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iPad 2 のケース:決定版

2011-05-25 18:18:16 | レビュー

iPad 2 の保護について色々考えてみた。
iPad 2 購入当初はスマートカバーを使いたくて、Invisible Shield (ZAGG) を利用してみた。
背面と画面の両方をちょっとしたひっかき傷から守るには最適だ。
ただ、物理的ショック(落とす)や側面の保護がいまいち不安だった。

そこで、移動中は KUTU (Sena) に入れて持ち運ぶことにした。
ところが、Invisible Shield と KUTU の相性が良くない。
出し入れがスムースでない上に、シールのヘリに黒い繊維が付着して醜くなるのだ。

思い切ってスマートカバーを諦めることにして、Marware の MicroShell Folio iPad 2 case を購入した。
これが予想以上に快適で、スマートカバーと同じ機能を持ったカバーがケースに付着している。
持ち運ぶ際に指が懸かるようにデザインされた背面の縦しわも丁度良い。
薄くて軽いため、本を長時間読んでも疲れない。
初期 iPad と比較するとその違いがよく分かる。
ところが、iPad 2 の初期不良による無償交換を受けた際、取り外しが難しくSIM交換に難渋した。
海外旅行時には現地でSIMを調達する予定なのでこれは致命的な欠点だ。

そこで、新しい iPad 2 に変わったことでもあるし、スマートカバーの復活となった。
今回は XGearlive の Enhancer Snap On Case を購入した。
こちらはSIM交換がそれほど難しくない。
スマートカバーも完全に対応している。
その上で持ち運び時には Beyzacases に入れることにした。

結論としては、SIM交換を頻回に行わないなら Marware の MicroShell Folio がお勧め。
SIM交換が必須の人には、スマートカバーに XGearlive の Enhancer Snap On を薦めたい。


映画:パイレーツ・オブ・カリビアン-命の泉

2011-05-24 17:10:28 | レビュー

Pirates of the Caribbean - On Stranger Tide (邦題:パイレーツ・オブ・カリビアン−命の泉) は微妙な映画だ。
明らかにこれまでのPOC路線とは一線を画している。
第3作で話が複雑になりすぎたとの反省からだろうか、筋書きは単純明快となっている。

今回の映画の良い点

  • ジャック・スパローが戻ってきた。
  • ジョニー・デップは相変わらず元気だ。(彼が活躍する最初の20分間が一番楽しめる)
  • ジョニー・デップとジェフリー・ラッシュの間に漂う雰囲気が映画を性格付けている。
  • イアン・マクシェーンが迫真の演技で映画を引っ張っている。
  • オーランド・ブルームが出演していない。
  • 単純な筋書き
  • これまでのディズニーに見られない種類の人魚の登場

今回の映画で不満の残る点

  • 筋書きに中だるみがあって眠くなる
  • サブストーリーとしての人魚の恋愛は唐突で不要。(一貫性に欠ける)
  • スペイン船団が登場する必然性がない。
  • なじみの海賊の多くが不出演
  • あと30分は短くできる
  • 先の読める展開

暑さにだらけて頭を使いたくない時に適度に楽しみたい人に勧めたい映画だ。

映画が終わった後長いクレジットが登場するが、最後まで見ることをおすすめする。
次につながる布石が登場する。
制作者の言を借りると、この映画は「3部作の冒頭譜」だそうだ。


映画「リオ」 (Rio the Movie)

2011-05-22 21:34:18 | レビュー

映画「RIO」 は色彩豊かで、音楽ののりも良い。
ストーリーとしては ダンボや101匹わんちゃん、ファインディング・ニモの系列だ。
アニメの質が高く、技術の進歩にただ感謝するだけだ。

視覚的に楽しい上に、ストーリーも子供向けにしっかりと作られている。
子供と一緒に楽しめる。

余談になるが、人気ゲームの Angry Birds とタイアップしてリオ版が発売されている。
通常は緑ブタを殲滅するのがゲームの目標だが、リオ版では捕らわれている鳥を逃がすのが目的だ。
ちょっとした空き時間に楽しむゲームとしては良くできている。
いつでも中断できる構成が人気の秘密だと言われている。

★★★★☆


電子書籍:キンドルと iPad 2

2011-05-20 08:36:01 | レビュー

アマゾンの広報室から。
「100冊の本を売る間に、105冊分の電子書籍が売れている」
"... every 100 print books Amazon.com has sold, it has sold 105 Kindle books."

