最近の出来事

ニュースや新しいテクノロジー、サイエンスについて感じること。

RIM Playbook プレイブック レビュー

2011-04-15 00:47:11 | レビュー

先日、RIMのプレイブックは画面サイズの違いからニッシェを見つけるかもしれないと書いたが、どうやらそうではないらしい。
4月19日に発売になると言うことで全容が明らかになった。

結論から言おう。
これは売り物にならない。
すでに失敗作で買う人はほとんどいないのではないだろうか。

まず、最大の欠点から。
基本とも言えるメールやアドレス帳、カレンダーなどの機能が付いていない。
夏までにはソフトウェアのアップデートにてこれらの機能を追加するとRIMは言う。
要するにまだ未完成なのだ。
この段階で発売に踏み切るとは消費者を軽んじていると言われても仕方ない。

今はブラックベリーを持っていればブリッジ機能でメールできると言うが、これはアップルのエアプレイに他ならない。
電話の中にあるデータをタブレットで表示しているだけだ。
換言すると、ブラックベリーを片時も離さないという人以外にはこのタブレットは無用の長物になってしまうと言うわけだ。

もう一つの弱点である、ソフトウェアの貧弱さについて。
最近ソフトウェア開発者に対して、「アプリを投稿すれば無料でプレイブックを進呈する」というキャンペーンを張って少しでもソフトの品揃えを充実させようとした努力は買うが、総数3000でその上、アプリが玉石混淆ではまだ寂しい。
夏以降には、エミュレーターを提供してアンドロイド用のアプリを使えるようにすると発表したが、どうやら携帯電話用のアプリだけのようだ。
タブレット用(Honeycomb 用)は使えない。

ハードウェア的には電池に問題を感じる。
見やすい明るさで動画を再生すると電池が5時間持たない。
iPad 2 の半分にも満たない。

長所は二つ。
ウェブブラウザーとユーザーインターフェースだ。

しかし、プレイブックが上記のような致命的欠陥を持ったまま発売されたところをみると、RIMは相当追い詰められているとみた。
一刻も早く市場に参入したいばかりに、まだフレームワークすら完成していないアルファ版以前の製品を投入している。
これでは売れない。

このままでは夏まで持たないかもしれない。
そうなればRIMが約束をした夏までの基本機能の追加やアンドロイドのエミュレーターが配布に至ら無い可能性まである。
それでは今プレイブックを買った人が馬鹿を見る。
iPad 以外のタブレットを入手したい人はプレイブックを買うのを控えて、ズームを待つ方が賢明だ。


Final Cut Pro X 発表の動画が YouTube に投稿されている。

2011-04-14 00:21:18 | 日記

新しいファイナルカットX (new Final Cut Pro X at FCP Supermeet)

NABにおけるファイナルカット Xの発表が動画として投稿されている。
いつ除去されるかわからないので早めに見ておいた方が良いのではないだろうか。
ここに紹介したい。

まず、第一部は仕様の説明でしめられている。

いかに速いかを、最新技術への対応という形で説明している。
(64-bit, cocoa, OpenCL, Grand Central Dispatch 等)

聴衆に一番受けたのは8分22秒のレンダリングウィンドウが消滅する部分。
No more rendering

クリップ取り込み時において、速度を生かした様々なトリックが紹介されている。
上記動画で10分過ぎくらいからだ。

  • Content auto analysis
  • Media detection
  • Image stabilization
  • People detection
  • Shot detection
  • Color balance
  • Audio cleanup

これらは次のクリップの整理につながる重要な役目を果たす。
新バージョンではクリップをキーワードや内容によって整理整頓する。
さらにスマートコレクションの機能まで付いている。
それぞれのクリップも10秒ごとのプレビューが表示されるので目的の場面を探すのが容易になった。

編集についても、いわゆるグルーピング機能が著明に進化した。
そして一番のお気に入りが Magnetic timeline と Inline precision editor だ。
前者のおかげで、シンクを気にせずに編集に専念できる。
後者はクリップのつなぎ目を正確に且つ簡便に編集するのに役立つ。
上記動画で19分と23分過ぎにそれぞれデモされている。

第2部では実際に編集作業をデモして見せている。

第一部で説明された種々のグルーピングが実際に示されている。
お気に入りのマグネティック・タイムラインも威力を発揮している。

音声の編集についてもこれまで時間のかかっていた細かな調整が一発で決まるようになった。
例えばフェード・インでは音量が直線的に増加するのか、加速度的に増加するのかを簡単に設定できる。
フレーム速度にしても、編集する範囲を決めてドラッグで簡単に調整できる。
このように細かな編集が簡素化されたことがわかる。

これまでFCPを使っていた人はきっと歓喜の涙を流すくらいの大きな改良がなされた。
「$299という価格が発表された瞬間」の聴衆の反応が全てを語っている。
(上記動画の25分52秒時点)

もう、何はともあれ買うことを決めてしまった。
後は発売を待つのみ。

 


新しいファイナルカットプロ (Final Cut Pro X at FCP Supermeet)

2011-04-13 00:17:04 | 日記

ニュース速報 (new Final Cut Pro X at FCP Supermeet)

ラスベガスでのNABで昨日東部時間午後10時に新しいファイナルカット X が発表となった。

とりあえず主な仕様のみ速報してみたい。

ついに、64 bit, Multi-core (すべてのCPUを使いこなす)

新しいインターフェース

Background rendering (もう待たなくて良い)

