角川文庫版を読んだ。


文庫化されてすぐに買ったのに、それから読み終えるまでに1年半以上経っちゃった。
前作『AnotherエピソードS』を読み返して復習(予習?)していたこともあるけど、遅すぎだねぇ。
本作を読むなら、『Another』と『AnotherエピソードS』を絶対に先に読んでおいた方がいい。
夜見北中3年3組に起こる“災厄”。
ある年とない年があるけど、2001年はある年だった。
そのクラスにはエピソードSのメインキャラクター比良塚想が。
どれほどの災厄に見舞われるのか。
そして、その災厄を止めることはできるのか。
結果は…
いやぁ、すごい展開だったねぇ。
存分に災厄の怖さを味わったし、楽しんだ。
比良塚想と見崎鳴、ふたりの物語としても、大いに楽しめる。
このふたりの関係を楽しむためにも、やっぱりエピソードSは先に読んでほしい。
<ここから先は内容に触れているので、未読の方はご注意ください>
『Another』では、紛れ込んだ死者が誰かわかった時に、あっと言わされたし、気持ちのいいやられた感を味わった。
でも、今作では最初から紛れ込んだ死者が誰か示されている(『Another』を読んだ人にはわかる)。
それで、どういう展開になるのか。
災厄を止める方法は過去の経験者に残る記憶から、生徒のひとりを“いないもの”として、死者とのバランスを取ること。
そして、紛れ込んだ死者がわかったら、その死者を死の世界に還すこと。
念を入れて“いないもの”をふたりにし、災厄は止められたかに思えたけど、話はまだ半ば。
どうなるのかと思ったら、災厄が復活してしまった。
その理由は、どうやら紛れ込んだ死者がもうひとりいたかららしいと、読んでいても気づく。
はたして、ふたりめの死者は誰なのか。
葉住結香だというミスリードに、まんまとはまった気が(笑)
真のふたりめの死者の正体がわかった時は、そういうことかと。
言われてみれば、それらしき伏線はいくつもあった。
その伏線は読者がふたりめの死者を含む真相に近づくためというより、すべてが明らかになった時の納得感につながるものって感じかな。
そして、かなり衝撃的な結末。
いやぁ、やっぱり綾辻作品はすごい。
しかし、辻村深月の解説は深いなぁ。
そこまで考えて、感じて読んでないよぉ。
解説を読んでから再読するのも良さそうだね。