これは凄い数字だ。
読者の紙離れが予想以上に進んでいる。
もちろん、紙の消費が減ることは地球にとって望ましいことだから歓迎するべきだろう。
日本では、電子書籍に対して作家側の拒絶反応が強い。
次の世代になるまで待つ必要がありそうだ。

アマゾンが書籍を売り始めたのは1995年。
キンドルの登場が2007年(12年後)。
2011年に電子書籍が紙を抜いた。

簡単に Kindle と iPad 2 を比較してみよう。
結論から言うと双方に言い分がある。(実際両者を使い分けている。)

本を読むならキンドル。
明るいところでも字が読みやすい。
長時間読んでも目が疲れない。
小さくて軽い。
電池の持ちがよい。
このように専用機ならではの長所がかなりある。

一方、iPad 2 は付録や挿絵がカラーできれいだ。
いつも携行しているのでちょっとした時間ができた時にすぐ読める。
たとえ iBook がなくても iPad 2 は使うわけだから電子書籍を読むために使っても無駄ではない

旅行に行くなら両方に使い道がある。
書籍を買い分けているのでライブラリー内の書籍は全く違う。
読み物はキンドル、マルチメディア付きは iPad 2 と使い分けている。
移動中や待ち時間中は iPad 2、プールサイドや浜辺で時間を過ごす時はキンドル。

もちろん人によって使い分け方は異なるだろうが、基本は「明るいところではキンドル」だ。


アデルの「21」 (ADELE "21")

2011-05-18 06:48:03 | レビュー

Adele の2枚目のアルバム「21」が発売されて3ヶ月。
だいぶ聞き込んだのでこのあたりで感想を。

まず挙げたいのは彼女の成長ぶり。
前作「19」に比べて局に深みが増し、彼女の表現力にも磨きがかかっている。
テーマは一貫して "Heartbroken Soul" 失恋・別離・破局。

彼女自身の言葉で表現すると:

"It’s [21] different from 19, it’s about the same things but in a different light.
I deal with things differently now.
I’m more patient, more honest, more forgiving and more aware of my own flaws, habits and principles.
Something that comes with age I think.
So fittingly this record is called 21."

 「21」は「19」と違う。テーマは同じだけれど切り口が違う。
今の私は昔より成長している。
忍耐強くなったし、誠実さが増して人の間違いを許せるようになった。
自分に足りない部分や好み、自分自身の倫理観が見えるようになった。
年をとって経験を積んだからだと思う。
だから、年齢をとって「21」というタイトルにした。

今アルバムは2年前の彼との破局がインスピレーションとなっている。
切実な思いが伝わってくる歌詞に彼女の味わい深い声が良くマッチしている。
体の中にしみこんでくる様な魂のアルバムと言える。

まず先行シングルカットの "Rolling in the Deep"。
(このページのリンクは全て 公式サイトのビデオ)

心を弄ばれた彼女は復讐心に燃える。
Don't undrestimate the things that i will do
(どんなことでもするから見くびらないでよ)と啖呵を切るあたりは空恐ろしい。
さらにこう続ける。
Think of me in the depth of your despair
Make a home down there as mine sure won't be shared
迫力のある歌だ。
ジャンルはソウルだ。

Glee 版はこのリンク。(Lea Michele & Jonathan Groff)
アカペラでしっとりと謳われてみるとこれもなかなか良い。
ジョナサンの声が曲にマッチしている。

次に人気番組 Glee でグウィネス・パルトローがカバーした "Turning Tables"も別れの歌だ。
諍いに疲れて彼の元を離れる決意をする彼女の心境を綴っている。

シングルカットされた "Someone Like You" はけなげな女性を歌い上げている。
昔の彼氏が結婚したと聞いた。
どうしてももう一度会いたいという気持ちを押さえきれない。
あなたのことを忘れられないから。
Never mind
I'll find someone like you
I wish nothing but the best for you too
(やっぱりやめておく、
貴男にそっくりな人を見つけるわ
貴男が幸せになることだけを祈ってる)
心にしみる歌だ。


