つれづれ写真ノート

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シンデレラレンズ作例集(1)

2014年01月20日 | カメラ

「シンデレラレンズ」と呼ばれる、人気の高いキヤノンの単焦点レンズ「EF50mm F1.8 II」を買ってから2年近く(2012年3月25日記事参照)。

これまで撮ってきた写真を、「作例集」としてまとめてみることにしました。

 

EF50mm F1.8 II。実勢価格 8000円台で買えます。こんなに安いレンズはめったにありませんね。小さく軽く、しかもフルサイズに対応。コストパフォーマンスが高いです。

 

「シンデレラレンズ」と呼ばれるのは価格が安いにもかかわらず、高級品に劣らない性能を持つ、お得なレンズ。キヤノンだけでなく各社のレンズにもあります。

EF50mm F1.8 II は、買った人がこの単焦点レンズの素晴らしさに魅かれ、ほかの単焦点レンズも次々に欲しくなることから、通称「撒き餌レンズ」と呼ばれている---というのは、以前からカメラ愛好家の間で言われていること。

 

そんなに素晴らしいレンズなの?

いえいえ、価格なりのレンズだと思いますよ。使ってみた実感では。

でも良いところがあることは確か。まとめてみると以下のように… (拙作も例として添えておきます)

 

良くない点

(1) AF時の駆動音が気になる

ピントを合わせるたびに 「ジーコ ジーコ」という音がします。駆動音が静かな超音波モーター、またはステッピングモーターを搭載していないためですが、この音が気になりますね。後継製品を出すときは、どちらかのモーターを採用してほしいところです。

 

(2) 造りがチープ

マウント部を含めてプラスチック製。メタリックの高級感はありません。しかしガタがきたことはないです。わずか130gのレンズだから、マウントがプラスチックでも十分だと思います。個人的にはほとんど気にならないポイント。

 

(3) 絞り羽根が5枚しかなく、円形絞りでない

これが一番不満な点。点光源を撮るとき、絞り開放なら円になりますが、少しでも絞ると五角形になります。全く興ざめ。多少価格が上がっても、何とか円形絞りにしてほしいです。

 

 

なんばパークスのイルミネーション。絞りF1.8、1/160秒、ISO400、画質RAW(カメラ EOS 6D)

絞り開放だと、上の写真のようにイルミネーションが丸いボケですが…

 

絞りF2.8、1/60秒、ISO400。

ちょっと絞っただけで、絞り羽根の形が現れ、このように五角形のボケになってしまいます。

 

(4) 背景ボケが汚い

背景ボケはいわゆる「二線ボケ」です。なだらかなボケではなく、輪郭が強いザラザラとした固いボケ味になりがち(被写体にもよるので、すべてがそうではありません)。

 

御堂筋のライトアップと彫刻。絞りF4、1/30秒、ISO3200、画質RAW(カメラ EOS 6D)。

絞りこみによる五角形ボケに加えて、ボケの輪郭が強いので、せっかくのイルミネーションがゴワゴワした印象になってしまっています(失敗作。申し訳ありません)。

 

(5) コマフレアが目立つ

イルミネーションや星を写したとき、周縁部の光源が鳥が羽を広げたような形になる現象。レンズ収差の一つ「コマ収差」が原因で発生します。

 

グランフロント大阪周辺のイルミネーション。絞りF1.8、1/30秒、ISO200、露出補正+2/3画質RAW(カメラ EOS 6D)。

この写真の左上と右上をアップにしてみたのが下の写真。

左上のアップ。

 

右上のアップ。

いずれも点光源が点(あるいは丸)にならず、鳥が羽を広げたような形になっています。

これがコマフレア。正確には、光軸に対して同心円方向(サジタル方向)に広がっているので「サジタル コマフレア」です。

この現象は、大なり小なりどのレンズでもあり、高級レンズといえども完全に抑制することは難しいようです。

昨年10月に発売されたニコンの「AF-S NIKKOR 58mm f/1.4G」は、この「サジタルコマフレア」の発生を極限まで抑え、画面周辺部まで「点光源」を「点」として描写できる---とされています(ニコンのページ)。そのかわり、びっくりするほど高価です。

安いシンデレラレンズとしては、目をつむるしかないでしょうね。(それにしてもまあ派手なコマフレア… )

 

良い点

(1) 価格が安い

このレンズはよく売れているそうですが、それはもちろん安いから。

 

(2) 小さくて軽い

予備レンズとして、ポンとバッグに放りこんでおけるコンパクトさがうれしい。また、ほとんど重さを感じないのでスナップ撮影にも向きます。

 