AVCHD の映像を取り込むときも、すぐに編集を始められる。
取り込みが進むに従いローカルディスクのクリップに自動的に移行。

ズームを自動的に検出し、人や色も自動認識する。

映像を取り込むときに背景を自動的に手ぶれ修正する。

Cocoa, OpenCL, Core animation, Grand Central Dispatch
根本からソフトを書き直している。

価格はなんと$299
6月に Mac App Store を通じて販売予定。

今回のアップグレード仕様は多くの人から支持を受けているようだ。

 

メータデータの扱いもかなり便利になっている。
画質や色の扱いも変わった(向上した)ようだ。

これは買いだと思うが、新しいユーザーインターフェースになれるまで戸惑うかな。
マスターすればかなりビデオ編集の時間を削れそうだ。
詳しくは、実物を見てからということで、今日はかなり期待できる新ファイナルカットプロX (Final Cut Pro X) が発表されたことのみ速報する。

追記:

Final Cut Pro 以外のソフト (Sound Track Pro, Color, Motion, Compressor, DVD Studio Pro) も同時に更新されるらしい。

 


映画「ハンナ」(Hanna) シアーシャ・ローナン、ケイト・ブランシェット

2011-04-12 14:36:14 | レビュー

シアーシャ・ローナン主演の「ハンナ」 (Hanna) は厳密に言えばSFアクションだが、筋書きはかなり現実的だ。
ハンナの存在自体が非現実的なスーパー・ガールだというだけだ。

シアーシャ・ローナン自身は「自分のことをサーシャ(アイルランド語で自由という意味になる)と呼んでいる」、とインタビューで語っている。
この映画では、まさに少し変わった自由な女の子をとても自然に演じている。

「つぐない」(Atonement) やラブリー・ボーン (The Lovely Bones) で女優としての可能性を披露したシアーシャがさらに成長した姿を見せてくれる。
ハンナがシリーズ化されれば彼女の代表作の一つとなるのは間違いない。

予告編
(Trailer の方の3角印をクリックすると画面サイズの選択肢が登場する)

 

父親エリック(エリック・バナ)に鍛えられた少女ハンナは超人的な敏捷性と力強さに加えて類い希な鋭い感覚も備えている。
父親に与えられた使命を果たすために、敵の懐に飛び込んでゆく彼女。
強大な組織との壮絶な戦いと、その間に挟まれる人間関係の描写が微妙に組み合わされ、ローラーコースターに乗っているかのようなサスペンスアクションが展開される。

彼女の出生の秘密が次第に明らかとなり、物語は一応のまとまりを見せるが、この映画は「ハンナ誕生」ともいうべきエピソードだ。
批評家も一般観客も高い評価を下しているので、余程のことがない限り続編の登場は間違いないだろう。

 

忘れてならないのが、音楽と効果音。
最近見た映画の中では抜きんでている。
心理的な緊張を高める効果はハートロッカーと肩を並べる、といっていい。

撮影に用いられた独特のアングルと緊張感を保つ編集は秀逸で見るものをぐいぐい引き込んでいく。
さらに、映画の背景に置かれた何気ないオブジェや小物が粋だ。
ドイツの街並みのセットも筋書きとの相性よく好感が持てた。

 

心理サスペンスとアクションを純粋に楽しめ、中に人のふれあいも織り込まれている秀逸の作品だと感じた。
少々グラフィックな場面もあるが、それが気にならない人は是非見に行かれることを勧めたい。

★★★★☆

 

 

 


新しいFCSがやってくる (Apple Final Cut Studio)

2011-04-11 00:49:23 | 日記

 

今日の引用:Mark Raudonis, head of post production at Bunim/Murray Productions

出典:PreNAB Editors' Lounge 2011

 

背景:

アップルのプロフェッショナル用のビデオ編集プログラム Final Cut Studio が刷新されるという情報がある。
アドビーの Premiere が64ビットに対応して先行しており、Avid もしっかり足元を固めている。
アップルはプロを見捨てたのではないかという噂がでるほど沈黙を続けた。

アップルは新しいファイナルカットを2011年の春には送り出すと公表した。
2011年3月になってようやくアップルはプロを集めてお披露目会を開いた。
そこに集まった人々の新バージョンに対する評判はかなり良かったが、参加者はNDA (nondisclosure agreement) に縛られ、詳細を語ることができない。
将来に向けた新しいプログラムだというのが鍵だが、もしかしたらこれは3Dのことかもしれない。
昨年のNABで、編集者たちが3Dビデオ制作で苦労しているというのが共通の認識だったし、アップルは "will be where the puck is heading" (プレビュー参加者の暗喩)だと示唆されたからだ。

ビデオ制作会社のトップで先の発表会に参加したマーク・ロドニスの発言を拾ってみた。

 

訳文:

「(最近アップルの動向に気をつけている人はご存じだとは思うが)アップルがクッパティーノ(アップル社のある町)に(ビデオ編集に関わるプロの)人々を集めてファイナルカットの最新版をお披露目した。幸運にも私は参加者の一人だった。アップル社には有能な弁護士がいる(NDAに縛られている)のでこのくらいしか言えない。
(中略)
自動車王ヘンリーフォードを引き合いに出して締めくくりたい。
「人に何が欲しいかと聞いたら、早い馬が欲しいと答えるだろう。」
アップル社は市場が望むところを目指す独特の戦略を持っている。
「何か目新しいものを発明してみせる」と彼らは言う。
(最新版のファイナルカットは)まさにそれだ。賞賛に値する。
素晴らしい出来だから期待していい。
たしか、2011年の春に発売だと言っていた。
だから(暦の上で春が終わる)6月20日までにでるだろうね。
自分が言えるのはこれくらいだ。
暴露しすぎてアップルから訴えられないことを願うよ。」

