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“渡りの蝶”アサギマダラとフジバカマ

2015年10月16日 | ネイチャー

海を渡り2000キロ以上も旅することで知られる、不思議な蝶「アサギマダラ」を10月14日、大阪市の長居植物園で見つけました。

場所は、万葉集にちなんだ植物が植えられている「万葉のみち」。秋の七草のひとつ、フジバカマ(藤袴)を撮っていた時のこと。

 

フジバカマは地味な草花ですが、色々な蝶が集まってきます。これはツマグロヒョウモン。

 

アオスジアゲハ(下)もやってきました。

 

そこへ、ひらりと大きめの蝶が舞い降りてきました。レンズを向けて見てみると…

 

なんと、アサギマダラです。

 

羽を広げると体長約10センチ。黒くはっきりした模様があり、明るい部分が薄い水色(浅葱色=あさぎ色)を帯びているところからこの名前があります。

日本全国のほか中国、朝鮮半島、台湾などに分布。秋には日本から台湾や中国方面へ南下、春には逆のコースで北上。日本で唯一の「渡り」をする蝶です。

2011年には2500キロもの長距離を旅した蝶がいたことが確認され、当時の最長記録として新聞記事にもなりました(下の写真)。

 

2012年1月21日付け朝日新聞大阪版。

 

記事によると、このアサギマダラが和歌山県日高町でマーキングのあと放されたのは2011年10月10日。高知県香美市で10月20日に再捕獲されたあと、再び放され、12月31日に中国・香港島の水辺で現地の自然保護団体によって確認されています。83日間、2500キロの旅でした。

この蝶が、海を越えてこんなに長距離を移動する理由は、まだ良く分かっていないようです。

 

フジバカマの蜜を吸うアサギマダラ(長居植物園で)。

 

アサギマダラはフジバカマが大好き。蜜を吸い始めると、しばらくその場にとどまって、驚かさないかぎり人がそばにきても恐れません。

なので、捕獲は容易。各地の自然観察会では子どもたちも参加、マーキングして生態解明に一役買っています。

 

でも、きれいな蝶… マーキングせずに、そっと眺めていたい気もします。

 

アサギマダラとフジバカマ。

 

午後の日差しに透ける羽。

 

個人的に、アサギマダラという蝶を知ったのは2010年頃。KBS京都などが主催した「藤袴と和の花展」が、京都・梅小路公園「朱雀の庭」でありました。フジバカマが並べられた会場に、アサギマダラがやってくるかもしれない、ということで撮りに行きましたがカラ振り。

今回ようやく、撮影できたという次第です。

 

「藤袴と和の花展」は今年も9月26日から10月12日にかけて開かれました。(イベントのホームページ参照)

来年もあるのでは…

 

ところで、渡りをする蝶はアメリカ大陸にもいます。オオカバマダラという種類で、春はメキシコ、カリフォルニアから北上、北アメリカ中部まで達すると、そこで羽化した子どもたちが夏ごろから南下するというのです。その距離は南北5000キロにも及び、世代交代を繰り返しながらの大移動。NHKでも放映されました。

オオカバマダラ(ウィキペディアより:Bruce Marlin

 

世代交代しながら、「旅をする」という意識(使命?)がどうやって受け継がれていくのか、不思議ですね。

また、長距離を移動するこうした生物には、地球もそれほど広大に感じられないのかも… と思ったりしています。

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 撮影カメラ・レンズ

    Canon EOS 6D  

     EF70-300mm F4-5.6L IS USM 

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関連記事

   ・『海を渡る蝶 アサギマダラ』(ナショナル ジオグラフィック日本版

   ・『長距離の旅をする蝶 アサギマダラ 優雅に舞い 台湾までも』(三重県立博物館のページ)



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