対応できることを示した。

 判決は、人種や民族などの違いに基づく差別は許されないという常識を改めて強調した。個人の尊厳を傷つける言動はいけないという社会的合意を広げていくことが大切だ。教育の場などを通じて人権感覚を育てる取り組みを充実させたい。