映画 Bridesmaids

2011-05-17 17:14:10 | レビュー

映画 "Bridesmaids" は「無ケーカクの命中男/ノックトアップ」 (Knocked Up) を監督したジャド・アパトーがプロデュースした作品だ。
前作は制作費3000万ドルで2億ドルを超える興行収入を上げている(2009年2月のデータ)。
今回作も一般観客の評価が高く前作と同程度のスコアをマークしている。

サタデー・ナイト・ライブ(SNL)出演者が中心となっている作品はどぎつく、どたばた喜劇になることが多い。
今日も心の準備はしていったつもりだったのだが………

映画のオープニング・クレジットが終わったとたんにクリステン・ウィグがエンジン全開で思わずいすからずり落ちそうになってしまった。
その後も、台詞がよく練られている上に、他の出演者の描出が見事であっという間に物語に引き込まれていく。
終わってみれば2時間を超える喜劇だとは思えないほど瞬く間に時が過ぎた。

まず、クリステン・ウィグが素晴らしい。
負けん気が強く、複雑で寂しい女性をきっちりと演じている。
役柄のアニーはかなり扱いにくそうな女性だが、どこか憎めないかわいらしさを残しているのは彼女の役作りのおかげだ。
さらに、彼女は微妙な表情、間、緩急の切り替えが巧みで、コメディエンヌとしての才能を十分に発揮している。
たくさん笑わせてもらった。

周りを固める役者も故ジル・クレイバーグをはじめ目の覚めるような演技で驚かせてくれる。
人の関わり(恋愛関係、友情、親子)も衝突、和解、懺悔、等たっぷり織り込まれており、ドラマとしても上質だ。

ただ、R指定の言葉を多用して、性を想像させる表現で笑いをとる場面も多い。
日本でどのくらい受け入れられるのだろう。
筋書きがしっかりしているので翻訳によって台詞の絶妙さが失われたとしても十分楽しめるのではないだろうか。

★★★★☆


iPad / iPad 2 での雑誌定期購読。

2011-05-15 17:57:55 | レビュー

iPad /iPad 2 の定期購読について。

出版社側からは30%という手数料が高過ぎると不満が出ている。
そのため参加を見合わしているところも多い。
先週、大手の一つ Condé Nast が参画してきた。
The New Yorker を出版していると聞けば思い出す人もいるだろう。

早速、購読することにした。
年間購読料が $19.99 (約1600円)で52冊分の値段としては安い。
内容は広告も含めて印刷物と同じだが、マルチメディアで差が生じる。
例えば今週号には Sherman Alexie のソネットが掲載されているが、著者による朗読を聞くことができる。
印刷物では不可能なサービスだ。

この形式では紙の制限を超えて情報を発信できるという大きな利点がある。
将来的には情報提供の大きな柱となるだろう。
問題はもしそうなったらどうするかではなく、いつその時が来るか、だ。

ちなみにこのソネットはソーシャルネットワーク(SNS)を題材とした古典形式の歌と言えばいいのだろうか。

人のつながりを確認するのが昔に比べて容易になった。
毎日が高校の同窓会のようであり、昔付き合っていた人の様子も自然と分かるようになった。
人がつながっているけれど、実際には究極の孤独かもしれない。
そのあたりを謳っている。

THE FACEBOOK SONNET

Welcom to the endless high-school
Reunion. Welcome to past friends
And lovers, however kind or cruel
Let's undervalue and unmend

The present. Why can't we pretend
Ever stage of life is the same?
Let's exhume, resume, and extend
Childhood. Let's all play the games

That occupy the young. let fame
And shame intertwine. Let one's search
For God become public domeain.
Let church.com become our church.

