通訳案内士の気ままな生活

現役通訳ガイドのブログです。プライベートから気になる収入などの話まで!?包み隠さずお話します!

中国人ツアーの記事

2010-12-07 19:27:17 | 観光立国

さて、ダイヤモンドオンラインに次のような記事が載っていました。

 「今のままでは「貧乏国ニッポン」のレッテルも!? 間違いだらけの中国人富裕層訪日ツアー 」

内容は富裕層向けのツアーが貧乏ツアーになっているというお話です。

ただ、1週間で18万7500円のツアーが”超VIPツアー”???と紹介されているのには疑問符が付きますが。

超VIPなら1日でそれぐらい使うでしょう。

ともかく、以前は観光客が増加する→経済が潤うという単純な計画だったのが、

質を維持していかないと、本当の経済貢献はできないというのが少しづつですが議論されるようになってきたと思います。

規制緩和および無規制で

苦情発生ベースで対応しようというのが

現在の観光庁の基本方針です。

それでは、日本ブランドを傷つけてしまい

リピーターを作れないということを理解いただきたい。

特に富裕層にとっては、日本は数多くの旅行先の選択肢の一つに過ぎません。

サービスが悪かったからと、観光庁に意見を送る人がいるのでしょうか?

二度と来ないだけです。

それだけではなく、「日本ではひどい目にあった」

「大したこと無かった」と言いふらされてしまうでしょう。

自分が海外で、ひどい思いをしたらどうしますか?

相手の政府にコンタクトしますか?

友達に行かないほうがいいと忠告したり、

せいぜいガイドブックやWEBに投稿して終わりでしょう。

 

日本の政府が邦人保護のために行う旅行業者の規制を外国人にも適用し、

政府公認のガイド制度の高いレベルでの維持を推進せず、

安易に価格競争を促しているようでは

訪日観光は一過性のブームで終わるでしょう。

 

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事業仕分け

2010-11-22 09:04:55 | 観光立国
先日、事業仕分けにより
訪日旅行促進事業予算の3割削減が判定された。

理由は費用対効果が不透明なこと。
そして検証が不十分なこと。

もっともな正論ですが、
国を挙げて訪日観光客3000万人を目指そうというときに
その事業に”先行投資”できないのは
なんともお粗末な気がする。

成長分野を作って行こうとするなら
数年は利益が出なくても
投資をするべきではないだろうか。
特に今まで力を入れてこなかった分野だけに
効果が現れるまでは相当な試行錯誤が必要だろう。

そういった先行投資をするには
投資家や、企業家のようなリスクをとれる精神が必要だが
民主党政権下では毎月のお給料の中で
家計簿をやりくりするような安全な政策しかやれないようだ。


そもそも、3000万人という目標の根拠が曖昧なので
正論で攻められたら元も子もない。
いっそのこと数値目標など止めて欲しい。

きちんと観光資源を整備し
観光客フレンドリーなインフラ整備をし
徐々に観光客数が増加すればいいのではないか。
ガイド制度もめちゃくちゃにして
質より量で受け入れ体制を作ろうとしているが
それもスローダウンして
質を伴いながらの変革という方向に行くのをを期待したい。

まあ、まずは日本人が快適に過ごせる
国内環境の整備が必要だろう。
日本人が海外に行くよりも
国内旅行を選ぶぐらい魅力があれば
外国人も自然と増えるはず。
一過性の成長戦略ではなく
継続的に育つ仕組みを作らなければいけないだろう。

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訪日中国インセンティブ旅行団中止

2010-09-17 18:12:52 | 観光立国
政府が主導で進めていた
中国からの一万人規模のインセンティブツアーが
中止になったそうだ。
原因は尖閣諸島問題だとか。

中国を相手に観光客数の増加を目指すのは良いが
やはりインバウンドツーリズムに関わる人間としては
不安な部分も多い。

最近急激に中国からのお客さんが増えてきた。
でも、安易な規制緩和などで一時的に観光客を増やしても
なかなか長続きはしないだろう。

誘致に力を入れるのも良いが、
コンテンツ作りにももっと力を入れないといけない。
今まで日本に来られなかった人にとってみれば
現状の日本でも十分に受け入れてもらえるかもしれないが
2回、3回とリピートしてもらえるかは疑問だ。

