将人とともに together with Masato

For the parents in the world, whose children have autism.

Suicaで関東中を探検中

2012年06月10日 | 家庭学校
専攻科1年となり、光の村の規則正しい団体生活で預かってもらえる期間も残り後2年を切った。公立校の親御さんは養護学校高等部卒業と同時に、自宅での生活、就業が始まっているはずだ。実際、今度の卒業生でも7人中3人は地元での生活を選んだ。将人が今自宅に帰って来られると、毎日が家庭学校状態になり生活が危うくなるので、親の都合で専攻科に進めさせてもらった。

その家庭学校だが、運動と家の手伝いは一応するものの、散歩は相変わらずで、毎日数十キロの行軍をしている。スイカカードを使って、器用に関東一円の電車を乗り継いで東は成田、西は鎌倉、北は春日部、南はお台場と、親と行ったことのない土地まで、足を延ばすようになった。ゲームコーナーに入って光のチカチカを眺めていたり、イオンやホテルなどの大型ビルのエレベーターに入って、上ったり下りたりを繰り返しているらしい。食事はマクドナルドやケンタッキー、スパゲティ屋に入って注文することも多かったが、最近はコンビニのカップラーメンらしい。スイカで買い物ができるのがいいようだ。現金だとお釣りの計算ができないので敬遠するのだろう。

東京ドームホテルの円形に並んだエレベータホールがお気に入りで、何度も行って、果てはエレベーターの中でカップヌードルを食べていたとお客さんから苦情が出て、ホテル側から通告を受け、警察に引き取りに行ったこともある。富坂警察署に2回、東京駅前の交番や、草加署、西新井の警察にも呼ばれた。お台場の時には、深夜という事もあって、あっちから連れて来てもらったこともある。幼稚園や小学校の時には「保護」したからとご連絡頂いたが、最近はそういう言葉ではない。特に商業施設の方は「確保」したという言葉を使われる。捕獲や逮捕でないだけまだましだが・・・。

実は東京ドームホテルの会長さんは私の出身高校の同窓会会長でもあるので、この1年、大変ご迷惑をホテル側にかけてきたので、今度の同窓会に急きょ出席させて頂くことにし、ご挨拶しておこうと思う。もとより、そういう事までご存知であるはずもないし、ご挨拶したからどうなるというわけでもないだろうが、こちらの気が少し晴れる。

今はこういう事も10日ごとの3日間限定だが、2年後は毎日こうなるのだ…。みんな就業先がどうのこうのと心配されるが、うちは生活の場自体が問題だ。このままでは仕事は継続困難になることは明らかだ。いつ警察から引き取りの呼び出しがかかるかわからないし、原則、親でないとそれはだめだとよく言われる。

かといって、家に地下室でも作って閉じ込めておこうかと思ったが、弁護士によると監禁罪に問われることもあると聞いた。ヘルパーさんを雇うと言っても経済的なこともさることながら、やってくれる人もなかなかいない。実際、地元の越谷では2軒あった生活サポートのNPOも廃業してしまい、市の補助も宙に浮いた状態だ。つまり、予算はついてもそれを実施する人がいないのだ。市は企画、予算決定するだけで、実行するのは委託業者なのだから。

こういう家庭は決してうちだけとは思えない。福祉と言えばいきなり低価格なるも不十分というシステムが多いが、それなりのお金を出せば相当の満足感のあるサービスを得られるシステムはないものか。このままでは完全に私財を使いきって、一人のために数人が一生を消耗するしかない現状だ。しかも税金を払っている者が、所得制限でほとんど何の補償も得られず苦しみ、事情はあるとはいえ、税金を払えない、払わない人たちが一方的にそのサービスを得る、こんな正義があるのだろうか。

福祉サービスにも、ファーストクラスやグリーン席があってもいい。その方が、介護業界の賃金アップにつながり、幅のある分野になる。ホテルだって、東京ドームホテルやシェラトンもあれば、一泊3000円のホテルが共存しているではないか。今の現状は、どこの旅先に行ってもみんな同じ安宿に甘んじるしかないし、しかもそこに半年や1年、入所待ちしなければならないのだ。それに満足できなければ、自分でホテルをそこに建設して泊るしかないといわんばかりだ。そんな事が出来るのはビルゲイツぐらいだと思う。




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