原文:

"Apple has invited a bunch of people to Cuppertino to reveal the latest version of Final Cut to a few people.
I'm happy to say that I was one of them.
They have good lawyers and here's what I can say....
I would also end with Henry Ford:
'If I asked people what they wanted, they'd tell me they wanted a faster horse.'
So, Apple is very good at going their own way and figuring out where things will be.
They may not ask you what you want.
They are going to tell you, 'We're going to invent something different.'
And that's kind of my take away from it.
I was very impressed, it was awesome and look out, I believe they say it will be available in Spring 2011.
So, that goes all the way up to June 20th.
So, that's what I know, that's what I can say, and if there's anyone from Apple out there,
I hope you don't sue me."

 


zip 圧縮ファイルと iPad/iPad 2, iPhone

2011-04-10 00:36:28 | レビュー

 

iPad/iPhone で zip ファイルを扱う方法をいくつか比較してみよう。
多くのアプリがZIPファイルを扱えると謳っているが、安定して使用できるソフトは限られている。
比較的評判が良く、実際に使ってみて気に入ったアプリを3種類紹介する。
それぞれ主目的が他にあるので、どれが最適かは各人によって異なると思う。
いずれも、Dropbox や iDisk, WebDAV などのクラウドに対応している。

 

 

まず、iPad 専用の GoodReader 3.5.0 から見てみよう。
これを使うと、PDF、マイクロソフトのオフィス、アップルの iWork、ウェブページ、サファリ、画像、映像、音声の表示・再生が可能だ。
特にPDFファイルのサポートに優れており、文書を開くだけでなく、リンクやズーム、パスワード、ブックマークや検索機能等も対応している。
メールに添付されたファイルも容易に開くことができる。
iPad を使ってPDFファイルを読むには最適なソフトだといえる。
欲を言えば、PDF文書内からのコピー・貼り付けができればさらによい。
もちろん、ファイルやフォルダーをまとめて zip ファイルに圧縮したり、逆に解凍できるのは言うまでもない。
留意点は、iPad 用と iPhone 用が別だという点(それぞれ $4.99)。

 

 

次に Filer 2.1 ($3.99) を見てみよう。
このソフトは zip だけでなく、RAR, TAR, Gzip も解凍する。
multi-part RAR やパスワードで保護された圧縮ファイルにも対応している。
圧縮文書は zip ファイルのみ作製可能だ。
解凍した文書を開くのは iOS 内の他のソフトに依存している。
Filer は圧縮された文書をやりとりする際には威力を発揮するだろう。

 

 

最後に FTP on The Go Pro ($9.99) を紹介したい。
このアプリは、ftp や ftps を通じてファイルを管理するのに最適なソフトで、 プログラム用に最適化されたキーボードも用意している。
マルチメディアファイルにも対応しており、ウェブページの管理には最適な ソフトだ。
Zip ファイルに関しては、解凍と圧縮の両方が可能だ。

 

 


Xoom と iPad 2 (アンドロイド Android 3.0 Honeycomb vs. iOS)

2011-04-09 11:13:01 | レビュー

現行の Xoom は6月以降発売中止になる可能性が高い。(モトローラの方で注文をストップしている)
以下の理由で、新しい機種の登場を期待したい。

現行モデルは、価格とソフトウェア(OSとアプリの両方)で大きな欠点を抱えている。
ただ、機能仕様を見る限りでは、モトローラとグーグルの本気を感じる。
次期モデルが大幅に改良されてもっと魅力的なタブレットが今夏にも登場することを期待する。
iPad 2 との相違を見ながらこの予想を検証したい。

iOS と Android はまず、コンセプトが違う。
片や (iOS) 縦置きで下にホームボタンを配置し、アンドロイドではロゴを見る限り横置きを意識している。
もちろん加速度計の(重力を感知する)おかげで画面は自動的に回転するけれど。

最初の画面も片や簡素、片や複雑と対照をなしている。
アンドロイド (Android OS3.0 Honeycomb) の場合、画面設定がカテゴリー別に細かく分類されており非常に複雑だ。
その分カスタマイズできる自由度は高い。
ただ、この煩雑さはアメリカの一般人の許容範囲を超えているようだ。

そのほかの操作についても OS 3.0 はまだ荒削りで、既存のアンドロイドユーザーでも戸惑うかもしれない。
例えば、コンテクスチュアルメニューやオプションは画面上から、通知は右下から登場する。
これまでのアンドロイドOS( Froyo など)を使ったタブロイドは、携帯の延長という感が強かった。
その意味で刷新された今回の Honeycomb はタブロイド用OSとして貴重な一歩を踏み出した、とも言える。

一方、日本の電化製品はマニュアルを読まなければ使いこなすことができないようになっている。
(少なくとも自分の経験ではそう)
日本人の場合煩雑な設定を苦にしないだろう。
その意味でアンドロイドの複雑な操作は日本市場ではマイナスにならないと思う。
むしろ、タブレットを使いたいという人々の間では歓迎されるかもしれない。

次に問題になるのはソフトウェアだ。
タブレット用に開発されたアプリの数がアンドロイドでは悲惨なほどに少数だ。
ただ、メーカーとグーグルが努力を続ければ、この点はいずれ改善されるだろう。
悲観する必要はないと思う。