そして、ただ数ばかりが増えて
渋滞や、混雑が悪化して
逆に日本人や、他の国のお客さんが減ってしまうのも問題だ。
3000万人体制に備えるには
快適な旅行環境を整えるのも必要だろう。
時間をかけて着実に増やしていく方がいいのではないだろうか。
コンテンツが良くなった→旅行客が増えた
という発展の方が健全ではないだろうか。
ひとまず、日本人が日本国内を旅行しないで
海外に行ってしまうというところで
リピーターにとって魅力的な国なのかは疑問である。
日本人が海外に行ってしまう原因が何なのかもきちんと分析して
日本人に国内で遊んでもらうコンテンツ作りも必要だろう。

ひとまず今回の旅行団の中止で
政府の中国頼みの姿勢にも歯止めがかかるだろう。
そして前原大臣も変るわけだし
また政府の方針が変ってもおかしくない。

ビザやガイド資格などの安易な規制緩和ではなく
日本のコンテンツを面白くするために弊害となっている
法律の改正などを行っていただきたい。

JNTO発表

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中国人観光ビザ規制緩和

2010-07-11 12:57:01 | 観光立国
7月1日より中国人観光客の
日本渡航のためのビザの支給要件が大幅に緩和されました。

昨日富士山にて知り合いの中国語ガイドさんにお会いし
お話したところ、明らかに中国人観光客の数は増えているそうです。
英語は・・・さほど変化ないですね。

彼は中国人のガイドなのですが
きちんと通訳案内士の資格を取り
日本の企業でガイドの仕事をしています。
英語も堪能で、エリート的な存在でしょう。
このように頑張って日本の国家資格を取り
真面目に頑張っている人もいるのに
ガイド資格を規制緩和してしまったら
彼の努力はどうなるのでしょう???
彼なら生き残っていくでしょうが
急激な方針転換で頑張った人を犠牲にするのはいいことではありません。

さて、巷の反応も今までは
経済底上げの起爆剤として期待
というような報道が多かったですが
最近は危機感や不安の声を伝える声も多くなっているようです。

外国人に対してアレルギーを持っていて
無差別に偏見的な考えで
批判する人もいますが、
海外経験が豊富な上で、
危機感を持っている人も沢山います。

日本というのは本当に平和な国です。
みなさんお人好しです。
それはとてもいいところですし、
変らないで欲しいところです。
でも、外国人の相手をするときには
ある程度NOをはっきり言えないと
問題になることもあります。
海外で生活したことのある人は
自分も外国人の立場で海外で暮らし、
きっと色々な経験をしているでしょう。
外国人だというだけでみんながチヤホヤしてくれる日本のような国は
あまり他にはありません。

例えば、この前あったことですが、
通常はきちんとした格好で食事をするようなホテルのレストランに
外国人のお客さんが短パン&スリッパで来ました。
お店の人は気づいていましたが何も言いませんでした。
これをおもてなしの心とよぶべきでしょうか?
まずは注意するべきでしょう。
英語で注意するのは簡単ではありませんが、
言葉が不安であれば日本語でもいいのです。
他のお客様に対して失礼ですし
やらなければ自分の店の格をおとしめてしまいます。
日本人が海外に行けば「郷に入れば郷に従え」で
現地のマナーを勉強し、現地の言葉を勉強します。
注意されればそれに従います。一緒です。

もちろん私達ガイドは英語でご案内をするのが仕事ですから
そいうったところで、お店もお客様もお互い嫌な思いをしないようにお手伝いをさせていただきますが
ガイドのいないお客様にはお店がきちんと意思表示するべきなのです。


そういった意味での正しい外国人接待が準備できている人はどれだけいるのでしょうか。
また、僕が心配しているのは
「こっちがこれだけ親切にしてあげてるのに、恩を仇で返された」
という風にがっかりしてしまう人が増えてしまうのではないかなということです。

