老化に伴って生じる腰椎椎間板変性症(LDD)の発症に関連する遺伝子「CHST3」が発見されたそうです(QLife Pro)。老化に伴う変性によって生じる骨や関節の疾患のなかでも、腰椎椎間板変性症(LDD)は最も頻度が高いそうです。有病率30%と言われる腰痛症や、椎間板ヘルニアの起因となるLDDは、腰に負担がかかる動作等の環境的な要因だけでなく、遺伝的要因で発症する多因子遺伝病であると考えられているそうです。研究では、全ゲノムのからLDD原因遺伝子の存在する領域を絞り込み、55万個の一塩基多型(SNP)から病態と強く相関するSNPを複数同定し、これらのSNPを、日本人、中国人、フィンランド人からなる25,000人の集団を用いて相関解析を実施して、最も強く相関するSNPを見つけ出したというもの。このSNPを含む領域は、香港の大学が中国人のLDD患者18家系のゲノムワイド連鎖解析で強い相関を示した領域と重なっていたそうです。この両者の研究から示された領域にある遺伝子「CHST3」が、LDDと関わっていると考えられたとのことです。CHST3の発現パターンを、LDDの主な病変部位である軟骨、椎間板、骨で調査したところ、これらの組織でのCHST3発現は高くなっていたそうです。CHST3の詳細な解析により、CHST3の特定の部分にLDDと非常に強い相関を示す別なSNPがあること、CHST3から転写されたメッセンジャーRNA(mRNA)の配列のうち、翻訳されない末端の領域に、翻訳を抑制するマイクロRNAとの結合配列があること、このSNPによってCHST3のmRNAが不安定化し、mRNA量が減少することがわかったそうです。色々なことが分かっていきます。
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