現在は対応しきれていないフラッシュも努力を続けている姿勢は評価できる。
ただフラッシュはウィンドウズ用に特化しており、他のOSでは使用が難しいという実績がある。
Unix, MacOS, Linux, iOS など、どのOSでもフラッシュはまともに動作しない上に、CPUの酷使とバッテリーを消耗させるという致命的な欠点を抱えている。
モバイル機器で使用されるアンドロイドがどこまでフラッシュに対応できるか見物である。
日本のサイトはフラッシュの依存度が異様に高いので、成功すれば見返りも大きい。

ハードウェアとしては Xoom は魅力にあふれている。
iPad 2 よりは厚めだが、ラップトップと比べれば許容範囲内といえる。
カメラの性能や、外部メモリーの使用などでは iPad 2 を寄せ付けない。
ただ、HDMIについては留意する必要がある。
$129の HD Speaker Dock を買わなければミラーリングができないのだ。
本体や付属品の価格が iPad 2 よりもかなり高くなることは覚悟しなければいけない。

結論としては今、Xoomを買うのは得策でない。
どうしても今タブレットが欲しいなら、未完成の Honeycomb ではなく、iPad 2 を選ぶべきだ。
アンドロイドのタブレットが欲しいなら、数ヶ月待って新しい Xoom を購入するのがよいだろう。
これまでのモトローラやグーグルの動きを見る限り、新しい Xoom は価格も下がり、性能が向上し、OSがもっと安定すると予想されるから。
フラッシュを快適に利用できるようになるには、もうしばらくかかるかもしれない。
アプリが充実するにも数年はかかるだろう。
その意味でも、今慌てて Xoom の現行モデルを入手する理由を見いだせない。


アップルストア

2011-04-08 14:54:02 | 日記

今日は Apple Store に Mac Pro を持ち込み不具合を直すことにした。
2008年の暮れに購入したモデルだが、前面パネルのUSBポートが認識されないとかPMUの動作が不安定となるなどいくつか気になる症状が出始めた。

まず、USBは交換することに決定。
ワイヤレスキーボードはしばらく手こずったが何とか機能するようになった。
問題の電源ユニットとFWコントローラーについては詳細に調べてもらうことにした。
交換用の部品もいくつか注文し、部品代だけで$645にも及んだが、保証期間内なので無料となった。

コンピューターの調子が悪いときには、ハードなのかソフトなのかあるいは設定がおかしいのかネットワークに問題があるのか、など原因は多岐にわたる。
デルやソニーの製品については原因がどこにあるか推測して製造元、出版元、もしくはサービスプロバイダーに連絡するのだが、電話サポートで長く待たされ、挙げ句の果てにたらい回しという状況を経験する。
それを避けられるのは、アップルストアの大きなメリットだ。
マックの調子が悪ければとりあえず持ち込めばよい。
今回も予約はオンラインで昨日のうちに取り、今日はお店の人が車までコンピューターを取りに来てくれた。

アップスストアに診断と修理を頼むのは10年ぶりくらいか。
結局、ロジックボード、PMU、フロントボードの交換が必要との診断がくだされた。
数日間の入院が必要なので、慌てて準備を行った。

念のため可能な限りソフトを無効化(未登録に戻)し、ハードディスクを抜き取った。
代わりに、昨日用意しておいたレパード起動ディスクを1台だけ装着してお店に預けた。
OSのインストールが終わったばかりで個人情報が入っていないから安心というわけだ。
記録を残すために、システム情報の詳細を抽出し自分にメールして準備が完了。
問題が複雑だった割には診断から対処法の決定まで代わりとスムースに進んだのは、対応してくれた店員の知識が豊富だったからだ。

この、コンピューターの調子が悪くなったらアップルストアに持ち込めばよい、というシステムは一般には心強いのではないだろうか。
これもユーザー経験の大きな要素だ。


iPad 2 に大敗を喫したモトローラ Xoom

2011-04-07 00:27:39 | 日記

iPad の対抗機として華々しく宣伝されたモトローラの Xoom が不振を極めている。
先日作製した比較表で見る限り 、ハードウェア的に iPad 2 に後れを取っているとは思えない。
少なくとも2月下旬から3月上旬にかけては iPad が競合品だったわけで、その間はアップル社の製品に対してビデオカンファレンス機能、計算速度などで優位に立っていたはずだ。

Xoom は iPad 2 の発表と共に売り上げが鈍り、これまでの販売数がモーガンスタンレーやRBCの予測を大きく下回っている。
ドイツ銀行の最新の概算では約10万台にすぎないとされる。
これは、iPad 2 の3月分(3週間)の売り上げ240万台に比べても1桁少なく、Xoom は営業的に失敗だったといえる。
この差はどこから来るのだろうか。

IT業界ではなく証券アナリストの見解を見てみよう。
第一の理由は価格にあるとされる。
機能的に同程度のハードウェアでブランドの好感度に大差なければ、$100安い iPad 2 の方が売れるのは当然。
第二に、 "User Experience" の差は埋めがたいため、同価格でも勝負できないだろうとされる。
"iPad challengers must either undercut on price (negative margin implications) and/or offer a superior user experience," (Chris Whitmore)
(iPad と勝負するためには、価格で差をつける(かなり安くする)かユーザーに iPad よりもっと素晴らしい体験をさせるしかない。)
現況では両者ともに困難だ。

アップル社は潤沢な資金を武器に莫大な量の部品を仕入れ、原価を抑えている。
その上、需要が多く在庫がほとんどない(iPad 2 に関しては皆無)ため、流通コストも下がる。
直営店で販売出来るので、中間搾取もない。
価格戦争に突入すれば利益を確保できるのはアップル社だけとなる危険がある。
他社としてはうかつに仕掛けられない。