Let's sign up, sing in, and confess
Here at the altar of loneliness


Thor (邦題:マイティ・ソー)

2011-05-11 10:58:17 | レビュー

Thor (邦題:マイティ・ソー)は北欧神話に基づいた映画だ。

まず背景を確認しておきたい。
主人公の Thor (トール)はハンマーを武器として人間を守る雷神として記述されている。
ちなみに木曜日 (Thursday = Thor's day) は彼の日で、 この映画の中で友人とされているシブ (Sif) が神話上の妻だ。

映画には北欧神話の3層9つの世界のうち3つが登場する。
霜の巨人一族が住むヨトゥンヘイム(第2層)。
人間の世界、ミズガルズ(第2層)。
アース神族の住むアースガルズ(第1層)。
そして第1層と第2層は虹の橋 (Bifröst) で結ばれている。
この橋が映画において重要な意味を持つ。

筋書きは、好戦的な無頼漢だったトール Thor が試練を乗り越えて立派な王様になると言う正統派。
アース神族と霜の巨人の長年に渡る対立が物語の設定だ。
そのなかでロキとラウフェイ王が悪役を演じる。
本来、ラウフェイはロキの母親で、霜の巨人の王はウートガルザ・ロキのはずだが、名前を混同されないように変更したのかもしれない。獅子が子を崖から突き落とすようにオーディンはトールをミズガルズへ追放する。
神としての力を剥奪されたトールはただの人である。
自信を喪失しつつも、友人達に助けられミズガルズを守るために立ち上がる。
一方、アースガルズではロキの奸計が成功しつつあった。
そこへ成長して帰ってきたトールがアースガルズを救って大団円を迎える。

この展開はほとんど一本道で予想を裏切らない。
ジェーン(ナタリー・ポートマン)とトール(クリス・ヘムズワース)の関係は定型通りで、政府関係者の行動パターンもおきまりのもの。
正邪がはっきりと分かれている点もコミックのお約束だ。
このタイプの映画の見所はアクションと特撮だから、単純な筋書きでも許容できる。
欲を言えばジェーンの内面の変化や葛藤をもっと丁寧に掘り下げて欲しかった。
ナタリー・ポートマンならもっと厳しい要求にも応えられたはずだ。

肝心の特撮については十分楽しめると言える。
ただ、セールスポイントの3Dに大きな不満が残る。
広角で遠近差のある場面でこそ3Dが威力を発揮する。
バーで飲み明かすシーンは3Dである必要がない。
悲しいかな、そういった近接がこの映画では多用されている。
通常($5)の倍の料金($10)を払って3Dにする必要はない。
日本の公式サイトでも「7月2日3D公開)と宣伝されているが、2D版で十分だ。

出演者を観てみよう。
アースガルズの王オーディンを演じるアンソニー・ホプキンスはさすがに存在感がある。
妻役のレネ・ルッソはあまり目立たない。

主役の二人はしっかりと演技しており、間合いがいい。
笑える台詞が所々にちりばめられているが、その表現の仕方がさすがに上手だ。
ナタリー・ポートマンは最近本格派女優として脱皮したばかりだが、こういう軽い役もまだこなせることを示した。

脇役ではステラン・スカルスガルドとキャット・デニングズがいい味を出している。

 

追記:兄弟として育てられたトールとロキについて
オーディンに認められアースガルズに住むロキが霜の巨人の血を引くことが映画の中で示される。
この点を持って、二人の関係が映画の中でのひねりだと感じる人もいるかもしれない。
ただ、ロキが霜の巨人ファールバウティとラウフェイと子供だということが北欧神話では周知の事実なので筋書きに意外性を与えていない。


ワイルド・スピード MEGA MAX

2011-05-04 19:48:27 | レビュー

Fast Five (邦題:ワイルド・スピード MEGA MAX )は Fast and Furious シリーズ8作中5作目だ。
結論から言うと、これまでの5作中では飛び抜けて傑作と言える。

ポール・ウォーカー演じるブライアン・オコナーとミア(ジョーダナ・ブリュースター)がドム(ビン・ディーゼル)を前作「ワイルド・スピード MAX 」で刑務所から救出してお尋ね者となる。
そこで、南米に渡って一仕事するわけだが、迫力満点のカーアクションが全編を通じて満喫できるだけでなく、怒り、悲しみ、失望、野望、希望、幸福といった様々な感情が上手く織り込まれている。
仲間同士の軋轢も、敵対する人間の間に築き上げられる信頼関係も無理なく描写されている。
会話もウィットに富み、行間で多くのことを伝える美意識を持っている。

例えば、"I thought nobody would ever understand how much." というドムの台詞は一人の登場人物が抱えていたもやもやを吹き飛ばし、内面の流れを一気に逆流させる強い力を持っていた。
それが見るものにきっちりと伝わってくる。
近年公開されたアクションものの中では最高の一作だ。

