3月11日に発売となった iPad 2 の限界(長所と欠点)について少し調べてみた。
( iPad 2 レビュー)
iPad 2 はネットブックやラップトップはもちろん、形状の似ている従来のタブレットコンピューターとも異なる。
Post-PC Device と呼ばれる所以だ。
この違いはOSから来ている。
最大の特色は独り立ちしていない点だ。
普通のコンピューターに接続しない限り使えない。
つまり、従属関係(マスター−スレーブ)が存在する。
これによって以下の長所と欠点が生じる。
欠点はもちろん iPad 2 を単独で使えないという点。
欧米諸国やインド、日本を除く東アジアならなら、コンピュータに従属しているモバイル機器に抵抗はないだろう。
日本の場合はケータイ文化が独特の進化を遂げているので事情が違う。
ケータイと接点のない iPad/iPad 2 の受け止め方は世界の平均とかなり違ってくるはずだ。
ケータイやスマホに比べて重いとか画面が大きすぎるという不満も出るだろう。
あくまでも iPad/iPad 2 はラップトップのダウンサイズであってケータイのアップグレードではない、と考えれば納得できるだろう。
次に従属関係から得られる長所はデータが常にバックアップされること。
クラウドと組み合わせて使用するためデータの保安性が高い。
マイクロソフト、グーグル、ブラックベリー(RIM)、パーム、ノキアの各社は例外なくサーバーの不具合でデータを損失するという事件を経験している。
このタイプのデータ損失は iPad - iTunes のシステムでは起こらない。
次の特色は非常にすっきりしている点。
逆に言うと、カスタマイズ出来る範囲が狭いことを意味する。
例えば、フォントやプラグインがインストール出来ないとか、印刷やファイル保存の自由度が低いといった問題だ。
これを許容範囲と見るかどうかで iOS 機器の評価が分かれるところだ。
個人的には、エアプリント可能なHPプリンターを持っているし、特殊なフォントを余り使用しない。
フラッシュのプラグインがないので日本のウェブサイトを閲覧するには多少の不便があるが、この点は致命的だとは思わない。人によっては受け止め方が違うかもしれない。
むしろ、フラッシュによる電池の消耗を防げるとか、個人情報の流出を防げるというプラス面をより重宝している。
iOS 5 が来月発表されるという確実性の高い噂がある。
その際、MobileMe が 無料化を含めて大きく変わるという期待が持たれている (iLounge: Charles Starrett) 。
iOS 機器はサーバーのクライアント的な位置づけになるのだろうか。
つまり、iTunes のライブラリーを含めてデータをクラウドにも保存しておけば、全てのファイルを iOS 機器にシンクしていなくてもクラウドから映像や音楽、必要なファイルを iPad などの iOS 機器にダウンロード出来るという仕組みだ。
OSの違いから来るこういった長所と短所は iPad 2 に限らず全ての iOS 機器に共通している 。
要は、利用者側のニーズとOSのこういった特色がかみ合っているかどうかが鍵となる。
次に、ハードウェアの点から iPad 2 の特色を見てみたい。
既に、いくつかのサイトで iPad 2 の解体が行われているがそのうちの一つ TechInsights から情報を得た。
CPU: Dual Core A5 (1 GHz)
RAM: 512 MB @800 Mbps (Low Power DDR2 DRAM)
携帯電話ネットワーク: Quadband HSPA or CDMA / EV-DO Rev. A
WiFi, Bluetooth, Gyroscope, 3-axis accelerometer
ここで真っ先に気付くのはRAMが1GBにも満たない点だ。
心配する向きもあるかもしれないが、アプリを複数走らせるのに不足はない。
Mac OS やウィンドウズと異なり、バックグラウンドに送ったアプリが休眠状態となりメモリーを解放するからだ。
画像処理は、初代に比べ新機種は格段の速さを誇っている。
グラフィックが綺麗なゲームを使うと相当違いが出る。
ベンチマークテスト (iPhone vs iPad vs iPad 2) では計算速度も向上しているのが分かる。(例えば Geekbench の結果)
ネットワーク接続速度はデスクトップに比べてやや劣る。
ダウンロードが 6.2 Mbps で、デスクトップの 27 Mbps の1/4程だ。
アップロードは差がない。
こうしてみると、良きにつけ悪しきにつけ iPad 2 の特色は iOS の使用によって決定づけられている。
従って購入に際しては、iOS 機器がライフスタイルに合っているかどうかが一番の焦点となる。
そして iOS 機器の中で最も高パフォーマンスなのが iPad 2 だ。
初代 iPad を使ってみて便利だと感じた人は iPad 2 に買い換えてもきっと満足するだろう。
iPad を魅力的だと感じなかった人は、 iPad 2 を買わずに様子を見る方が良い。