ハードウェア、ソフトウェア、クラウド、デザインから小売りまで を自前で賄い、必要ならば対人でマンツーマンのサービスも提供できる。
第3社のソフトウェアについても App Store を通じて管理しているので、問題が生じればアップル社が責任を取る。
その意味で消費者にとっては安心してソフト購入が出来るというメリットがある。
一方、フラグメンテーションが大問題となっているアンドロイドOSにおいてユーザー経験を向上させるには限界がある。
もちろん選択肢を提供するというメリットはある。

ではグーグルがタブレットOSとして推進する Honeycomb (アンドロイドOS3)はどうだろうか。
グーグルは OS2.2 で痛い経験をしている。
OS 2.2 (Froyo) は未完成のタブレットOSだ。
グーグル自身がそれを認め使用を控えるようにと忠告していたにもかかわらず、デルやサムスン電子が Froyo 搭載機種を発表し欠点を衆目に晒した。
それどころか、Froyo (OS2.2) 搭載機種は Honeycomb (OS3.0) にアップグレード出来ないというおまけまでついている。
そういった勇み足を防ぐために、グーグルは Honeycomb (OS3.0) のオープン化をやめることになった。

アンドロイドはiOS が切り捨てた Flash 対応が目玉の一つとなっている。
ところが、比較的負荷の軽いウェブ上のビデオですら動作が不安定で、ウィンドウズのコンピューター用に作製されたフラッシュコンテンツの表示に関してはとても快適とは言えない
最後に、iOS ではアップルに認められた比較的適正なアプリが 65,000 もリスとされているが、Honeycomb 用は 100 にも満たない

iPad /iPad 2 を超える体験をアンドロイドタブレットで出来るだろうか。
同じサイズの画面(9”−10”の範囲)では勝負にならないのではないだろうか。


新しいファイナルカット (FCS4: Final Cut Studio 4)

2011-04-06 00:17:15 | 日記

ファイナルカットが刷新されるらしい。
64ビットになるだろうという以外、どんな改良が加えられたか具体的な想像がつかない。

来週のNAB(National Association of Broadcasters) Show (april 9-14, 2011 at LasVegas, NV) で何かが起こる。
アップルがキャノンや Avid, Autodesk, BlackMagic, AJA 等の各社にスポンサーをおりるように働きかけた。
証言をいくつか拾ってみると:
キャノン: アップルから壇上を独占したいと申し出があった。(講演予定だった Philip Bloom)
Avid: アップルは他社をステージに上げないつもりだ。(講演予定だった Kevin Smith)

これだけの動きを見せるからにはアップルは相当なものを用意している。
これまで巷に溢れていた情報と総合すると、新しい Final Cut Studio (FCS4) の発表以外に考えられない。

ではどのような内容だろうか。
2月に映像編集のプロを集めた下見会が開かれた
参加者はもちろんNDA (Non Disclosure Agreement) =見聞きしたことを人にしゃべらない約束、に縛られているので口が重いが、雰囲気だけは伝わってくる。
Final Cut Studio を中心としたビデオ編集者の養成所を運営する Larry Jordan も参加者の一人で、詳細には触れなかったが次のように語った
「今年は凄い年になる。
ごく少数しか招待されなかったけれど、参加者の顔ぶれはビデオ編集界の中心人物ばかりだった。
まるで映画賞やテレビ賞のレッドカーペットの上に立っているような感じだった。
UIが大きく変わり、根本的なところからプログラムを書き直している。
Jaw-dropper だ(口をぽかりと開けて眺めるくらい驚愕の変化だ)。」

彼のコメントを見たけでもだけでもかなり期待できそうだ。
4月12日 ラスベガス


史上最大のデータ漏出事件:インターネット・セキュリティー

2011-04-05 00:02:20 | 日記

マーケティング会社の名簿がハッカーによって盗まれるという事件が起きた。
イプシロン (Epsilon) という会社名には馴染みが薄いかもしれないが、その顧客リストを見ると、マーケティング界の最大手だと分かる。

ざっと拾ってみると、

銀行: Citibank, Ameriprise Financial, Barclays Bank, JP Morgan Chase, US Bank
エンターテイメント: Disney Destinations, Tivo
小売業: Best Buy, Brookstone, Target, Walgreens
旅行業: Hilton Worldwide, Marriott International
ビジネスコンサルタント、人材派遣: Kroger, McKinsey Quarterly, Robert Half
本屋: AbeBooks
アパレル: Lacoste, New York & Company

これらの会社の肩代わりをしてメールを送付し、その数は年間400億通にも上るという。
取引のある会社ごとにメールアドレスと名前が漏洩したという。
それ以外の個人情報は漏れていないと状況を過小評価しようとしているが、ことは重大だ。
どこかの国の放射線量発表みたいだ。

現段階で懸念されているのは、Spear Phising といわれるスパムメールの増加だ。
通常のフィッシングメールと異なり、宛名がきちんとフルネームで表示されており、場合によっては住所まで書かれている。
スパムメールの一つの見分け方として宛名がフルネームかどうかと言うのがある。
実際、スパム篩い分けフィルターの一つとして「名前が入っているかどうか」という条件を使用している。
その防御法が使えない。
厄介な事態である。

