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豊橋創造大学大学院健康科学研究科生体機能学のつぶやき

ALS原因遺伝子

2013-10-24 08:30:41 | 研究
また、筋萎縮性側索硬化症(ALS)に関するニュースです。ALSの新たな原因遺伝子が見つかったというのです(QLife Pro)。ALSは、家族性ALSの一部を除いて原因不明で、根本的な治療法が見つかっていない疾患です。今回の研究では、ALSの原因遺伝子として知られている遺伝子には変異が見られない家族性ALSの一家系において、遺伝子マーカーによる連鎖解析と次世代シーケンサーを用いた全ゲノムの解析を組み合わせて分析した結果、新たな原因遺伝子ERBB4を発見したというものです。さらに国内外の他施設共同研究により、稀ではあるものの、このERBB4遺伝子の変異を有する家系が人種を越えて存在することも確認。また、孤発性ALSのなかにも、本人における突然変異である新生突然変異を有する例があることも分かったそうです。ERBB4遺伝子によってつくられるErbB4蛋白質は受容体型チロシンリン酸化酵素で、神経栄養因子であるニューレギュリンに刺激されると、自己リン酸化され機能を発揮するそうです。培養細胞に変異したERBB4遺伝子を導入したところ、ErbB4の自己リン酸化能が低下し、ErbB4の機能低下がALSの原因となることを確認できたということです。この研究結果は、ニューレギュリンのような神経栄養因子により、ErbB4を活性化することが、ALSの根本的な治療につながる可能性を示唆しているそうです。また、従来の方法では疾患原因遺伝子を発見することが困難であった小規模な家系に、DNAの塩基配列を高速かつ大量に解析可能な次世代シーケンサーを用いて全ゲノム解析を行ったことで得られた成果で、さらなる研究の進展も期待されるものだそうです。すごい研究成果だと思います。
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