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オフホワイト日記

特にテーマもない雑多なブログです
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『Another エピソードS』 綾辻行人

2017-06-25 22:51:00 | 本・雑誌
角川文庫版を読んだ。

『Another』の続編というよりは、外伝だね。
『Another』を読まずしてこちらを先に読む人がいるのかわからないけど、『Another』読んでから“エピソードS”読んだ方がより楽しめるのは間違えない。
ちなみに『Another』は、僕の中での綾辻作品トップ3に入る好きな作品。


これより、核心には触れていませんが、内容には触れているので、未読の方はご注意を。

『Another』の二大キャラである榊原恒一に見崎鳴がひと夏の経験を伝えるという形で話はスタート。
その後は、鳴が会ったという幽霊の一人称語りで話は進む。
幽霊の視点で進む物語というのも、なかなか興味を惹かれる。
その幽霊が目指すものは、自分の死体探し。
最初のうちは同じことの繰り返しで、ややじれったい面も。
でも、次第に物語に引き込まれていく。
賢木晃也の死体はなぜ、そしてどこに隠されているのか。
死体が発見されてからはまさか、そしてなるほどの展開。
最終章「Outroduction」で、恒一と鳴が行う謎の解明。
留守電のアライだけはいまいちだったけど、他はいいね。
特に最後の“不自然な空間”の謎には、ゾクッときた。
たしかに、いくつかの伏線はあったわ。

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『奇面館の殺人』 綾辻行人

2017-04-23 20:50:00 | 本・雑誌
講談社文庫版を読んだ。

館シリーズの第9弾。
単独で読んでも楽しめるけど、他の館シリーズ、少なくとも『十角館の殺人』と『迷路館の殺人』は先に読んでおいた方が、より楽しめるかなと思う。
人の入れ替わり、全員が仮面を被り顔が見えない、雪に閉ざされ通信手段も断たれた館。
始まりから綾辻ワールド、館ワールド全開で、一気に物語の世界へ。
ひとことで言って、おもしろかった。


この後、真相やトリックには触れていませんが、内容には触れているので、未読の方はご注意を。

仮面を被っているだけでなく、本当の名前もわからない状況は『十角館の殺人』を思い起こさせる。
指の切断死体とその理由は『迷路館の殺人』を思い起こさせる。

死体発見現場は密室と言っていい状態。
でも、館シリーズを読んできた者にとっては、中村青司の館なのだから何かからくりがあるはずと思う。
謎解きに入り、まずはからくりが解かれる。
なるほどとは思うものの、それほどの驚きはない。
意外とあっさりした内容なのかと、ちょっと油断したけど、綾辻作品が、館シリーズが、それだけで終わるわけがなかった。
死体の首と指が切断された理由、集められたメンバーの共通点、そして真犯人の正体には、やはり驚かされた。
綾辻の叙述トリックは、やはりすごい。

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『毒殺魔の教室』 塔山郁

2016-11-15 23:23:00 | 本・雑誌
宝島文庫版の上下巻を読んだ。

小学校の教室で起きた児童毒殺事件。
同じクラスの児童が、その後犯行を認める遺書を残して自殺。
30年経って、その事件の真相を知ろうと動き出す人たち。

同じ事件でも、同じ現場(教室)にいても、事件そのものはもちろん、その背後に見え隠れするクラスの状況も、人それぞれで見方や感じ方は異なる。
当たり前ではあるんだけど、そんなところが物語に惹きつけられる。
しかも、30年前のこと、話を聞いても、あやふやな面も。
そんな様々な見方を見せられる上巻。
下巻になって、それぞれの証言や新たな事実によって、事件の本質が見えてくる。

“15 毒殺魔の教室(第二稿)”では、いろんな人によって語られた話が拾われ、ひとつの答えに向かっていく。
「あぁ、あの話が」、「あんな小さなエピソードまで」という思いが次々と。
この辺りは、本格ミステリーといっていいであろう展開。
さらに“16 再会”へと。

まったく知らなかったけど、第7回『このミステリーがすごい!』大賞優秀賞の受賞作だそうで。
納得のおもしろさだった。


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『フライ・バイ・ワイヤ』 石持浅海

2016-08-12 22:03:00 | 本・雑誌
創元推理文庫版を読んだ。

高校のあるクラスに、人が遠隔操作するロボットが転向してくるという近未来小説。
生徒たちがいわゆるエリートの理系人間のせいか、近未来が舞台のせいか、IMMID-28の姿が頭の中で創造できないせいか、なかなか事件が起きないせいか、前半は引き込まれることはなかった。
IMMID-28以外も、あまり人間らしく感じなかったことが一番の要因かなぁ。
でも、第六章の騒乱から、みんなが人間に見えてきて、僕の中でも一気に盛り上がってきた。
第七章の人形遣いで犯人が判明し、その第七章の後半は読んでてうるうるしちゃった。
いい締めだった。

終わってみれば、いろいろな伏線が拾われてたし、登場人物の言葉を借りれば“事件の構図”は納得できたし、ミステリーとしても悪くはなかった。
なぜ殺すところまでいってしまったのかは、納得まではできなかったけど。
ただ、青春小説としては、かなりおもしろかった。
繰り返しになるけど、最後の方は泣ける展開になってるし。



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『ユリゴコロ』 沼田まほかる

2016-07-11 22:25:00 | 本・雑誌
人が紹介してたり、お薦めしてたりする小説って、ほとんど読んだことがないんだけど、これは佐々木希のブログを読んで気になり、双葉文庫版を手に取った。

作り物とは思えない告白文を見つけて、読んでしまった主人公。
その主人公の行動、告白文の内容、どちらもハラハラドキドキしっぱなし。
「どうなるんだ?」の思いで、どんどん引き込まれていった。
率直に言って、読んで大正解!
めちゃめちゃおもしろかった。


ここから先、核心には触れていませんが、内容には触れているので、まっさらで読みたい方は読まない方がいいと思います。

事実とすれば、あまりのにも衝撃的な内容の告白文。
告白文の内容を完全に信じ、しかも自分の親のことだと思いこむ亮介。
調べるうちに、事実としか思えない展開に。
そして、ついに父の口から語られた衝撃の真実!
一方では、突然姿を消した千絵の居場所と現状がわかり、亮介の元に戻ってくる。
千絵のDV夫は、本当に死んだのか。
何事もなく平穏な日々が戻ってきて、亮介の生活も落ち着き、読んでる方のドキドキも収まってくるが、このまま終わるはずがないという思いも。
そして、まだ語り切られていなかった事実が父の口から。
314ページの「この人はずっと前から僕のそばにいた」の一文を読んだ時には、すべてを悟って鳥肌が立った。
すべての納得がいった。
そこから最後まで、鳥肌はひかなかった。
これは、すごいわ。

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