また、これとは別に、アンドロイドと iOS に対して顧客情報の取り扱いが合法かどうかの司法調査が入っているという報道もあった。
自分の知らないうちに情報が様々な会社に送られているというのは望ましいことではない。
特に、グーグルの場合は個人情報の取得とそれらの相互関連づけが会社の生命線だ。
誰と誰がメールのやりとりをしているかに始まり、誰が住所録に載っているか、どういうウェブサイトを閲覧しているか等を全てデータベース化している。
グーグルカレンダー上の行事や参加者からから、社会活動から個人的なネットワークまでも知ることが出来る。
アップルは iOS 上でグーグルの活動を野放しにしている点を問題視されている。
今回はグーグルのの手法が合法かどうかの予備調査だ。

これらを見ると、個人情報は宝の山だと言うことが分かる。
しかも、その保護に関する法律の整備が出来ていない。
昨日から今日にかけて、多くの会社(イプシロンの顧客会社)から「情報が漏れたから注意するように」という警告のメールが届いている。
今回の事件についても、警告を受け取るまで自分の個人情報をイプシロンに握られていることを知らなかった。

恐ろしい限りだ。


iPad 2 レビューのまとめ

2011-04-04 00:23:26 | レビュー

木蓮の蕾が膨らみ、連翹も鮮やかな黄色で存在を主張している。
季節が変わり、花粉症の季節がやってきた。
ここで気分を一新するために、 時間的経過を振り返りながら iPad 2 のレビューをまとめてみたい。

3月1日のブログから
「3月2日の午前10時に iPad 2 が発表される」という噂が信憑性を帯びて流布していた。
その時点では画面の解像度向上には否定的な見方があり、サンダーボルトの登場が期待されていた。
白色モデルの登場は予想されていた。

3月2日 iPad 2 発表
発表当日、ライブでスティーブジョブズを見ることが出来た。
製品仕様についてはほぼ予想通りだった。
値段の据え置きとiOS4.3 にアップルTV2 (AppleTV 2) を組み合わせてのストリーミングはうれしい付録だった。

3月9日 iOS 4.3
スティーブが約束したとおり、 iOS 4.3 が発表された。
この時点で、現行モデルと呼べる機器の数が減り iPod Touch (2G) とiPhone 3G が初代 iPhone の仲間入りをした。
RIP
ただ、新OSの目玉の一つであるテザリング (Personal Hot Spot) が日本で使えないのは不条理だ。
ソフトバンクに門戸開放を求めたい。

3月11日 iPad 2 を実際に使用してみての感想 
待望の iPad 2 を手に入れた。
全てのソフトで iPad に比べて動作と画面表示が速くなった。
カメラだけは解像度が使用出来るレベルにも達していない。
ビデオカメラとしての使用のみを考えた方が良い。
全体として第一印象はかなり良かった。

個人的には iPad 2 はあくまでもラップトップの小型化だ考えているので、画面があと1インチ大きい方が良いかなと思っている。
ここまで薄く作ってくれたら、全く不満はない。
もし、スマートフォンの高機能化を求めるなら7”タブレットを考慮するだろう。
その分野では iPhone の機動性を重視するので7”画面は望まないし、第一製品がない。

アンドロイドタブロイドはアプリが乏しくただの箱となる危険がある上に、インターネットでの動作についても一律でない。
例えば、インターネットバンキングにおいても、 iPhone や iPad は動作が保証されているが、アンドロイド携帯についてはフラグメンテーションのため、動作保証がされていない(みずほ銀行)。
数字上で高機能なハードがあったとしても実際に使えないのなら全く魅力を感じない。

ソフト開発者を惹き付けるためには、OSにおいて何らかの標準化が必須だ。
その意味でタブレット用 OS3.0 (Honeycomb) のオープン化をやめ閉鎖したした点は評価できる。
ようやく、グーグルも自分たちが不条理な主張(OSのオープン化)をしていたことに気付いた。

3月12日 (アプリのレビュー)
かなりの数のアプリを試してみたが、その中から完成度の高いアプリをいくつかレビューしてみた。
その後3週間使い続けた後で、それぞれのアプリに対する評価は変わらなかった。
後日、Dropbox についての説明を追加したが、これらは仕事をする上で有益なソフト達だ。
もちろん他にもたくさん良いアプリがたくさんある。
いずれ、テーマを絞ってまとめてみたい。

3月20日 長所と欠点
iPad 2 はコンピューター(iTunes) に隷属している。
この点は長所でもあり欠点でもある。
画面の大きさは個人の好みなので長所とも欠点とも言えない。
画面のサイズが選べない点は他のサイズを欲する人にとっては欠点になるだろう。
しかし、単一の画面はソフト開発者にとっては朗報だ。
新市場開発にあわせてソフト開発者に集まってもらうためには単一画面でスタートするのは大きな長所となる。
その意味で、10インチ前後の画面を丁度良いと考える大多数の消費者にとってはむしろ間接的な利益が大きい。

では 純粋な欠点はというと、カメラにつきる。
8メガピクセルくらいのカメラを装着して欲しいと思うが、技術的に間に合わなかったらしい。
ソニーが提供する8MPカメラは iPhone 5 でデビューの予定だ。

3月21日 スマートカバー
3月2日の発表時に一番意表を突かれたのがスマートカバーだった。
話題性だけを勘案して購入したが、機能的には気に入っている。
不満な点は組み合わせて使えるケースが無いことだ。
ケースについてはいくつかの組み合わせを考えて注文を出している。
製品を入手したら比較検討して iPad 2 ケースのレビューをまとめてみたい。