ちなみに、最後のタイトルロールはしっかりと見届ける必要がある。
次回作(ビン・ディーゼルによるとドイツのアウトバーンで撮影するそうだ)の種が蒔かれている。

★★★★★

 

小説 マッターホルン ("Matterhorn" by Karl Marlantes)

2011-04-30 20:28:06 | レビュー

マッターホルンはベトナム戦争を描いているが政治小説でも単なる戦争小説でもない。
人間の精神的な葛藤とあらゆる感情を究極の状況下で描き出した人間ドラマだ。

著者の Marlantes は海兵隊員としてベトナム戦争に参加した経験を基に小説を組み立てたそうだ。
小説の中での記述が事実に忠実だとベトナム戦争を経験した退役軍人から評価されている。
海兵隊の経験がない人間にとっては、聞き慣れない言葉がたくさん登場する。
末尾の用語集を先に読んだ方がいいと思えるくらいだ。
小説は徹頭徹尾、冷徹な現実を中心に展開している。

新しく配属された Mellas 少尉は Bravo Company (中隊)の第一小隊を率いることになる。
彼はベトナムで履歴書に箔を付け帰国後は政府関係の仕事につこうと考えている。
さらに、ベトナムでも政治的な策略で昇級できれば、とすら思っていた。

ところが現実は甘くなかった。
ジャングルの中で多くの死と直面し、肉体的にも精神的にも追い詰められていく。
組織の中で歯車として働き、戦争そのものにも疑問を抱く。
戦いの目的を見失い、アドレナリンの効果だけで前に進む。
爆発する怒りで殺人を正当化し、失われた友人の亡霊に苦しむ。

登場する多くの個性的な人物は、欠点や悩みを抱えそれぞれ苦しんでいる。
それぞれの人間関係が複雑に絡み合い、人種問題がさらに糸をもつれさせていく。
グループ同士の衝突に加え、各グループ内での権力争いも激しくなる。

極限状況で育まれた友情は Semper Fi (常にお互いに忠誠を尽くす)の言葉に象徴されている。
Semper Fi は海兵隊のモットーで国に忠誠を誓うことを意味しているが、実際には海兵隊員同士の信頼関係、忠誠に対して用いることが多いという。

戦闘で負傷した Mellas 少尉は治療を受けるため一時戦場を離れる。
病院船でのエピソードは彼の内面の変化をシンボル化して表現している。
そして、筋書きはある意味で象徴的な展開を見せて終結する。

漠然とした愛国心だけで志願した主人公は、アメリカはベトナムで絶対に勝てないことを悟る。
そして、意味のない戦いで多くの人が命を落とすことにやり場のない憤りを感じる。
戦場での経験を通じて人間として大きく成長した主人公は、同時にPTSDにも悩まされる。
何度も究極の選択を迫られ、苦渋の決断を下してきたからだ。
強力な小説である。

Marlantes はこの小説を30年かけて書き上げたという。
アメリカ史上の汚点であるベトナム戦争を舞台に、物語を体の芯まで響くように描写する彼の筆力に脱帽する。
まさに魂を揺さぶられる小説だ。
彼の次の本が30年後とならないことを願う。

 

iPad2 ケース (スマート・カバー用)

2011-04-28 09:08:34 | レビュー

日本でもようやく iPad 2 が発売になったようだ。
スマートカバーを一緒に買った人も多いのではないだろうか。

第一の留意点は、スマートカバーは本体の保護には役立たないと言うこと。そこで、

 (1)何もしない
 (2)フィルムで保護する
 (3)ケースを使う

という方針を立てることになる。(1)はさておき、(2)と(3)に使える商品はどれだけあるだろうか。
いくつか紹介してみたい。
(2)のためのフィルムなら Zagg の Invisible Shield が一番だろう。
(3)のケースなら、Piel Frama の革製ケースX Gear のカーボンファイバーお手頃な Enki などがある。
Sena からはスマートカバーごとはいるパウチが発売されている。

