将人とともに together with Masato

For the parents in the world, whose children have autism.

地元で買い物

2008年04月28日 | 登下校
もう大滝に2年間通いました。ご存じのように、秩父市街を抜けると,荒川、大滝とだんだん山の中に入って行きます。人家もまばらです。小学校、中学校もありますが、生徒の人数は少ないです。秩父湖畔の光の村のパン屋周辺に何軒か、観光客相手の商店がありますが、一日開けていても一体何人お客さんが買いに来るのだろうか。果たして採算が取れるのだろうか、と傍目にも不安に思ってしまいます。

そんな時、上級生の親御さんがふと耳打ちして下さりました。「お酒など、敢えて秩父市内で買わないで、ここまで来て買う事にしています。地元との関係も大事ですからね。」

・・・。そうか、1年に何度も大滝に来るような我々は、知らず知らずの内に光の村関係者だと地元の人にはわかるでしょう。それが、排気ガスをまき散らしながら車で通過するだけだと、前向きな人間関係が生まれないのは当たり前です。知らない内に、多大なご迷惑を掛けている可能性さえあるのです。

こういう発想は人口過密の土地ではなかなか生まれませんが、人もまばらな地域で、おまけに、その土地の人々がおそらくみんな小さい時通われた小学校を使わせてもらっている我々からすれば、当然気にしなければならないことだと今更ながらに思いました。

昨日今日明日という刹那的な時間ばかりを追い、2次元の世界だけで生きがちですが、歴史の中で生き、老い、人生を全うする事はだれしも同じで、何か人生が開けたような気がしました。こういう発想がなかったこと自体、都会ずれしていたと言うことかも知れません。

そういえば、パソコン、カメラ関係の買い物をよくしますが、家電量販店で総合的な最新情報を仕入れ、実物を見て触り、実際買うのはそれより数十パーセント安く手に入るネットショップと言う買い物パターンが普通になってもう10年近くたちました。近くのロケットもつぶれました。ラオックスも閉店しました。顔の見えないネットショップは便利で安い反面、町が荒廃する一因になっていると思いました。

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損害賠償保険

2008年04月17日 | その他
自閉症の子供がもう中学生にもなっているのに、意外に、まだ、損害賠償保険のことを知らない方がおられるようなので、老婆心ながら一応載せておきます。

将人に関して言えば、小学校低学年の頃、家の2階からよく物を道路に放り投げていた時期がありました。隣のガレージの屋根を壊してしまったこともありましたし、極めつけは、わざわざ階段の窓を開けて水の入った水筒を落とし、隣の社長さんのボルボの屋根を凹ませてしまったことでした。大変いい方で、何とか事なきを得ましたが、その時は本当に申し訳ない気持ちで一杯でした。

そんな時のためにも、個人賠償保険には是非入っておいた方がいいと思います。また、日本自閉症協会で紹介している保険には、入院の際の付き添いなどにも補助が出る仕組みになっています。

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リバースモーゲージ

2008年04月13日 | 最終章
貯金がなく、家だけある場合、これまでは住み慣れた家を売って現金化し、それで何とかする道しかなかった。

ところが、東京スター銀行では、今住んでいる家の評価額の8割を融資してくれ、死亡時に家を回収することで支払い終了にするという。つまり、死亡するまでは、今住んでいる家にそのまま住んでいていいし、ワンルームの老人ホームに入所するような場合は、人に貸して賃貸収入を得てもいいということらしい。(リバースモーゲージ)

いわば、自分の遺産の前借りである。これは凄い事だ。画期的でさえある。老後を考えるに当たって、大変有力な情報だ。

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入学式

2008年04月12日 | 学校生活
今年の入学式が終わりました。今年の中学1年生はわずか1人でしたが、例年と同様、編入が多数あり、また専攻科ができたこともあって、他の学年はほぼ定員一杯となりました。実に壮観でした。先生1人と寮母さん1人が増員となりました。積み重ねが大事な運動、生活指導の中にあって、中学3年、高校1年での転入が多い事で、また先生方のご苦労が予想されますが、何とか頑張っていただきたいというのが切なる願いです。

