将人とともに together with Masato

For the parents in the world, whose children have autism.

マラソン以外の変化

2006年12月07日 | 将人


ここまで書いてきてふと思ったが、まるで年がら年中走ってばかりいるみたいに聞こえるかも知れない。実際、離れて生活している親から見るとそういう事だけが目立つが、帰省してみて4日間一緒に過ごしてみると、「長く速く走れるようになった」以外にも、やはり「前とは違う」というのが月ごとに感じられる。

マラソンする勇姿を見るのは実に頼もしいが、もとより、それが目的で入学させてもらった訳ではなく、是非とも他が変わってくれなくては困るのだ。

大人になっても高等数学を日常的に使う人はごく限られ、ほとんどの人が小学校の算数程度で生活しているが、それでもみんな中学校以降も延々と「数学」を勉強したのは「理論的な考え方」をする練習になるからだそうだ。光の村では「体育」がその数学に当たり、理論的な考え方が「情緒」に相当するという事か。


まず手伝ってくれるようになった。もちろん「できる」「できない」はものによるが、少なくとも手伝いを頼めば、違和感なく手を差し出してくれる。そして、こっちが持てないような重いものでもあっさりと担ぎ上げたりして、「本当に役に立つ」のを実感することが珍しくなくなった。

次に、忍耐力が出てきた。できなくて、いらいらして軽いパニックになる事は時にあるものの、以前ほど尾を引かず、比較的切り替えができやすくなった。

これは、多動がほぼなくなったという事にも通じている。

小学校低学年の時には目も当てられないくらい、電車、レストラン、等々あらゆる所でそわそわうろうろしていたが、歳が上がるにつれ落ち着きが出てきて、合目的的なうろうろに変わり、寮生活を始めるようになってからは我慢する事も加わって、気になる時計を触りたい見たいなどという、それなりの理由でうろうろしたくとも、敢えてそれを我慢できるようになったようだ。

また、たとえ帰省中でも昼夜逆転する事もなく、ほぼ学校と同じ時間帯で生活できるようになった。以前は、午前3時まで起きていたり、家族全員が睡眠不足で数日間体調を崩す事がしょっちゅうあった。

ただ、仕事の関係もあって親の生活が夜にシフトしているので、帰省中は敢えて1時間ずらして午前6時50分起床、午後10時半就寝、にしている。

1学期は、とにかく何とか学校の生活リズムを維持しようと、どんなに遅く寝ても、朝は強引に午前5時50分に起こして一緒にランニングしていたが、睡眠不足は親はともかく、子供にはすこぶる危険で、途中顔が青ざめて吐いたりした事もあった。普段はかなり走っても息も切らせないのに、とにかくつらそうにして逃げ出す事もあった。そのため深く反省し、以後は寝た時刻から逆算して起床時間を少し柔軟に考えるようにしている。


一方、指示、命令を「受ける」事が多いためか、これまで家でさんざん手こずった「駆け引き」に伴う自己主張、妥協、約束、抵抗を通した様々なコミニュケーションが少なくなり、一見やりやすくなった反面、そこから醸成されるはずの「言葉」が少し少なくなったように感じる。

とはいえ、寮生活をしている以上、やはり集団生活が優先されるのは当然の事なので、それはそれとして、家庭学校の間だけに限定して、敢えて我々がその我がままの受け皿になろうと思っている。また、その間は一歩進めて、積極的にその駆け引きに応じてやるようにしている。

単に我がままを通させるのではなく、硬軟使い分けつつ、態度や言葉で駆け引きさせて、「自己」の実現をさせるようにし向けているつもりだ。

簡単に言えば、「お散歩行きたい。」と言っても、(百マス計算を1ページしてから)と条件を出してみたり、それを「嫌だ」と言えば、(じゃ半ページにして、その代わりに刺し子をしてもいい)と折れたりする、といった具合だ。

普通の子供なら当たり前のやりとりだろうが、今まではこれがなかなかできなかった。今でもできない事が多いが、「したい事をする」ために何とか努力するのが見られるようになった。こういう、本人から見た必死の要求のために、あらん限りの言葉を駆使しようとする努力の芽は摘み取らないようにしたい。


こういう様々な変化は、先生方はもちろんの事、学校職員すべての皆さんが24時間の寮生活を通して陰に陽に生徒たちに語りかけ、親身に接して下さっているおかげとしか考えようがなく、少年期の寮生活は教育上大変意義深いものだと改めて痛感している。公立養護学校がそれをしないのは教育上意義がないからではなく、費用上、マンパワー上できないだけだと思う。もちろん、必要のない子も多いからだろうが、少なくとも将人にとっては本当に良かったとここまでは確信している。

 

 

 


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2 コメント

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今日から (船場香代子)
2007-01-04 01:18:40
今日から、開きました。算数の件と同じような事で一言。漢字に興味を持っているので一言。さんずいは、水に関係している事なので、それを教える事。それから、水にかかわる漢字を教えるようにする。漢字には、意味がある事を教える。このようにして、膨らましていく。興味があるよう、順番に!
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木と林と森 (guangsong)
2007-01-27 01:27:26
木を教えたら、何も教えなくても林、森と一人で書き始め、もう知ってるぞと言わんばかりでした。意味もさることながら、デザイン的に面白い物でもいいみたいですね。
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