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iPad 2 に大敗を喫したモトローラ Xoom

2011-04-07 00:27:39 | 日記

iPad の対抗機として華々しく宣伝されたモトローラの Xoom が不振を極めている。
先日作製した比較表で見る限り 、ハードウェア的に iPad 2 に後れを取っているとは思えない。
少なくとも2月下旬から3月上旬にかけては iPad が競合品だったわけで、その間はアップル社の製品に対してビデオカンファレンス機能、計算速度などで優位に立っていたはずだ。

Xoom は iPad 2 の発表と共に売り上げが鈍り、これまでの販売数がモーガンスタンレーやRBCの予測を大きく下回っている。
ドイツ銀行の最新の概算では約10万台にすぎないとされる。
これは、iPad 2 の3月分(3週間)の売り上げ240万台に比べても1桁少なく、Xoom は営業的に失敗だったといえる。
この差はどこから来るのだろうか。

IT業界ではなく証券アナリストの見解を見てみよう。
第一の理由は価格にあるとされる。
機能的に同程度のハードウェアでブランドの好感度に大差なければ、$100安い iPad 2 の方が売れるのは当然。
第二に、 "User Experience" の差は埋めがたいため、同価格でも勝負できないだろうとされる。
"iPad challengers must either undercut on price (negative margin implications) and/or offer a superior user experience," (Chris Whitmore)
(iPad と勝負するためには、価格で差をつける(かなり安くする)かユーザーに iPad よりもっと素晴らしい体験をさせるしかない。)
現況では両者ともに困難だ。

アップル社は潤沢な資金を武器に莫大な量の部品を仕入れ、原価を抑えている。
その上、需要が多く在庫がほとんどない(iPad 2 に関しては皆無)ため、流通コストも下がる。
直営店で販売出来るので、中間搾取もない。
価格戦争に突入すれば利益を確保できるのはアップル社だけとなる危険がある。
他社としてはうかつに仕掛けられない。

ハードウェア、ソフトウェア、クラウド、デザインから小売りまで を自前で賄い、必要ならば対人でマンツーマンのサービスも提供できる。
第3社のソフトウェアについても App Store を通じて管理しているので、問題が生じればアップル社が責任を取る。
その意味で消費者にとっては安心してソフト購入が出来るというメリットがある。
一方、フラグメンテーションが大問題となっているアンドロイドOSにおいてユーザー経験を向上させるには限界がある。
もちろん選択肢を提供するというメリットはある。

ではグーグルがタブレットOSとして推進する Honeycomb (アンドロイドOS3)はどうだろうか。
グーグルは OS2.2 で痛い経験をしている。
OS 2.2 (Froyo) は未完成のタブレットOSだ。
グーグル自身がそれを認め使用を控えるようにと忠告していたにもかかわらず、デルやサムスン電子が Froyo 搭載機種を発表し欠点を衆目に晒した。
それどころか、Froyo (OS2.2) 搭載機種は Honeycomb (OS3.0) にアップグレード出来ないというおまけまでついている。
そういった勇み足を防ぐために、グーグルは Honeycomb (OS3.0) のオープン化をやめることになった。

アンドロイドはiOS が切り捨てた Flash 対応が目玉の一つとなっている。
ところが、比較的負荷の軽いウェブ上のビデオですら動作が不安定で、ウィンドウズのコンピューター用に作製されたフラッシュコンテンツの表示に関してはとても快適とは言えない
最後に、iOS ではアップルに認められた比較的適正なアプリが 65,000 もリスとされているが、Honeycomb 用は 100 にも満たない

iPad /iPad 2 を超える体験をアンドロイドタブレットで出来るだろうか。
同じサイズの画面(9”−10”の範囲)では勝負にならないのではないだろうか。