健康を科学する!

豊橋創造大学大学院健康科学研究科生体機能学のつぶやき

学習によって脳の情報処理が変化する仕組み

2015-07-30 08:30:43 | 研究
大脳視覚野の活動が、学習前は外部世界からの情報に強く影響されるのに対し、学習後は予測、期待または注意といった脳内部からの信号に大きく影響されるようになることが明らかになったという研究成果が、Nature Neuroscienceに発表されたそうです(財経新聞)。学習は、日常の経験を通じて、過去の経験に基づいて脳が構築する「内部モデル」を脳内に構築していく過程だと考えられているそうですが、学習によって脳内の信号伝達の仕組みがどのように変わるのかは分かっていなかったそうです。今回の研究では、興奮性神経細胞や抑制性神経細胞を個別に観測できる遺伝子改変マウスを利用し、神経細胞の活動を大脳視覚野で観測。その結果、脳内部モデルからの予測、期待または注意といった情報を伝えるとされるトップダウン入力を可視化できるようになり、学習を通じて大脳視覚野に対するトップダウン入力の影響が強まることが示されたというもの。また外部世界からの情報処理に関わるとされるボトムアップ入力は学習が進むにつれて次第に減少すること、トップダウン入力を制御していると考えられる特定の抑制性神経細胞群の活動が下がることが明らかになったとも。今後は、本研究成果が、統合失調症などの精神疾患における幻覚や妄想などの発症機序を解明することに繋がると期待されているそうです。
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