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健康を科学する!

豊橋創造大学大学院健康科学研究科生体機能学のつぶやき

葉酸・ビタミンB12投与、アルツハイマー改善

2010-05-04 06:22:14 | 研究
軽症期のアルツハイマー病患者にビタミンB群の一種の葉酸とビタミンB12を投与すると症状が改善することが報道されています(YOMIURI ONLINE)。これまでアルツハイマー病に関しては、根本的な治療法はなく、症状の進行を遅らせることしかできなかったと思います。今回の研究は、早期の患者であればひょっとしたら治癒するかもしれないというもので、患者さんにとってはgood newsのはずです。
記事によりますと、の軽症期の患者を〈1〉葉酸を1日1錠投与する第1群(90人)〈2〉1日に葉酸1錠とビタミンB12を3錠投与する第2群(92人)〈3〉アルツハイマー病の薬として国内で唯一使われている「アリセプト」を投与する第3群(40人)、の3群に分け、2005年から1年間観察し、重症度を示すミニメンタルテスト(30点満点で、値が低いほど重症)で効果を調べたそうです。その結果、観察前は第1~3群とも平均20点だったが、1年後には、第1群は23点に、第2群は25点に改善したが、第3群は18点に悪化していたそうです。さらに、第1、2群はアルツハイマー病の危険因子とされるホモシスチン(必須アミノ酸の老廃物)の血中濃度も下がっていたといいものです。また、第1群より第2群の方が症状が改善していたことから、葉酸単独投与より、葉酸とビタミンB12を併用した方がより効果が大きいこともあきらかとなったそうです。これまで、葉酸とビタミンB12が、アルツハイマー病の危険因子とされるホモシスチンの血中濃度を下げることは明らかになってたそうですが、こうした検証研究はこれまで報告がなかったそうです。しかし、中等症期以上の患者に葉酸やビタミンB12を投与しても改善は見られず、発病早期にのみ有効と考えられるそうです。
一般に、葉酸やビタミンB12は人の生理機能を維持する上で必要な栄養素として知られています。葉酸もビタミンB群の栄養素で、アミノ酸や核酸の合成に関与しているものです。妊娠期に葉酸が欠乏すると神経管閉鎖障害が起こり、二分脊椎症や無脳児の発生のリスクが高まることが知られています。また悪性貧血を引き起こすことも知られています。一方ビタミンB12も血液幹細胞の成熟に必要で、欠乏により悪性貧血となることが知られています。今回の研究のメカニズムは記事からだけでは分かりませんが、神経細胞の分化や成長に葉酸やビタミンB12が重要な役割を果たしているということになるのでしょうか。

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