男と女の出会い。
恋に落ちるその瞬間からはじまる
男と女の心の探りあいとすれ違い。
やがて恋が終わりを告げ
別れがきた後も
男が築いてきた「僕達の恋」と
女が築いてきた「私達の恋」は
きっと違う甘酸っぱさで
記憶に閉じ込められている。
〈靖国通り、月曜の午後〉を聴いていると
そんな気持ちにさせられてしまう。
女にとっての〈靖国通り、月曜の午後〉は
きっとこんなだったと思う。
〈彼女の靖国通り、月曜の午後〉
薄曇りの月曜日、保育園のお迎えのあと
子どもと歩く靖国通り
なんでもない日の、なんでもない帰り道に
幸せを感じる
遠くの空の雲の間から光が・・・
昔どこかでこんな景色みた記憶があるけど
なんだっただろう
なんて考えながら歩く
あっ、あれは彼?
懐かしさがこみ上げる
走っていって声をかけたい
でもこんな格好で恥ずかしい
突然走り出す子ども
思わず叱りつけたら
彼に先に気づかれちゃった
叱っている顔で再会なんて
ちょっと恥ずかしくて
何だか彼もぎこちないから
私もぎこちなくって
「スターバックス入ろうか」って彼
「あら、タバコはやめたの」って言ったら
「ふふ、やめてないよ」
相変わらずだけど
でもちゃんと気を使ってくれるのね
そういえば昔よくドライブ行った時
車の中では絶対タバコ吸わなかったね
そんな人だったね、あなた
そうだ、さっきの光
最後に二人で行ったあの丘だったね
あの小さな丘覚えているかな
私が言ったことば覚えているかな
「ねえあの雲の切れ間からこぼれ落ちる光
あそこから天使が舞い降りてくるのよ
でも誰も姿を見た者はいない
私たちいつか会えるかしら」
って言ったら
「天使がいたら
きっと僕達の手をひっぱって
まためぐり合わせてくれるよ
いつかきっとね」
そう言ったね
「あれから・・・」
って二人で同時に
同じこと考えていたのかな
照れくさそうに
「子供の父親は誰なの?
まさか僕じゃないよね」
違うよ、理想の人見つけたんだから
でも失敗しちゃったけどね
今は子どもだけが私の宝物
でもあなたとの恋も
それも私の宝物だって
この人は知っているのかな
相変わらずの優しそうな笑顔に
きっと女はころっと騙されるんだろな
でも目尻のシワが
ちょっと大人っぽくて
いい顔になったな
みつめていると照れくさい
何だか心があの頃に戻っていくようで
ふと見ると
ビルの上の薄い雲の間から光が差し込んでいる
あの時みたいに
彼もそれを見ている
それからまっすぐ私を見て
「ほらあの雲の切れ間からこぼれ落ちる光
あそこから天使が舞い降りてくるのさ
でも誰も姿を見た者はいない
僕たちはいつか会えるのかな」
そう言った
嬉しくて
何て言っていいかわからないから
ただただ微笑んだ
「会えたね、こうやって」って
言ってくれないのはわかってる
変わってないね
昔からあなたはことばが足りなかったけど
今ならその分私が補ってあげられるかな
彼が子どもを眺めている隙に
ナプキンに携帯の番号書いた
「もう行かなきゃ」って言ったら
彼、何も言わず私の肩に手を置いた
てのひらの感触が変わってない
ちっちゃくたたんだナプキン
そっとてのひらと肩の間に押し込んだ
天使が舞い降りてきている間に
私の恋
もう一度だけって
お祈りした
雨降ってきちゃった
あなたは左へ
そして
私は右へ
さよならって言わなかったから
きっと会えるかな
この雨
きっとすぐ晴れる
そんな気がする
「ママ、きれいだね
キラキラしてるよ」って
子どもに言われて
思わずショーウインドウに映る自分をみたら
そこにはあの頃の自分がいた
靖国通り、月曜の午後
詞:小山卓治 曲:小山卓治
薄曇りの月曜日 靖国通りを歩く
東急ハンズの袋を抱える僕の前に
子供を叱りつける1人の女性の横顔
淡い記憶より少し痩せていた
名前を思い出すのに少しかかって声をかけた
君は眉をひそめたままの顔で僕を見る
瞳がかすかに揺れて僕を思い出し
それから笑おうとして うまくいかなかった
スターバックス ラテをふたつ カフェモカをひとつ
「私ひどいかっこで」と君は髪を耳にかける
昔ドライブで小さな丘の上に立った時の
君の言葉と横顔 ふいに思い出した
「ねえあの雲の切れ間からこぼれ落ちる光
あそこから天使が舞い降りてくるのよ
でも誰も姿を見た者はいない
私たちいつか会えるかしら」
2人同時に「あれから」と言いだして笑う
「子供の父親は誰なの? まさか僕じゃないよね」
君は「馬鹿」って笑って言う 「今は元の名字なの」
「それじゃ僕と一緒だ」 2人で吹きだす
君は歩道で遊ぶ子供を目で追っている
ほほえむ君の目尻のシワがとても素敵だ
顔を上げるとビルの上の薄い雲が割れ
渋滞の車に光が射し始めた
「ほらあの雲の切れ間からこぼれ落ちる光
あそこから天使が舞い降りてくるのさ
でも誰も姿を見た者はいない
僕たちはいつか会えるのかな」
君はラテを一口飲んで首を傾げ
何のことか分からないって顔でほほえんだ
僕たちは少し見つめ合い 目を伏せる
「もう行かなきゃ」と君は腰を上げる
「さよなら」の代わりに君の肩に手を置いた
てのひらは君の肩の丸みを憶えてた
君は右へ 僕は左へ
雲は厚くなり雨が降りだした
恋に落ちるその瞬間からはじまる
男と女の心の探りあいとすれ違い。
やがて恋が終わりを告げ
別れがきた後も
男が築いてきた「僕達の恋」と
女が築いてきた「私達の恋」は
きっと違う甘酸っぱさで
記憶に閉じ込められている。
〈靖国通り、月曜の午後〉を聴いていると
そんな気持ちにさせられてしまう。
女にとっての〈靖国通り、月曜の午後〉は
きっとこんなだったと思う。
〈彼女の靖国通り、月曜の午後〉
薄曇りの月曜日、保育園のお迎えのあと
子どもと歩く靖国通り
なんでもない日の、なんでもない帰り道に
幸せを感じる
遠くの空の雲の間から光が・・・
昔どこかでこんな景色みた記憶があるけど
なんだっただろう
なんて考えながら歩く
あっ、あれは彼?