それも、日本の国際化の過程では必要なのかもしれませんが
なんとなく、危機管理的な準備もしておいた方が
傷は浅く上手く付き合っていけると思うのですが。

まあ、これは僕達が声をあげていてもなかなか伝わるものではないので
一度やってみて、悪い経験もしてから
成熟した議論が重ねられて
成熟した受け入れ態勢ができることを願いましょう。

真のホスピタリティーとは
治安を悪化させぬ対策も

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外国人観光客2500万人という目標

2010-06-23 16:49:27 | 観光立国
政府が掲げている
2020年に外国人観光客2500万人という目標。
はたして実現可能なのだろうか。
本当に可能であれば通訳案内士の将来は安泰である。
でも、とても不安なのは何故だろうか。

そもそも2010年までに1000万人と言う目標も
現状では達成不可能である。
2009年は670万人。
世界経済の落ち込みがおおきな理由であるが、
インバウンドツーリズムにとって外的要因は常に付き物。
戦争、テロ、火山噴火、インフルエンザ、円高などなど。
それを言い訳にしていたらきりが無い。

現状の政府の方策を見ている限りでは
とても2500万人は達成できそうに無い。
方策がとても地味だからだ。

海外で宣伝をする。
ビザを緩和する。
誰でもガイドできるように法律を改悪する。

だいたいその程度だろう。

立派な観光資源があるから
人的受け入れ体制さえ整えば
観光客が増える。
とても安易である。

そもそも日本には解決しなければいけない沢山の不利な点がある。
言葉
極東という立地
物価の高さ
独特の生活様式
非日常性
エンターテイメント性

色々な人の趣向があって
日本の文化を素晴らしいと思ってくれる人もいる。
だけど、つまらない、旅行しにくいと思ってしまう人も多い。
決して万人受けする文化ではない。
そもそも日本人観光客が大量に海外に流出しているという現状では
日本人にとっても日本の観光が魅力的でないという事実がある。
逆に言えば、日本人観光客が海外に行くよりも日本を旅行した方が
楽しいと思えるコンテンツがないとダメなのだ。

ありのままのものをありのままに見せる。
なんだか分かりにくい文化だが、そこが面白い。
でも、それだけでは限界がある。

アメリカを例に見てみよう。

グランドキャニオンのような雄大な自然がある。
NYという大都会がある。
フロリダやカルフォルニア、ラスベガスのような人工的リゾート地がある。
MLB、NHL、NBAなどのスポーツエンターテイメントがある。
ミュージカル、映画といったエンターテイメントがある
最先端の技術がある-留学生、移民が集まる
ボリュームたっぷりのアメリカンフードがある
ワシントンDCで歴史や政治について考える

とまあ、色々な選択肢があります。
何しろ陽気でエネルギーがある。
そんなイメージは無いでしょうか?

それに対し日本は
歴史的建造物がある
独特の文化がある
治安がいい
自然が綺麗
安心の日本製品が買える

といったところでしょうか。
1000万人の目標に対してはこれで十分だと思います。
ですがこれを2.5倍にしていこうとすると
とてもエネルギーが足らない。

地球の裏側まで何度も足を運んでもらうにな
かなりの魅力が必要です。
これは人工的にお金をかけて開発しないとダメなのです。
そして世界に通じる人材を育てていかないと
正直な日本人は外国人の食い物にされて終わりです。

まあ、これからこういうところにも着手しようかぁーという段階なのかも知れませんが
国を挙げて観光に生き残りをかけた
マカオ、ドバイなどを見ていると
日本政府は数字目標だけで実ははまだ何も始めてないように見えます。


そもそも、色々な規制で映画撮影さえも誘致できない現状。
それではどうにもなりません。
映画の舞台になるということは観光客誘致にとても重要な施策です。
まずは魅力ある観光資源の整備と開発。
そこをきちんとやらずに
安易な規制緩和だけでは効果は一時的なものでしょう。

羽田空港の整備のように国がお金を使ってリードしてください。
漫画ミュージアムはお金の無駄と言ってる時点でダメです。
観光・余暇とは無駄を楽しむものなのです。
中身はともかくそういうアイディアを真面目に面白く具体化していくことが
必要なのではないでしょうか。

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