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オフホワイト日記

特にテーマもない雑多なブログです
テレビ、スポーツ好きです
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『屋上の名探偵』市川哲也

2018-01-05 23:29:00 | 本・雑誌
創元推理文庫版を読んだ。

4編目だけは人が大けがする話になるけど、日常の謎系ミステリー。
度を越してる感はあるけど、悠介のシスコンキャラがいい。
蜜柑のキャラもすぐに頭の中で完成し、セリフは完全に頭の中で音となって再現された。
蜜柑が過去を引きずって表立って推理を披露しないって展開もいい。
悠介の姉・詩織里を始め、周りを固めるメンバーも個性的でおもしろい。
日常の謎系にしては、ちょっと重めの話かもしれないけど、登場人物のキャラで重さを感じさせない面はある。
最後、蜜柑と悠介の関係はほのぼのする。
一方で、悠介と詩織里はちょっとせつないな。
ミステリーとしてよりは、青春小説、シスコン物語として楽しめる。
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『ほんとうの花を見せにきた』 桜庭一樹

2017-12-26 22:27:00 | 本・雑誌
文春文庫版を読んだ。

バンブー、見た目は人間と何ら変わらないんだよね。
その基本を忘れて読むと、多少の違和感を持っちゃう。
最初の『ちいさな焦げた顔』は電車の中で読んだんだけど、失敗だったわぁ。
公衆の面前で泣きそうになった。
『ちいさな焦げた顔』で、主役級ではないけど、存在感は抜群だった茉莉花が主人公の『ほんとうの花を見せにきた』。
バンブーが海を渡ってくる過程を描いた『あなたが未来の国へ行く』。
どれもが、いい話だった。
過去に読んだ桜庭作品と作風が違う感じだけど、同じように引き込まれた。
作風が変わっても引き込まれるって、相性がいいんだろうなぁ。
桜庭作品との出会いに改めて感謝。


ここからは3編すべての内容に触れているので、未読の方はご注意を。
『ちいさな焦げた顔』
一家惨殺事件から生き伸び、バンブーに救われた少年。
人間に見つからなように女の子の格好をさせ、自分の子供のように大切に育てるバンブーのムスタァと洋治。
でも、それは厳しいバンブーの掟を破る危険な行為。
それを知った少年・梗ちゃん。
ずっと一緒にいるためにバンブーにしてほしいと願うも、拒否されてケンカ状態の中で新たに知り合ったバンブー・茉莉花。
茉莉花との出会いがきっかけとなって、ムスタァと洋治が人間と一緒に暮らしていることがばれてしまう。
そして捕まった梗ちゃんの証言で消されてしまう洋治。
この辺の流れは、電車の中じゃなかったら泣いてたと思う。
バンブーの追跡から逃げるためにムスタァと別れる梗ちゃん。正体を明かさずに会いに来た茉莉花。年をとって一緒に暮らした家で再開するムスタァと梗ちゃん。そして永遠の別れ。この一連の流れも涙だわぁ。
今、この文章を書いてるだけでも、ちょっとウルっとなった。

『ほんとうの花を見せにきた』
バンブー・茉莉花と、ムスタァと梗ちゃんに育てられた桃の物語。
一緒になって人間を狩るふたり。
人間らしい生き方を選んだ桃と別れることになった茉莉花。
時は経ち、母になった桃の前に現れる茉莉花。
それは、バンブーが消える時に咲く白い花=ほんとうの花を見せるという約束を守るため。
これも泣けた。

『あなたが未来の国へ行く』
元々、中国の山奥で暮らしていたバンブーが日本に来ることになった話。
日本でのバンブー界のトップは少年の姿をした類類のはず。
でも、中国から川を下ろうとしているのは、女の子。
人間に狙われたバンブー。
逃げ切れないと悟った女の子が取った行動は、弟を川を下る舟に乗せること。
その弟こそが類類。
ここの流れもやっぱり泣ける。
僕の大好物である姉弟モノでもあるしね。

すんごく気に入った作品なんで、めちゃめちゃ長くなっちゃった。
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『トオリヌケ キンシ』 加納朋子

2017-11-27 22:32:00 | 本・雑誌
文春文庫版を読んだ。
得意の連作集かと思ったら、短編集なのね。
6編すべてが、なんらかの病(あまり世間的に知られていない病が多い)を抱えた人の物語。
どの話も泣ける。でも、どの話も心が温まる。
今まで読んだ加納作品とは作風が違うかなとも思うけど、同時にらしさもいっぱいで、加納作品を読んでると感じられる作品でもある。


ここからは内容に多少触れているので、まっさらで読みたい方は読まない方がいいと思います。
表題作の『トオリヌケ キンシ』。
「トオリヌケ キンシ」の札のある道とも言えないような道に思い切って入っていく少年。
そこで出会ったのは「トオリヌケ キンシ」の先に住んでいるクラスメイトの少女。
少年と少女の交流の話かと思っていると、いきなり時が経ち、ひきこもりになっている少年の話に。
そこで初めて明かされる少女が抱えていた病と、その克服に知らないうちに役立っていた少年の行動。
今度は大きくなった少女が少年を助ける番だ。
わずか30ページの物語ながら、内容は濃密。
この最初の1編で、一気に引き込まれた。

『平穏で平凡で、幸運な人生』は最後が、たまらん。先生!
『空蟬』と『フー・アー・ユー?』と『座敷童と兎と亀と』は、加納作品らしい日常ミステリって感じがいい。
そして『この出口の無い、閉ざされた部屋で』は作者自身が病気をした実体験が元になった作品だよね。終盤は泣けた。
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『スノーフレーク』大崎梢

2017-10-07 23:58:00 | 本・雑誌
角川文庫版を読んだ。

最初の方は文体が合わないかなって感じで、なかなか物語の世界に入り込めなかった。
でも、徐々に謎に引き込まれていった、
速人は本当に生きているのか。
真乃の周りで起こる出来事の真の意味は?
勇麻の目的がわからず、亨にも不審な動きが。
果たして、ふたりは真乃の味方なのか。
真乃は真相にたどりつけるのか。

解説を読んで、映画化されていたことを知った。
真乃役、桐谷美玲だったのか。


ここから内容に触れているので、これから読む予定のある方は読まないでください。


速人の真相に近づくべく、行動を起こした真乃の姿が良かった。
でも、速人がひとり謎の建物に運ばれたってのは、なんかすっきりしないなぁ。
真相へのたどりつき方も、身近なところに関係者が多過ぎる気もするし。
世間は狭いって言うし、実感することも多いけど、ちょっと狭すぎな気が。
最後の最後になって、性同一障害が出てくるのも唐突な感じ。
そんな伏線が張られてた印象もないし。
ただ、最後は少しウルっときた。
亨は真乃のことだけを考えて行動していたし、琴美もシーコも温かかった。
ミステリーとしてはいまいちだけど、青春小説としてはそれなりに楽しめた。

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『深泥丘奇談』 綾辻行人

2017-08-04 21:55:00 | 本・雑誌
角川文庫版を読んだ。

短編集かと思ったら、連作なのね。
不思議で、ホラーっ気も入った奇妙な世界が9編。
すべての話が、ドラマ「世にも奇妙な物語」の原作になりそうといえば、作品の雰囲気は伝わるだろうか。
まさに“奇談”という言葉がぴったり。
基本的に謎が謎のまま終わるのも、ホラー的要素が強いね。
あとがきで作者本人も言っているように、今まで読んだ綾辻ワールドとは趣を異にしている。
こういう世界も好きだな。
続編も読んでみなきゃ。
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