それにしても、ここの先生方のご苦労は実に大変なものがあることは明白ですが、不思議にあまりこちらに要求された事がありません。

小学校の時は、通学班とか、学期ごとの教室の掃除とか、バザーとか、実にさまざまなことがありました。しかも、デューティーでした。代理は許されず、親族しか駄目ということで、片親では仕事を休んでいくしかない、実に辛いものでした。そんなことなら便利屋さんでも雇って、代わりに用事をしてもらった方が、経済的にははるかに採算が合うのですが、教育的にそれは許されませんでした。

ここでも、パンの販売当番が年2回、学校の掃除が年1回(夏期休暇の前)、10日毎の登下校はいつも補助(代理人は可能)が必要ですが、それ以上のことは何もありません。時々、子供の様子見がてらに学校に行って掃除などの手伝いをする親御さんはいらっしゃるようですが、義務というわけでもなく、むしろ例外的です。

先生方と一緒に苦労したいと思うのは私だけでしょうか。大変な子供を押し付けている訳では断じてありません。・・のつもりです。ただ、体力的、資質的にできることとできないこともあり、お預けしています。オープンにご苦労を言っていただければ、できることからお手伝いできると思うのですが・・・。

ネット上での、学校の関係者用掲示板などというのはどうでしょう。たとえば、「7月3日~8日の間、○○先生が土佐出張で人手が足りません。寮母さんの補助をお願いできる方がいませんでしょうか。」「○○の資料整理をお願いします。」「運動会の写真集を作ってください。」「厚手の雑巾が足りません。」「ストーブが壊れました。中古のストーブ、余っていませんか。」などなど・・・。

もうひとつの教育―土佐・光の村からの挑戦
西谷 英雄
学研

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闘犬

2008年04月09日 | その他
2月末に土佐校を見学させて貰った際、一足先に土佐入りして、高知の観光地にも行ってみた。

できれば、龍河洞、高知大学、四万十川、高知の「日曜市」、足摺岬等も行きたかったが、桂浜、はりまや橋、高知城が半日で行ける限界だった。特に、桂浜では湾曲した水平線を見ることができ、坂本竜馬が遠く大海原の向こうにある外国に思いを馳せたことが忍ばれた。

ところで、桂浜に闘犬センターなるものがあり、噂に聞いた闘犬の試合をみる機会があった。時代の趨勢か、めっきり闘犬もさびれたと聞いてはいたが、たまたま観戦予約した観光バスが乗り付けたため、1試合だけ開催するという。

出てきた犬は写真で見た、どっしりした横綱犬とはまるで違う、がりがりに痩せた中型犬2頭だった。プロレスラーのような、筋肉隆々の、血の気の多そうな犬が噛み合いをするならいざ知らず、その試合は哀れだった。女性客の中には、試合後も泣くじゃくって、立ち上がれない人もいた。聞けば、満足に食べさせると闘争本能が眠ってしまうからだという。

あれでは、闘犬も廃れると思った。少なくとも、観光客相手には。

伝統ある土佐闘犬なのだから、それをアピールするべく、もう少しスマートなやり方はないものなのだろうか。

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障害者の老後

2008年04月06日 | 最終章
土佐校で見せて頂いた、自閉症児の学校後の姿は大変いい参考になった。みんながみんな、そううまく行くとは限らず、実際卒業生がみんな残っていらっしゃる訳ではないが、それはとりもなおさず、地元に帰ることができた事を意味している。手がつけられない状況ではなくなったという事だろう。・・・と、思う。

ただ、まだ老後は見えない。知的障害者は老いも早いと聞く。内科的疾患にもなるだろう。これは適度な運動等をすることで防止できる成人病とは別次元の問題だ。また、運動するからこそ起こる整形外科的な疾患は、むしろ光の村方式だからこそ起きやすい可能性はある。私も若い頃酷使した腰と膝が今頃になって痛み、無茶しなければ良かったと思う事がたびたびある。

発病した時、どこまで治療できるか、すべきかは大変難しい問題だ。完全に治る病気ならいざ知らず、今の医学では命は助かったが、高度後遺症を残して、知的障害の上にさらなる障害を抱える事になる事もままあるだろう。