懐かしさがこみ上げる
走っていって声をかけたい
でもこんな格好で恥ずかしい
突然走り出す子ども
思わず叱りつけたら
彼に先に気づかれちゃった
叱っている顔で再会なんて
ちょっと恥ずかしくて
何だか彼もぎこちないから
私もぎこちなくって
「スターバックス入ろうか」って彼
「あら、タバコはやめたの」って言ったら
「ふふ、やめてないよ」
相変わらずだけど
でもちゃんと気を使ってくれるのね
そういえば昔よくドライブ行った時
車の中では絶対タバコ吸わなかったね
そんな人だったね、あなた
そうだ、さっきの光
最後に二人で行ったあの丘だったね
あの小さな丘覚えているかな
私が言ったことば覚えているかな
「ねえあの雲の切れ間からこぼれ落ちる光
あそこから天使が舞い降りてくるのよ
でも誰も姿を見た者はいない
私たちいつか会えるかしら」
って言ったら
「天使がいたら
きっと僕達の手をひっぱって
まためぐり合わせてくれるよ
いつかきっとね」
そう言ったね
「あれから・・・」
って二人で同時に
同じこと考えていたのかな
照れくさそうに
「子供の父親は誰なの?
まさか僕じゃないよね」
違うよ、理想の人見つけたんだから
でも失敗しちゃったけどね
今は子どもだけが私の宝物
でもあなたとの恋も
それも私の宝物だって
この人は知っているのかな
相変わらずの優しそうな笑顔に
きっと女はころっと騙されるんだろな
でも目尻のシワが
ちょっと大人っぽくて
いい顔になったな
みつめていると照れくさい
何だか心があの頃に戻っていくようで
ふと見ると
ビルの上の薄い雲の間から光が差し込んでいる
あの時みたいに
彼もそれを見ている
それからまっすぐ私を見て
「ほらあの雲の切れ間からこぼれ落ちる光
あそこから天使が舞い降りてくるのさ
でも誰も姿を見た者はいない
僕たちはいつか会えるのかな」
そう言った
嬉しくて
何て言っていいかわからないから
ただただ微笑んだ
「会えたね、こうやって」って
言ってくれないのはわかってる
変わってないね
昔からあなたはことばが足りなかったけど
今ならその分私が補ってあげられるかな
彼が子どもを眺めている隙に
ナプキンに携帯の番号書いた
「もう行かなきゃ」って言ったら
彼、何も言わず私の肩に手を置いた
てのひらの感触が変わってない
ちっちゃくたたんだナプキン
そっとてのひらと肩の間に押し込んだ
天使が舞い降りてきている間に
私の恋
もう一度だけって
お祈りした
雨降ってきちゃった
あなたは左へ
そして
私は右へ
さよならって言わなかったから
きっと会えるかな
この雨
きっとすぐ晴れる
そんな気がする
「ママ、きれいだね
キラキラしてるよ」って
子どもに言われて
思わずショーウインドウに映る自分をみたら
そこにはあの頃の自分がいた
靖国通り、月曜の午後
詞:小山卓治 曲:小山卓治
薄曇りの月曜日 靖国通りを歩く
東急ハンズの袋を抱える僕の前に
子供を叱りつける1人の女性の横顔
淡い記憶より少し痩せていた
名前を思い出すのに少しかかって声をかけた
君は眉をひそめたままの顔で僕を見る
瞳がかすかに揺れて僕を思い出し
それから笑おうとして うまくいかなかった
スターバックス ラテをふたつ カフェモカをひとつ
「私ひどいかっこで」と君は髪を耳にかける
昔ドライブで小さな丘の上に立った時の
君の言葉と横顔 ふいに思い出した
「ねえあの雲の切れ間からこぼれ落ちる光
あそこから天使が舞い降りてくるのよ
でも誰も姿を見た者はいない
私たちいつか会えるかしら」
2人同時に「あれから」と言いだして笑う
「子供の父親は誰なの? まさか僕じゃないよね」
君は「馬鹿」って笑って言う 「今は元の名字なの」
「それじゃ僕と一緒だ」 2人で吹きだす
君は歩道で遊ぶ子供を目で追っている
ほほえむ君の目尻のシワがとても素敵だ
顔を上げるとビルの上の薄い雲が割れ
渋滞の車に光が射し始めた
「ほらあの雲の切れ間からこぼれ落ちる光
あそこから天使が舞い降りてくるのさ
でも誰も姿を見た者はいない
僕たちはいつか会えるのかな」
君はラテを一口飲んで首を傾げ
何のことか分からないって顔でほほえんだ
僕たちは少し見つめ合い 目を伏せる
「もう行かなきゃ」と君は腰を上げる
「さよなら」の代わりに君の肩に手を置いた
てのひらは君の肩の丸みを憶えてた
君は右へ 僕は左へ
雲は厚くなり雨が降りだした