『植物 オヤジ』

日々出会う植物たちの「たくましさ」と「美しさ」を再発見する、ハードボイルド・ボタニカルライフ。音楽、美食なども。

立花隆と武満徹

2021年06月28日 | 音楽
先日立花隆氏の訃報を聞いた。
氏の著作はそんなに読んではいなかったが忘れられないVTRがある。
1996年2月、音楽家武満徹の追悼番組。
武満の早過ぎる死を悼み、彼の巨大な業績を世界が称えた内容。残念ながら国内の扱いはささやかだったがニューヨークタイムス始め欧米の大新聞は一面を使い武満を追悼した。
その番組の後半、武満が病床で黄泉の国へ向かう頃最後に聴いた曲が「マタイ受難曲」だったと語らい立花隆氏が思い余って泣き崩れるところが今も忘れられないでいる。あの知の巨人と言われた冷静沈着なひとがその話と共に言葉に詰まってしまう。大切なものが出て行ってしまわないよう押し留めてでもいるように。
昨日それを思い出しYouTubeでその番組を視聴し、その後に武満の曲を二時間ほど聴いた。
大好きだった武満をかつて悼んだ立花隆さんを追悼するように。武満をして立花氏を見送るという不思議な感じではあるが。
合掌

武満の葬儀の際、朋友黛敏郎氏(武満の死の翌年死去)が武満が作曲した短いメロディーを口ずさみ、数年後それに谷川俊太郎が詩をつけて世に出たという美しい曲を紹介します。
黛敏郎氏は「私はこれほど悲しい音楽を知りません。いうならば悲しみの表現の極致といえるでしょう」と弔辞を述べたという。