最近聞いた話では、知的障害者に腎不全が発症し、このままだと透析しないと命が危ないという事で、長く通った小児科から透析病院を紹介されたという。透析病院の方も腎不全で紹介された訳だから当然透析するしかなく、親御さんに今後の見通し、適用等を細かに相談する事もなく、「腎不全だから透析します。」という事だけで透析を開始したという。

そして、数週間入院透析した後、家の近くの外来透析中心の施設に再紹介となり、半年たった。しかし、針を抜いたり暴れたりする事こそないものの、さまざまな事でスタッフとうまくいかず、そのたびに年老いた親が呼び出され、生活もままならないという。認知症の方に、何か別の病気が起こった場合でも似たような話を良く聞く。実に辛い話だ。

治療にも「適用」という事が考慮されてしかるべきだと思う。そういう問題が起こるであろう事は、専門家には初めからわかりすぎるほどわかっていたはずだ。命の危険性は透析で乗り切ることが出来ても、上記のような問題は親なり社会なりにそれを支えきる体力と資質、経済的な裏付け、そして何より継続性がないと解決できないのだ。医学的な生命とは別に、社会的生命というものもある。いったん始めた事を止める事は理不尽だが、始めから「チャレンジしない」という選択肢はあり得る、と思う。


ただ、問題が起こる可能性があるとはいえ、何とかなる可能性も皆無とはいえず、一方、適用なしとして腎不全末期でも透析せず、死亡にいたり、後で裁判になった例もあり、その場合の司法判断は、やはり「腎不全なのだから透析すべきだった。」とされる例が多いようだ。しかし、裁判になった例でも、どうも言い方、説明の仕方に難があり、コミニュケーションがうまく取れていなかったことに起因する訴訟が多いような気がする。本当に難しい問題だ。

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学校後

2008年04月03日 | 卒業後
光の村土佐校で見事なまでにご呈示頂いた、自閉症児の「学校後の姿」は大変感動的なものでした。光の村がその40年の歴史を通して、具現化して下さったモデルケースです。

皆が皆、うまく行く筈ないとは思いますが、ご紹介頂いた障害者各位に関していえば、病気のせいで元来落ち着きがなかっただろうと思われる、うちの子のような知的障害児さえ、運動と生活指導を中心にあの手この手で鍛え上げられており、その知的レベルに応じた、単調で延々と続く労働にも耐える根気と体力を体得しておられました。

通勤寮では朝早くから起き、交替で手作りの弁当を作って、それを持って職場に通勤です。それが普通に出来るようになると、グループホームに移って6~8畳の個室を持ったり、更に、10年以上働けば、結果として賃金(数万円/月)と障害者年金(6~8万円/月)でまとまったお金を手にすることとなり、中古4LDKを購入、リフォームし、ご自分も含め、他の障害者にも貸す、いわゆる大家さんになっている方もおられます。結婚さえしていらっしゃる方もおられる、と聞きました。

ちなみに、土佐市(人口3万人)中心地から車で20~30分程度しか離れてないのに、70坪の土地付き中古4LDKが1000万円で買えたそうです。台風銀座の高知県にあって、一戸建ての集まった住宅地とはいえ、海辺の堤防からあまり遠くないやや窪地だったのが少し気にはなりますが・・。高知市(人口35万人)中心地からでも自動車なら1時間ちょっとでしょう。1時間半から2時間の電車通勤が当たり前、30坪100㎡新築一戸建て、あるいは60~80㎡マンションが3000~5000万円の首都圏郊外のうちのあたりとは感覚がまるで違います。近くに甲子園の常連校で、ゴルフの横峯さくらや、相撲の朝青龍の出身校でもある明徳義塾中学校・高等学校があります。なお、高知県の総人口は80万人だそうです。

今回見せて頂いた現場は、いわゆる2次産業の職場で、寒い時も暑い時もあるでしょうし、木の削りかすだらけ、油だらけになることもあるでしょう。安閑とした、ただ収容するだけの施設にいたら、到底耐えられるはずもないと思います。

それが、あの方達はその困難にも黙々と耐え、笑みさえあげていらっしゃるではないですか。そう、それは額に汗した、労働の喜びです。自分がこの世に生まれ、役に立てたと実感できた時の、自尊心に満ちた満足そのものに見えました。

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