将人とともに together with Masato

For the parents in the world, whose children have autism.

電車の成人障害者

2007年01月23日 | 登下校
今度の家庭学校も終わり、帰校のため、また将人を秩父に送って来た。

1学期2学期と慣れてきて、10日間の学校、4日間の家庭学校と言っても、3学期はそれぞれまるで1日のような感じがしてきた。もう帰ったか、もう帰るのか(帰校するのも「行く」というより、「帰る」感じになってきた。)といった感覚・・・。

当初は我々もかなり寂しかったが、今ではあまりそういう感覚もなくなってきた。なかんずく、将人自身が進んで「自分の学校」に帰校しようとするので、心の重荷がなくなってきたのだ。少しマンネリにさえなってきたかも知れない。

ところで、送って行った帰りの電車の中で、20代半ばくらいの知的障害の男性と乗り合わせた。

秩父鉄道は高校生の利用が多く、午後4時頃乗っていると高校生が大勢乗り込んでくる。いろんな高校生がいるが、アベックで座っていた、一見普通の男子高校生がその男性を見て隣の女子高生に、「あんなの、隣の奴が迷惑だよな。」と普通に聞こえる声で言っていた。

確かに、突然「秩父鉄道をご利用頂き、誠にありがとうございます。次は○○駅、○○駅」と車掌まがいに大声を上げていたのだ。ただ、それも10秒程度で終わり、後は比較的静かに座っているだけ。体を揺すったり、隣の人にちょっかい出したりする事もない・・・。

ただ、15分程度たつと、同じ場所にいるのに飽きるのか、別の場所に移動して、また同じような事をしていた。この時、将人がよくやるように、他にも空いている所はあるのに、敢えて人が並んでいる間の「空き席」に座ろうとしていた。

奇行は奇行だが、比較的抑制が効いているなと思うものの、やはりおかしいなと感じざるを得なかった。

ただ、それでもみんな特に何の反応も示さなかった。大人の反応だった。特に、自分の場合はその人の顔や体つきが将人とかなり似ていたせいもあって、人事とは思えず、全然面識もないのに、斜め前方に座っているその人の目を見て、「シー」と人差し指を立てると不思議にその人もこっちを見て黙った。同じような事を親にされてきたのだろう。

以前、帰校の際、将人と乗り合わせた高校生たちは、電車の床にあぐらを組んで座り込んだり、ズボンを股までずらしてはいているような子たちだったが、将人の近くに座り、将人の「手の振り」等を見ても、「お、ハンドパワーか」とまるで友達に話しかけるような事は言ったものの、いじめたり眉をひそめるような事は言わなかった。私も離れた席で見ていただけだった。

今回乗り合わせた高校生はあの時の高校生とどう違うというのだろう。

宮崎県知事に当選したそのまんま東さんが言っていたが、師匠であるビートたけしさんに「振り子の原理」を教わったそうだ。まじめな事とお笑いを両方やっていくのがいいのだそうで、そのため早稲田の政経で勉強すると同時に、お笑いも平行してやってきたそうだ。

何かわかるような気がした。人間とはそういうものだ。





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