自分の使用スタイルに合っているのは(2)のフィルム保護でスマートカバーを使い、セナのパウチに入れて運ぶというもの。
今のところ、Ultraslim (Smart cover) を使っているがやや窮屈な印象なので
KUTU
に買い換えようと考えている。


New MacBook Air 6月にモデルチェンジ予定

2011-04-25 10:47:50 | レビュー

Apple MacBook Air が 32-nm Sandy Bridge を搭載するという噂は前から流布していたが、ここへきてどうやら確実となった。

現行モデルは 45-nm Penryn Core Duo を使用しているがこれはもう2年ものだ。
周期的には丁度良い頃合いで、ここ数ヶ月で MacBook Air の出荷数が半減している事実も発売後半年強でのモデルチェンジを正当化する。

搭載されるプロセッサーはおそらくi5とi7だろう。
根拠は、MacBook Air には消費電力の少ないプロセッサーが常に使われてきたこと。
インテルのプロセッサーサイトで比較すると、i7の17W/25Wモデルは4種類ある。
11.6 インチには 1.5 GHz と 1.6 GHz 、13.3 インチには 2.1 GHz と 2.3 GHz が搭載されると予想できる。
i5を搭載した 11.6" モデルも当然考えられる。

もう一つの焦点はサンダーボルトが装備されるかどうかだが、これについては肯定的に見る人が多い。

発表時期については6月と考える。
5月末に生産開始となるからだ。

間もなく白 MacBook も新しくなると思うが、 MacBook Air の更新が先行するだろう。


RIM Playbook プレイブック レビュー

2011-04-15 00:47:11 | レビュー

先日、RIMのプレイブックは画面サイズの違いからニッシェを見つけるかもしれないと書いたが、どうやらそうではないらしい。
4月19日に発売になると言うことで全容が明らかになった。

結論から言おう。
これは売り物にならない。
すでに失敗作で買う人はほとんどいないのではないだろうか。

まず、最大の欠点から。
基本とも言えるメールやアドレス帳、カレンダーなどの機能が付いていない。
夏までにはソフトウェアのアップデートにてこれらの機能を追加するとRIMは言う。
要するにまだ未完成なのだ。
この段階で発売に踏み切るとは消費者を軽んじていると言われても仕方ない。

今はブラックベリーを持っていればブリッジ機能でメールできると言うが、これはアップルのエアプレイに他ならない。
電話の中にあるデータをタブレットで表示しているだけだ。
換言すると、ブラックベリーを片時も離さないという人以外にはこのタブレットは無用の長物になってしまうと言うわけだ。

もう一つの弱点である、ソフトウェアの貧弱さについて。
最近ソフトウェア開発者に対して、「アプリを投稿すれば無料でプレイブックを進呈する」というキャンペーンを張って少しでもソフトの品揃えを充実させようとした努力は買うが、総数3000でその上、アプリが玉石混淆ではまだ寂しい。
夏以降には、エミュレーターを提供してアンドロイド用のアプリを使えるようにすると発表したが、どうやら携帯電話用のアプリだけのようだ。
タブレット用(Honeycomb 用)は使えない。

ハードウェア的には電池に問題を感じる。
見やすい明るさで動画を再生すると電池が5時間持たない。
iPad 2 の半分にも満たない。

長所は二つ。
ウェブブラウザーとユーザーインターフェースだ。

しかし、プレイブックが上記のような致命的欠陥を持ったまま発売されたところをみると、RIMは相当追い詰められているとみた。
一刻も早く市場に参入したいばかりに、まだフレームワークすら完成していないアルファ版以前の製品を投入している。
これでは売れない。

このままでは夏まで持たないかもしれない。
そうなればRIMが約束をした夏までの基本機能の追加やアンドロイドのエミュレーターが配布に至ら無い可能性まである。
それでは今プレイブックを買った人が馬鹿を見る。
iPad 以外のタブレットを入手したい人はプレイブックを買うのを控えて、ズームを待つ方が賢明だ。


映画「ハンナ」(Hanna) シアーシャ・ローナン、ケイト・ブランシェット

2011-04-12 14:36:14 | レビュー

シアーシャ・ローナン主演の「ハンナ」 (Hanna) は厳密に言えばSFアクションだが、筋書きはかなり現実的だ。
ハンナの存在自体が非現実的なスーパー・ガールだというだけだ。

