今回も高知県土佐市から西谷学園長先生が駆けつけて下さった。校長先生は秩父市に住んでおいでだが、西谷先生は遠く、土佐校のある高知県にお住まいなのだ。
とてもかくしゃくとしていらっしゃるが、聞くともう80才を超えていらっしゃるそうだ。しかし、決してお世辞でも何でもなく、どう見ても、60代にしか見えない・・・。
生徒たちの演技を見る時も、我々と同じ簡素な折り畳み椅子にしっかりと腰を据え、凛とした姿勢を最後まで崩さず、しっかりと見て下さった。父兄も含めて、あの会場の中で最も姿勢の良かった人のうちの一人だった。
お年を考えると腰痛・膝痛をはじめ、さまざまな障害を多少なりとも抱えていらっしゃるに違いないのに、無理して姿勢を正していらっしゃるかのようにさえ思えるのだが、指導者あるいは教育者を長くやっていらっしゃる方々はえてしてそういう所から「皆に教育する」本能をお持ちのようだ。慢性の腰痛を抱える自分としては、したくとも、あるいはしなくてはならなくともそういう姿勢を長くとる事はきついので、尚いっそう高貴に思える。
行事の度に約1時間、時によっては2時間弱も、立ったまま一切原稿を見る事もなく、よどみなくその教育論、光の村の歴史を語って下さる。この1年間で3~4回は聞かせて戴いただろうか。いつも少しずつ内容を変え、そのご著書「もうひとつの教育」を部分的に解説して下さっているかのようだ。(これはつい最近やっと手に入れたので、これから読むのだが・・。)
入学後約1年たち、今までは将人の変化だけに興味が集中していたが、それが一段落した今、殺伐とした日本の中で、この学校をはじめ、日本中に広がる光の村グループを障害者のために一から作り出して下さった学園長先生という人に興味が出てきた。
そのご著書は残念ながら絶版となっているが、何とかヤフオクで見つけ出し、つい先日やっと手に入れた。「もうひとつの教育/土佐・光の村からの挑戦」(昭和59年第1刷、昭和63年第4刷、学習研究社)がそれだ。とても思いが込められたご著書のようなので、読み終わるのにはしばらく時間がかかりそうだが、読み終わったらまた要点をアップさせていただこうと思う。
ところで、もとよりこの手の本はどんなに内容が良くとも、巷のベストセラーのように何十万部と部数が出る本ではなく、どうしてもある程度行き渡ってしまえばもう売れなくなり絶版、というのは仕方のない運命だ。
だが、光の村で今でもとても残念なのは、余りにも世の中に対するアピールが少ないという点だ。公的教育者に対するアピールは、ある意味同業者として、もっと言えば、必ずしも適切な言い方ではないのだろうが、商売敵(がたき)として、とても難しいのだろうが、こと障害者家庭に関しては単に「知られていないだけ」だと確信する。
そのためには、せっかくインターネットの時代になったのだ。広く世間に自己主張を、ほとんど費用をかけずにアピールできるのだから、本の内容自体をネット上に公開してもいいのではないか。先生ご自身も印税うんぬんを気にされるような方とも思えない。それより何より、公的アピールに、このご本は欠かせないように思える。
(注1 :下記のサイトで、さわりの部分だけはそのご本を見る事ができる。)
http://www4.inforyoma.or.jp/~ifhikari/qanda/qmohitosu.htm 大変申し訳ない事に、この手のお仕事はもとよりご苦労ばかりが多く、いろいろな意味で「報われない」という、残念な思いをされる事が多いのではないかとご推察する。しかし、そんな中でも、耐えて耐えて、工夫に工夫を重ねて事業を拡大し、障害者のために世間に足らないものを補って来られたのだと思う。
しかし、誠に僭越ながら、障害者関係の事業にこれでもういいという終着点はないように思える。後進の育成のため、あるいは毎年出てくる新たな障害者とその家族のために、これまでのような足を使ったアピールの他にも、マスコミ的なアピールもして戴きたいというのはインターネット世代の我がままだろうか。
自分の問題として振り返れば、私が知っている限り、日本の光の村のような施設は海外にも無いように思うので、できればこのブログを、たとえ要旨だけでも英訳してアピールして行く事を来年度の目標としたいと思う。
入学後約1年たって、1サイクルが終わり、その教育内容の紹介から一段、視点を変えた方向に進めればと思う。
そして、一年生という、いわばお客さん肌の抜けきらない段階から、まさに光の村をしょって立つ生徒と親になって行かなくてはならないのが来年度だと思う。
追伸 :
3月、4月は行事が立て込んでいてとても忙しい。明日は卒業式のため、また学校だ。午前4時半起床、5時半出発、9時半から保護者会、10時半から卒業式、食事を挟んで講話で終了となる。高校3年生の卒業生は2人だ。(中学部は6人) 2人とも昨年秋に立派にトライアスロンを完遂したと聞いた。お疲れ様でした。そして御家族共々、ご卒業本当におめでとうございます。