(3)  開放F値が明るい

開放F値1.8 の威力は大きいですね。高感度性能の高いEOS 6D と組み合わせると、夜間の撮影がとても楽です。

 

大阪・堺市のシンボル「旧堺燈台」(堺観光ガイド参照)。絞りF1.8、1/8秒、ISO200、画質RAW(カメラ EOS 6D)。2013年9月17日午後6時30分ごろ、手持ち撮影。

 

日没後、かなり暗くなってからの撮影ですが、こういう風景を手持ちで撮影できるのは、明るいレンズならでは。

右側の空にごく薄く見える円弧上の光は、高速道路の街灯が影響したもの。一種のゴーストでしょうか。コーティングがそれほど高級ではないためかな… とも思いました。

 

また、明るいレンズ特有のボケが楽しめます。最初、このレンズに惚れ込むのは、このボケ味でしょう。さきに背景ボケが汚いと言いましたが、気にならない場合もあります。

ボケと言えば代表的な被写体が花。バックをボカしたり、前ボケを多用しますね。

レンゲ草。絞りF1.8、1/1000秒、ISO200、露出補正+2/3、画質RAW(カメラ EOS Kiss X4)。

 

大阪・靱公園のバラ。絞りF2.5、1/3200秒、ISO100、画質RAW(カメラ EOS Kiss X4)。

 

場合によっては固くてクセのあるボケも一興。

 

グランフロント大阪のクリスマスマーケット2013で。ドイツ風の屋台(ヒュッテ)に並ぶビール瓶。絞りF1.8、1/200秒、ISO800、露出補正-1/3、画質RAW(カメラ EOS 6D)。

ボケがギラギラ目立つのですが、クリスマスの雰囲気には合っているのではないかと…

 

(4) シャープな画質

キヤノンのページにMTF曲線が出ています。絞り開放だとやや甘く、少し絞るとシャープに。F8に絞ると、素晴らしい高解像度になります。

 

なんばパークスから見た大阪・ミナミ。中央左は日本一の高層ビル「あべのハルカス」。絞りF8、1/80秒、ISO100、画質RAW(カメラ EOS 6D)。

 

中央部の通天閣付近をピクセル等倍で表示したのが下の画像です。

100%拡大画像。

 

シャープで、自然な描写。色収差もあまりないように見えます。

もっともこの解像感は、EOS 6Dのフルサイズセンサーが寄与しているのですが、レンズとしても率直でクリアな感じ。

 

(5) コントラストが良い(ヌケが良い)

これはほかのレンズと一緒に撮ってみて感じたことです。

大阪・長居植物園でのコンサート「音楽と自然のひろば2013」。

レンズ:キヤノンEF70-300mm F4-5.6L IS USM  絞りF4、1/500秒、ISO200、画質RAW(カメラ EOS 6D)。

 

これに対して、シンデレラレンズ「EF50mm F1.8 II」で撮ったのが下の写真。

レンズ:キヤノンEF50mm F1.8 II   絞りF4、1/500秒、ISO200、画質RAW(カメラ EOS 6D)。

 

構図のタテ・ヨコ、画角が違うので比較しにくいと思いますが、同じ露出でもズームのEF70-300mmはなんとなく暗くどんよりした感じですね。一方、EF50mm F1.8 II は、明るくスカッとした印象。つまりコントラストが効いています。

EF70-300mm F4-5.6L IS USMはとても解像度の良いLレンズ。しかし、画像の切れの良さということになると、やはり安くても単焦点のEF50mm F1.8 IIが優れています。

 

(6) 色乗りが良い

「色乗り」というのは数値化されたものではなくて、ユーザーの思い込みの部分が多いといわれます。ただ、同じメーカーのレンズでも発色は明らかに違いがあり、「色乗りが良い」と感じるレンズがあるのは間違いない事実。

EF50mm F1.8 II は、場合によってはくどいと思われるほど色を乗せてくれます。これはレンズのコントラストの良さに比例しているような気がします。またレンズ枚数が少ない(5群6枚)ので透過率が良いのかも。

 

新梅田シティー「ドイツクリスマスマーケット大阪2013」の民族衣装の人形。絞りF1.8、1/30秒、ISO250、画質RAW、現像時に明るく補正(カメラ EOS 6D)

 

新梅田シティー「ドイツクリスマスマーケット大阪2013」のミニSL。F1.8、1/30秒、ISO2000、画質RAW(カメラ EOS 6D)。

 

*次回からはレンズの特性・性能から離れて、自由な作例を掲載します。



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