先日、交通事故の患者さんが救急車で私どもの病院に搬送されてきた。聞くと、養護学校に通う中学生で、その子が自転車に乗って信号のないT字路を渡る際、横から自動車に追突されたらしい。お互いスピードはあまり出ておらず、その自転車も横倒しになった程度で、本人の怪我も軽そうだった。
手首と頭が痛いということなので、腕のレントゲン写真と頭部CTを撮る指示が出た。将人よりはるかに話の通じる子だったが、CT室に入り撮影ドームの中に入れられると、緊張するのか、じっとできない。将人のような尺取り虫運動こそないものの、頭を右に動かしたり、起き上がろうとしてみたり・・・。そこで、お父さんに頼んで、少し本人に付いていてもらう事にした。
すると、どうだろう・・。まもなく、CT室の中から怒鳴り声が響いてきた。検査台に乗ったその子の顎を両手で押さえつけ、「馬鹿者、動くなと言っているのがわからんのか!じっとしろ!」 近寄ってよく見ると、その子はもう涙で顔をゆがめ、押さえつけられた顎は真っ赤になっているではないか。
病院に来た時には、頭と手が少し痛いだけだとほとんど意に介せずといった風のおとなしそうな子が、検査のために押さえつけられ痛がっている!
交通事故でほんの少し痛いのを痛くなくするために検査したり治療したりしようとしているのに、検査のために押さえつけられ怒鳴られて涙をぼろぼろ流して顔をゆがめている!!
それを外で聞いているお母さんもいつものことなのだろうか、全く気にしていない。
各家庭によって障害児の扱いには雲泥の差があるのは百も承知だが、仕事がらみでこういう場面に直面すると、あらためて考えさせられた。
お父さんは、その子がたとえ動いたとしても、病院側に言われたから一生懸命している事をアピールしたいのだろう。じっとできないわが子にまたかと積年のいらだちを凝集して発散している面もあるだろう。
動くなと言っても動くのだから、できる範囲で検査してくれればいい、たとえ検査漏れがでても苦情は言いませんから、などと交渉する考えもないし、そういう発想自体持つ機会がなかったのだろう。
よくわかるが、何か違う、と思った。
将人を叱ったり、叩いたりすることは自分もよくあるが、そんな時、自分もああいう風に人に見られているのかと思うと悲しくなった。
手首と頭が痛いということなので、腕のレントゲン写真と頭部CTを撮る指示が出た。将人よりはるかに話の通じる子だったが、CT室に入り撮影ドームの中に入れられると、緊張するのか、じっとできない。将人のような尺取り虫運動こそないものの、頭を右に動かしたり、起き上がろうとしてみたり・・・。そこで、お父さんに頼んで、少し本人に付いていてもらう事にした。
すると、どうだろう・・。まもなく、CT室の中から怒鳴り声が響いてきた。検査台に乗ったその子の顎を両手で押さえつけ、「馬鹿者、動くなと言っているのがわからんのか!じっとしろ!」 近寄ってよく見ると、その子はもう涙で顔をゆがめ、押さえつけられた顎は真っ赤になっているではないか。
病院に来た時には、頭と手が少し痛いだけだとほとんど意に介せずといった風のおとなしそうな子が、検査のために押さえつけられ痛がっている!
交通事故でほんの少し痛いのを痛くなくするために検査したり治療したりしようとしているのに、検査のために押さえつけられ怒鳴られて涙をぼろぼろ流して顔をゆがめている!!
それを外で聞いているお母さんもいつものことなのだろうか、全く気にしていない。
各家庭によって障害児の扱いには雲泥の差があるのは百も承知だが、仕事がらみでこういう場面に直面すると、あらためて考えさせられた。
お父さんは、その子がたとえ動いたとしても、病院側に言われたから一生懸命している事をアピールしたいのだろう。じっとできないわが子にまたかと積年のいらだちを凝集して発散している面もあるだろう。
動くなと言っても動くのだから、できる範囲で検査してくれればいい、たとえ検査漏れがでても苦情は言いませんから、などと交渉する考えもないし、そういう発想自体持つ機会がなかったのだろう。
よくわかるが、何か違う、と思った。
将人を叱ったり、叩いたりすることは自分もよくあるが、そんな時、自分もああいう風に人に見られているのかと思うと悲しくなった。