通訳案内士の気ままな生活

現役通訳ガイドのブログです。プライベートから気になる収入などの話まで!?包み隠さずお話します!

グレーな求人

2011-08-14 22:54:54 | 通訳案内士のあり方
近年インバウンドが注目されているということもあり、
ニワカ外人ツアー会社が増えています。

とある求人サイトで以下の求人を発見しました。

うたい文句:
外国人観光客に浅草・渋谷・新橋・有楽町周辺の「美味しい」「楽しい」スポットをご案内するお仕事。留学経験や習っていた英会話・・・当社で活かしてみませんか?人気の旅行業界に携われるチャンス☆元気に東京の良さをアピールして下さい!!

募集職種:
”英語”を活かせる☆ツアーコンダクター

仕事内容:
最大10名の少人数ツアーで、移動には徒歩や電車などの
公共交通機関を利用します。ツアー中の言語は英語。
日常英会話ができればOKです!あとは簡単な事務作業もお任せ
します。ツアーの企画に携わるチャンスもありますので、
あなたのおすすめスポットがあれば、是非教えて下さいね!

資格:
通訳案内士(通訳ガイド)
日常英会話ができる方
▽こんな方、大歓迎!!▽
★海外留学や海外生活の経験をお持ちの方
★業界経験者(もちろん未経験も大歓迎)
★「旅行大好き」「語学力を活かしたい」方

出典
とある求人サイトフロムA
募集期間終了なのでリンク切れかもしれませんが・・・

さてさて、これの何が問題かというと
資格の通訳案内士というところですが、はっきり言って後付です。
先週見たときはありませんでした!
誰かに指摘されたのでしょう。

まあ、求人の内容を見ていただくとあやしいのがわかりますが、
「日常英会話ができればOK」
「日常英会話ができる方」
というところです。
ガイド試験に合格している人で
日常会話もできない人はいません。
”修正”前の求人から受けた印象では

ちょっと留学経験があって英会話がちょっとできる学生さん、
無資格でOKなので誰でも応募して下さい!

という内容です。
ちなみに後付された「通訳案内士(通訳ガイド)」という行を
隠して読んでみましょう。
良くわかると思います。

そもそも合法に求人するのであれば
職種:通訳案内士
資格:通訳案内士国家試験合格”必須”
   資格が無い方の応募はご遠慮下さい。
というはずですよね。

しかもツアーコンダクターというところも誤解を与えます。
一般にツアーコンダクター=添乗員ですね。、
そもそも旅行業者でないものが
添乗員を募集するのにも問題があります。
添乗員も資格が要るものですからね。
通訳案内士=英語を活かせる添乗員
いかにもバカにしてますね。

どうやらこの会社はイギリス人と日本人の2人で”ノリ”で
始めた会社のようですが、
もう少し法令関係をきちんと調べてから
開業すべきですね。

ガイドの皆さんは間違っても応募しないでくださいね。
もし応募するなら、
面接でお説教してください。

創業者のお一人はスクーバダイビングのインストラクターをされているようです。
今回の求人をスクーバに例えましょう。

募集職種:スクーバダイビング、インストラクター大募集☆
資格:泳ぐのが好きな方。
   25m泳げればOKです☆
   インストラクター資格はあったら歓迎。
   無資格でも元気で明るければ、大丈夫です!
というような感じでしょうか?
自分の職業をそのように言われたらどう感じるでしょうか?
   

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ハロー通訳アカデミ閉校

2011-01-19 17:51:47 | 通訳案内士のあり方
通訳案内士には衝撃的なニュースです。
通訳案内士国家試験の受験予備校最大手の
ハロー通訳アカデミーが閉校するそうです。
通訳案内士なら誰でも一度はお世話になる学校です。
無料サービスなどもあるので、会員でなくても
お世話になった方も多いでしょう。
最近では新しい学校も台頭してきていますが、
植山学長ほど通訳案内士試験に入れ込んでいる経営者はいないでしょう。
あまりの熱の入りように、
思わず引いてしまう人もいるでしょうが…
とにかく貢献度はナンバーワンです。

最近ではなかなかまとまりのない現役ガイドに代わり
先頭を切って通訳案内士法改悪の反対運動を展開されていました。

今回閉校の運びになったのは
まず間違いなく改悪の流れによる
受験者の減少が原因でしょう。

観光庁は資格やガイドの質は維持しつつ自由化すると言っていますが、
権威の下がった、必要の無い資格取得に時間やお金をかける人がどれだけいるのでしょうか?
私たちは多額の資金と膨大な時間を自己投資し試験に合格しました。
就業機会、収入だけでなく、独占業務や、名誉まで無くなってしまったら
誰も投資しません。
観光庁や旅行会社は楽観的過ぎます。
仕事がないのは個人の努力が足らないからと批判する人もいますが
全くの見当違いです。
個人の考え方はシビアです。
将来性の無いことには投資しません。
この業界に入って来すらしないのです。
優秀な人材が確保できなくて困るのはガイド個人ではなく
観光庁を含めた旅行業界全体なのです。
優秀な人材を育てて、担ってもらおうという努力が全く足りません。