3月23日 iPad 2 と後発品との比較
iPad 2 を Motorola Xoom, HP Touchpad, RIM Playbook, Samsung Galaxy らと比較してみた。
この日のブログには比較表があるので参考にしてもらいたい。
結論は、総合サービス、アプリ、価格の点で iPad 2 に迫る後発品はないと言うことだ。
ただ、Galaxy と PlayBook には7インチモデルがあり、一定の支持を受けるのではないだろうか。
実際、 Galaxy で一番売れているのは7インチモデルだという。
RIMの PlayBook は自家製のOSの上にアンドロイドを走らせているのでフラグメンテーションの影響が大きく、将来のOSアップグレードが不透明だ。
新しいOSの恩恵を受けられないとなると不利益も甚だしい。

3月27日 iPad 2 へのファイルを転送
ファイル転送の方法をいくつか紹介したが、定法 (iTunes) の他にクラウドを利用するのが便利だ。
Dropbox を使えば基本的に無料でなおかつセキュリティーもしっかりしている。
(通常の使用なら無料サービスで十分)

4月1日 iPad 2, AppleTV, AirPlay とストリーミング
この日は AppleTV のレビューだが、iPad 2 と関連が深いのでここに含める。
iPad 2 上の動画や写真は AppleTV を使って大画面テレビで視聴できる。
セットアップ、操作共に簡単なのでマニュアルを読まなくても直感を頼って大丈夫だ。
iPad 2 の良さを生かす一つの方法として活用できる。

ふりかえってみると、iPad 2 の使用によって生活上の楽しみ方が少し変化したことが分かる。
iPad 2 の良さはハードウェアのスペック(仕様)で決まるのではなく、どういう経験が出来るかで決まるのだと思う。
数字の比較だけでは分かりづらい User Experience は iPad 2 の実際仕様で感じることが出来る。
ケータイを高機能のスマートフォンにアップグレードしたいと思っている人には iPad 2 を薦めない。
これまでコンピューターに縁がなかった人やケータイを使いこなせない人、また新しいデジタルライフを経験してみたいという人には一押しの iPad 2 だ。


福島第一原発の事故処理

2011-04-03 10:33:12 | 日記

福島第一原発事故の評価が行われている。
世界でこれまでに3例しかない 炉心溶融の記録を基に、福島原発で何が起きているかを科学的に推論するものだ。
特にフランスでは原発の依存度が高く、原発の安全は国の存亡にかかわっている。
必死に情報を集めるのは当然だ。

フランスの解析によると、福島の原子炉では冷却水の75%が失われ、炉心の温度が接し2500度以上に達したとされる。
この温度は核燃料を保護するジルコニウムを溶かすのに十分な高さだ。
水素爆発が起きたという事実だけとっても核燃料棒の温度が危険なレベルに達したことが分かる。
米エネルギー省長官スティーブン・チュウ氏は一昨日(先週の金曜日)、福島の原子炉の一つは7割が損傷し、もう一つでは燃料棒の1/3が溶融していると発表した。
実情は数年以上待たねば確認できないだろう。
ただ、ヨーロッパとアメリカの科学者達はいずれも最悪の事態 (complete meltsown) だけは回避できると見ている。

多くの観測データを基にしたコンピューター・シミュレーションでは冷却水が失われていた時間の長さから放出された放射性物質の拡散状況、直接観測できない炉心の状況などが科学的に推論される。
このシミュレーション用のプログラムをフランスで作成していた人と一緒に仕事をしたことがある。
彼から聞いた話によれば、 彼のチームが取り組んでいたのは膨大なプログラムを使って、各観測地点での核種や線量、気象データ、目に見える出来事(水素爆発など)等、様々な生データの経時的変化を入力し、事故の経過を再構築するものだ。

そういったシミュレーションによって福島からの放射性物質がいつどのくらいカナダや米西海岸に到達するかが予測され、実際にその正確さが示されている。
そのシミュレーションによって、福島第一原発は最悪のコースをたどっていないと推論されたのはよい知らせだ。
しかし同時に、これからの困難さも示している。

福島原発事故はスリーマイル島の事故に比べて重大さが格段に上だ。
一つの原子炉で核燃料棒が半分損傷しただけのスリーマイル島事故では160トンの汚染水が川に流され、1300万キューリー (4.8 x 10^17 Bq) もの放射性物質が空気中に放出された。
今回の福島原発事故では汚染水の量は東京ドームの何倍分にもおよび、最終的に放出される放射性物質の総量は想像を絶する。
規模が桁違いだ。

スリーマイル島ですら、NRC(原子力安全委員会)から安全宣言が出されたのが事故から10年近くも後で、核燃料の除去には14年を要している 。
Dickinson College で事故とその後の汚染除去作業の要約がまとめられている。
土壌やコンクリートに染みこんだ放射性物質は自然崩壊するのを待つしかないという付録までついてくる。
福島第一原発事故については専門家の言うとおり、現代で最も重大な災害を目のあたりにしている ("Clearly, we're witnessing one of the greatest disasters in modern time." - Alan Hansen, Areva NC)。
この後始末は政府が言うように数ヶ月単位とかではなく、十数年或いは数十年という単位で考えなければならない。
政府は不安をあおらないという大儀名分のもとで過小評価を発表するのをやめ、もっと真実を伝える様に改めるべきではないか。
政府発表にたいする信用度は地に墜ちており、風評被害を押さえるという意味ではむしろ逆効果だ。


Anna Lee: New York Philharmonic Debut

2011-04-02 22:24:57 | レビュー

凄い新人がニューヨークフルデビューをした。

アンナ・リー (Anna Lee) がニューヨーク・フィルとの初共演でショスタコービッチのバイオリンコンチェルト1番を弾いた。
彼女はまだ15才だ。
14歳の時の演奏が動画として公開されているが、この1年でも大きく成長していることが分かる。
これからもどんどん磨きをかけていって欲しい。