シアーシャ・ローナン自身は「自分のことをサーシャ(アイルランド語で自由という意味になる)と呼んでいる」、とインタビューで語っている。
この映画では、まさに少し変わった自由な女の子をとても自然に演じている。

「つぐない」(Atonement) やラブリー・ボーン (The Lovely Bones) で女優としての可能性を披露したシアーシャがさらに成長した姿を見せてくれる。
ハンナがシリーズ化されれば彼女の代表作の一つとなるのは間違いない。

予告編
(Trailer の方の3角印をクリックすると画面サイズの選択肢が登場する)

 

父親エリック(エリック・バナ)に鍛えられた少女ハンナは超人的な敏捷性と力強さに加えて類い希な鋭い感覚も備えている。
父親に与えられた使命を果たすために、敵の懐に飛び込んでゆく彼女。
強大な組織との壮絶な戦いと、その間に挟まれる人間関係の描写が微妙に組み合わされ、ローラーコースターに乗っているかのようなサスペンスアクションが展開される。

彼女の出生の秘密が次第に明らかとなり、物語は一応のまとまりを見せるが、この映画は「ハンナ誕生」ともいうべきエピソードだ。
批評家も一般観客も高い評価を下しているので、余程のことがない限り続編の登場は間違いないだろう。

 

忘れてならないのが、音楽と効果音。
最近見た映画の中では抜きんでている。
心理的な緊張を高める効果はハートロッカーと肩を並べる、といっていい。

撮影に用いられた独特のアングルと緊張感を保つ編集は秀逸で見るものをぐいぐい引き込んでいく。
さらに、映画の背景に置かれた何気ないオブジェや小物が粋だ。
ドイツの街並みのセットも筋書きとの相性よく好感が持てた。

 

心理サスペンスとアクションを純粋に楽しめ、中に人のふれあいも織り込まれている秀逸の作品だと感じた。
少々グラフィックな場面もあるが、それが気にならない人は是非見に行かれることを勧めたい。

★★★★☆

 

 

 


zip 圧縮ファイルと iPad/iPad 2, iPhone

2011-04-10 00:36:28 | レビュー

 

iPad/iPhone で zip ファイルを扱う方法をいくつか比較してみよう。
多くのアプリがZIPファイルを扱えると謳っているが、安定して使用できるソフトは限られている。
比較的評判が良く、実際に使ってみて気に入ったアプリを3種類紹介する。
それぞれ主目的が他にあるので、どれが最適かは各人によって異なると思う。
いずれも、Dropbox や iDisk, WebDAV などのクラウドに対応している。

 

 

まず、iPad 専用の GoodReader 3.5.0 から見てみよう。
これを使うと、PDF、マイクロソフトのオフィス、アップルの iWork、ウェブページ、サファリ、画像、映像、音声の表示・再生が可能だ。
特にPDFファイルのサポートに優れており、文書を開くだけでなく、リンクやズーム、パスワード、ブックマークや検索機能等も対応している。
メールに添付されたファイルも容易に開くことができる。
iPad を使ってPDFファイルを読むには最適なソフトだといえる。
欲を言えば、PDF文書内からのコピー・貼り付けができればさらによい。
もちろん、ファイルやフォルダーをまとめて zip ファイルに圧縮したり、逆に解凍できるのは言うまでもない。
留意点は、iPad 用と iPhone 用が別だという点(それぞれ $4.99)。

 

 

次に Filer 2.1 ($3.99) を見てみよう。
このソフトは zip だけでなく、RAR, TAR, Gzip も解凍する。
multi-part RAR やパスワードで保護された圧縮ファイルにも対応している。
圧縮文書は zip ファイルのみ作製可能だ。
解凍した文書を開くのは iOS 内の他のソフトに依存している。
Filer は圧縮された文書をやりとりする際には威力を発揮するだろう。

 

 

最後に FTP on The Go Pro ($9.99) を紹介したい。
このアプリは、ftp や ftps を通じてファイルを管理するのに最適なソフトで、 プログラム用に最適化されたキーボードも用意している。
マルチメディアファイルにも対応しており、ウェブページの管理には最適な ソフトだ。
Zip ファイルに関しては、解凍と圧縮の両方が可能だ。