これは通訳案内士資格の崩壊の第一歩です。
ハロー通訳アカデミーの閉校は、
植山学長の捨て身の警告とも言えるでしょう。

この学校が閉校することで、あきらかに受験生のレベルも下がります。
他の学校はまだまだニッチで業界を背負っていく力はありません。
そもそもハローの広告を見て
ガイドを目指し始めた人がほとんどだと思います。
それが無ければ、ガイド自体の存在も知られずに
ガイドを目指す人もさらに減るはずです。

勉強中も卒業後も強い理念の基に導いてくれた学校が無くなるのは本当に残念です。
僕もハローのおかげでガイド資格に出会い
英語の勉強の仕方を教わり
そして卒業後もハローのオリエンテーションで
どうやって稼動するかを教わり、
ハローからの求人情報で
今の会社と契約しガイドデビューできました。
ハロー以外でそこまで無料でやる学校、団体はありません。
非常に残念です。

植山学長、本当にお疲れ様でした。

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10/25日経新聞のコラム

2010-10-27 14:13:02 | 通訳案内士のあり方
10月25日(月)の日本経済新聞の法務インサイドというコラムで
インバウンド業界の実態に警告を促す記事が載りました。

要点は
①中国からのツアーは日本の業者を通さない手配が多い。
②ランドオペレーターという手配業者の開業は自由。取り締まりできない。
③安売り競争で、5泊6日ツアーが50000円ほどで売られている。
④利益が出ないのでキックバック(売上げに応じた謝礼)の多いお土産屋さんに立ち寄る。食事の質を落とす。
⑤観光庁は外国の旅行会社が手配した日本の旅行業者が絡まないツアーは品質保護の必要無しとの立場。(自然淘汰に任せる)
⑥通訳案内士法違反の無資格ガイドも野放し
⑦無資格ガイドを法的に認めて、研修などで本質確保をしようとしているが具体策は無し。
⑧単に野放しな状況を追認するに終わる可能性が高い。
⑨「ガイドは大げさに言えば、国を代表して日本の文化や精神を外国人に伝える仕事」東洋大学国際観光学科島川准教授
⑩自然淘汰などを待っていては他国との観光客誘致の「観光大競争」に出遅れてしまう。

ということです。
いい記事だと思います。強いて言えば、海外からの違法ガイドが格安もしくは無償(お土産屋さんからの謝礼だけで数十万もらえるから)でガイドをしていて
彼らとの不当な価格競争のおかげで
正規の通訳案内士の数は十分に居るにも関わらず
稼動ができない人が多いという現状を
正確に伝えていただければ完璧です。

この問題をもっとマスコミに取り上げていただき
みなさんに考えていただきたいです。


中国人業者とのルール無視の価格競争
    ↓
旅行業者、通訳案内士ともに厳しい状況
    ↓
質を低下させて生き残りの価格競争するしかない


これが正しい状況でしょうか?
監督官庁の存在意義は?
監督官庁や無駄な法律が無ければ、私達も反撃できますが
法やルールを守っていたら、私達は不戦敗です。
無法状態で戦うよりも
全員が法を遵守し、適正な競争が行われるように
監督官庁が仕事をするべきでしょう。


法整備

適正な運営

適正な競争

顧客、旅行会社、通訳案内士とも健全な状態

これが一番いいですよ。


通訳案内士の必要性が軽視されれば
通訳案内士は廃業し、他の仕事をするだけです。
そして無資格の誰でもできちゃう新ガイドだけが残ります。
彼らが新しい日本の顔になります。


旅行業者の方は価格競争が激化すれば自分がリストラされるという認識はあるのでしょうか?
レストランや、ホテルの方、バス会社さんや観光施設さんも今は
「ガイドさんからお客さんに○○を注意してください」
なんて言えますが
日本語の通じない外国人だけのマナーの悪いグループに
通訳案内士無しで対応できますか?
そして、そんな野放しな観光客が街中に溢れることを
一般の皆さんはどう思いますか?

通訳案内士は観光庁や都道府県知事の監督の下
正規の旅行会社とともに法令を遵守してツアーをします。
クレームなども真摯に受け止め対応する義務があります。

無資格業者や無資格ガイドには
何の責任もありません。
旅行会社だけでなく
コンプライアンスを謳っている
大手のバス会社さんや、レストランさんも
法令無視の業者と取引するということは
どういうことなのかしっかり考えてください。
これは国民の皆さん全体の問題です。

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1964年の通訳案内業

2010-07-15 09:06:24 | 通訳案内士のあり方
1964年と言えばガイドのみなさんならすぐお分かりになると思いますが
東京オリンピックの開催された年です。

当時の大変面白い資料を発見しました。

昭和39年の運輸白書です。
こちらに「外客接遇に関する現状と問題点
という項目がありそこで当時のインバウンド観光に関する施策と
通訳案内業についての分析、課題などが書かれています。

読んでいて思うのは
もともとの国家資格化の目的は
「わが国においては,昭和24年に,ガイドの資質,語学力,一般常識および観光に関する特殊知識の水準を高め,外客接遇の向上を図ることを目的として通訳案内業法が制定さ札同法によりガイドの国家試験,就業に関する免許等の制度が定められた。」
とあるように、ガイドの質を高めるための制度化だったことが分かります。