アメリカの若手と言えばヒラリー・ハーンがグラミー賞を受賞し、期待されるバイオリニストの一人だ。
もう十数年も前になるが、彼女が15才の頃の演奏を聴いたことがある。
今日のアンナ・リーは同年齢の彼女に比べても、数段上を行く。

まず第一にオーラ。
ステージに彼女が登場した瞬間に雰囲気が変わる。
コンサートミストレスのシェリル・ステイプルと握手してチューニングをするだけで風格がある。
既に観客を惹き付けている。

演奏が始まると、音色の美しさと、テクニックの正確さに魅了させられた。
Midori なみに正確な音程でパールマンかと思わせるほど柔らかくて表情豊かな音を創り上げる。
6歳の時からジュリアード音楽院で鍛えられ、アスペンやメニューインなどのコンクールで優勝してきた業績は伊達ではない。

そして何より、スターの心を持っている。
演奏後ステージ上で司会者と会話を交わすのだが、落ち着き払っており、オーケストラに語りかける余裕すら持っていた。
ニューヨーク(ロングアイランド)育ちの音楽家がニューヨークフィルと初めて協奏曲を弾くというだけで緊張するのが当たり前ではないか。
彼女は平然とその機会を楽しんで見せた。

今日のコンサートでは、はつらつとして、楽しくてしょうがないというバイオリン演奏を聴かせてもらった。
このまま彼女が成長することを願う。
必ずや彼女は、煌めくスターとして世界中で認められると信じている。

参考動画

12歳時のインタビュー


Apple TV 2: AirPlay で iPad 2 からストリーミング(レビュー)

2011-04-01 00:28:02 | レビュー

2007年に発表された初代 Apple TV は魅力に乏しい商品だった。
マックミニをテレビに接続すれば Apple TV よりもっといろんなことが出来たからだ。
実際、退役したPowe Mac G5 を大画面テレビに接続して iTunes 上の映画やテレビ番組を楽しんできた。
ネットを通じたレンタルも行えた。

そして3月11日に iPad 2 と共に Apple TV (第2世代)も発売となった。
Apple TV 2 はiPad 2 ほど話題になっていないが、実は飛躍的に進化している。
第2世代はサイズが小さくなっただけでなく、心臓部に初代 iPad と同じA4を搭載して賢くなっている。
そして目玉が AirPlay だ。
コンピューターや iPad, iPhone, iPod Touch からのストリーミングが可能となった。
一部ではあるがアップル以外のソフトも AirPlay に対応しており、ゲーム等を大画面で楽しめる。

ここで Apple TV 2 の使い心地を報告したい。

まず、セットアップはこれ以上ないと言うくらい簡単だ。
Apple TV 2 を箱から出して、HDMIケーブルでテレビに接続する。
電源コードをつないでセットアップは完了だ。
たまたま Airport Extreme (日本では AirMac Extreme)が隣にあるので Ethernet ケーブル (RJ45) をつないでおいた。
(もちろん無線LANを使って接続するならこのケーブルは不要。)

次にテレビの電源を入れ、HDMIを接続したポートを選択すると、画面に Apple TV が表示された。
画面に表示される指示に従ってリモコンのボタンを押していくという簡単な操作だけで初期設定が終了する。
映画のレンタルやテレビシリーズの視聴、 YouTube, Netflix などの内容の再生が可能となった。
マックミニも同じ使い方が可能だが、手順の簡便さがまるで違う。
一度きりの初期設定さえ終われば次回からはテレビのスイッチを入れればそこにメニューがあるという感じだ。

続いて、AirPlay を利用したストリーミングに挑戦。
まず コンピューターを立ち上げて iTunes の「ホームシェアリング」を有効にしておく必要がある。
(初期設定の中からか、メニューバーの "Advanced" のなかから切り替え可能)
うちでは複数のコンピューター間でライブラリーを融通し合っており、既に Sharing ON となっていた。
コンピューターが Apple TV と同じネットワーク内(同じルーターに接続している)ことを確認して準備完了。

テレビの電源を入れ、Apple TV のメニュー画面からコンピューターを選択する。
初めて使用する時にはどの iTunes ライブラリーを使うか指定しなければならない。
その際、ライブラリーの所有者が許可していることを示すために iTunes アカウントのユーザー名とパスワードを入力する必要がある。
それさえ済めばコンピューター上の映画やテレビ番組が大画面テレビで楽しめる。
ちなみに Apple TV は「認証されたコンピューター」には数えられないので、最大5台までという数字に影響しない。

さらに、 iPad/iPad 2, iPhone, iPod Touch での動画再生を AppleTV を通じてテレビ画面に映し出すことができる。
動画を再生すると iOS 機器の画面内のコントロールバーに「長方形の下辺に黒い三角がついているアイコン」が登場する。
それを押すと、テレビ画面での動画再生が始まる。
この操作は簡単で1度再生を試せば習得できる。

余談だが、Apple TV のリモコンはテレビ等のリモコンに比べて小さめなのでなくすのではと心配する人もいるかもしれない。
ところが iPad/iPad 2, iPhone, iPod Touch をリモコンとして使用出来るのでそれは杞憂だ。
アップルが無料で Remote というアプリを提供している。

結論は、$99 (¥8,800) という値段は、この AirPlay のためだけに払っても全く不満がない。
予想以上に素晴らしい。

★★★★☆