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映画「ハンナ」(Hanna) シアーシャ・ローナン、ケイト・ブランシェット

2011-04-12 14:36:14 | レビュー

シアーシャ・ローナン主演の「ハンナ」 (Hanna) は厳密に言えばSFアクションだが、筋書きはかなり現実的だ。
ハンナの存在自体が非現実的なスーパー・ガールだというだけだ。

シアーシャ・ローナン自身は「自分のことをサーシャ(アイルランド語で自由という意味になる)と呼んでいる」、とインタビューで語っている。
この映画では、まさに少し変わった自由な女の子をとても自然に演じている。

「つぐない」(Atonement) やラブリー・ボーン (The Lovely Bones) で女優としての可能性を披露したシアーシャがさらに成長した姿を見せてくれる。
ハンナがシリーズ化されれば彼女の代表作の一つとなるのは間違いない。

予告編
(Trailer の方の3角印をクリックすると画面サイズの選択肢が登場する)

 

父親エリック(エリック・バナ)に鍛えられた少女ハンナは超人的な敏捷性と力強さに加えて類い希な鋭い感覚も備えている。
父親に与えられた使命を果たすために、敵の懐に飛び込んでゆく彼女。
強大な組織との壮絶な戦いと、その間に挟まれる人間関係の描写が微妙に組み合わされ、ローラーコースターに乗っているかのようなサスペンスアクションが展開される。

彼女の出生の秘密が次第に明らかとなり、物語は一応のまとまりを見せるが、この映画は「ハンナ誕生」ともいうべきエピソードだ。
批評家も一般観客も高い評価を下しているので、余程のことがない限り続編の登場は間違いないだろう。

 

忘れてならないのが、音楽と効果音。
最近見た映画の中では抜きんでている。
心理的な緊張を高める効果はハートロッカーと肩を並べる、といっていい。

撮影に用いられた独特のアングルと緊張感を保つ編集は秀逸で見るものをぐいぐい引き込んでいく。
さらに、映画の背景に置かれた何気ないオブジェや小物が粋だ。
ドイツの街並みのセットも筋書きとの相性よく好感が持てた。

 

心理サスペンスとアクションを純粋に楽しめ、中に人のふれあいも織り込まれている秀逸の作品だと感じた。
少々グラフィックな場面もあるが、それが気にならない人は是非見に行かれることを勧めたい。

★★★★☆