現在では観光庁は、外国人観光客保護?のために作られた制度で、現在は時代遅れと説明していますが、元々の目的はあくまで国を代表するガイドの資質向上のためというのがうかがわれます。
ガイドなんて誰でもできます。
でも質を確保するのは簡単ではありません。
敢えて国家資格化したのはきちんとした理由があるのです。
当時の担当官はそれをよく理解されていたようです。

まあ、60年も経ってしまえば創設当初の意図を覚えている人もいないので、
観光庁が都合のいいように解釈してしまうのも仕方ないのかもしれませんが。

さらに共感できるのは
「ガイドは,外客に快適な旅行をさせるためにきわめて重要な役割を果たすものであり,その資質能力を高めることが必要であることは先に述べたところであるが,そのためには,通訳案内業試験や研修等の諸施策のみならず,それとともにガイドの収入状態を安定向上させ,素質ある者をガイドに専念させうる体制を作ることが必要である。この点については,来訪外客数の増大やオフシーズンの解消を図る等,国の基本的な観光政策の確立にまつ面が大きく,前途多難な問題であるが,とりあえず,ガイドの主要な使用者である旅行あつ旋業者においても,その提供する旅行あつ旋サービスの良否がガイドの分担する旅行案内サービスの良否による面が多いという点にかんがみ,それぞれ自己の企業内において優秀なガイドが安心して働けるような体制を確立していくことが必要である。」
「現在の試験は合格者がガイド業務に従事することができる最低限の能力を保証するものであつて,実際に業務を行なうには,さらに,広い知識と経験が要求される。これには経験と研修が必要であるが,現在はガイドについては弁護士,医師,公認会計士等の国家試験に通例みられる研修又は見習の制度等がなく,わずかに船拍振興会からの補助金の交付をうけ,日本観光通訳協会が主催して,その年の合格者を対象に短期間の研修を行なつているにすぎず,現在は主として仕事をしながら経験を積むという方法によつている。今後ガイドの資質をいつそう向上していくためには,この研修制度を拡充し,既成のガイドに対する講習制度を設ける等の措置が必要である。」

という記述です。
当時の担当官は大局に立ってものごとを考えていたというのがわかります。

現在では、ガイドが生き残っていくには
ガイド個人がもっと努力をすべきというガイド個人に責任転嫁する議論が多いですが
当時は国がきちんと観光政策を実施し就業機会を増やし
使用者である旅行業も優秀なガイドが安心して働ける体制作りに責任があり
また他の国家資格と同じく実務経験を積む研修制度の確立が必要

というふうに、国や旅行業者の責任を明確にしています。

また試験についても観光庁の案では
旅程管理能力を試験で試すと言うばかげた案もあるそうですが
それこそ研修や実務で身に付けて行くべき分野で
まだ素人な人を試験で知識だけ試しても何の意味もありません。
資格を取ったらすぐ誰でもプロとしてみなされ
OJTの機会も与えられないというのが問題なのです。

現在の、規制緩和、地方分権という流れにあって
国もだいぶ無責任化したものだなぁと思います。
また企業も、コスト最重視で人を育てることを止めてしまいました。
当時はきちんとした理念をもって皆さんお仕事をされていたことでしょう。

ただ、こういった問題点が50年前から認識されているにもかかわらず
いまだに改善されないまま同じ議論が繰り広げれているのは残念なことです。

また当時ならではのエピソードとして
「本年度の合格者934名のうちには,通常の通訳案内業試験の合格者のほか,オリンピック時における来訪外客の増大に対処するため,外国に2年以上居住した経験を有する者を対象として実施した,臨時通訳案内業試験の合格者199名が含まれている。」
という記述もあります。
オリンピック対応のために特別枠も設けたんですね。
なんだか将来に希望溢れる時代って感じがします。
2016年の東京オリンピックも実現すれば良かったですね。

なんだか現代社会の薄っぺらさを感じてしまいました。

みなさんはどう感じるでしょうか?

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総選挙

2010-07-12 10:44:00 | 通訳案内士のあり方
参議院総選挙が行われました。

民主党には厳しい結果におわりましたね。

自民が勝った形になりましたが
かといって自民に期待していると言うよりは
民主への反発の現われのような気がします。

僕は消費税値上げには賛成です。
いずれはやらなければいけないこと。
借金を増やすより、財政を再建するほうがいいし、
公共サービスが充実したほうがいい。

個人的には与党はどこでもいいので
安定して長期政権になって欲しい。
政党間で足の引っ張り合いばかりで時間が過ぎるより
国のためになる施策をどんどん実現して欲しいです。

さて、私が今回の選挙でもっとも注目していたのは
民主党、有田芳生氏の動向です。

彼は今回の候補者の中で唯一
通訳案内士問題を取り上げています。
どの程度活躍していただけるかはわかりませんが
問題意識を持った議員さんが国会にいてくれるのは心強いことです。
これからの動向にも注目です。

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