ミル姐さんのカフェ



アニメ演出家を生業にしている兼業主婦のたわいない呟き

お気に入りだったのになぁ・・・

2007-02-06 21:36:08 | 世間話
先日、いざ使おうと思って無くなっていることに気付いたものがある。それはハサミ
学生時代、フィルムの編集をする時に愛用していたもので、形状としては和ばさみ(握りばさみ、糸切り鋏ともいいますわね)なのだけど、当時もこのハサミ珍しかったような気がする。

フィルムの編集の時にはこの和ばさみは必需品
フィルム編集はまず一巻のフィルムに撮影したものをカットごとに切り分け、それをイイ塩梅で繋いでいく作業のこと。
でもフィルム同士を繋ぐ時はそれぞれの切り口が一定でないとまっすぐに繋げられず、プロジェクター(映写機)にかからないので、切る時にはさみは使わない。
スプライサーという専用のカッターのようなものと、それ用のテープを使うの。このテープを切る時もスプライサーで切る
じゃあ何にハサミを使うのかと言うと・・・テープを剥がす時に使うのよ。
あとはフィルムに字を書く
フィルムを上映用におこすためには『ラッシュ編集』『ネガ編集』という2回の編集が必要。
ネガというのはいわゆるマスターだからとても大事なので、そうそう何度もいじるわけにはいかない。でも編集作業と言うのは1発でなんでも決め込めるものではないから、切ったり戻したり・・・フィルムをものすごく痛めつけるのよ。
だからひとまず痛めつけてもいいような『仮』のフィルムを焼いて、それで編集をする。
何度も貼ったり剥がしたりできるように、粘着力の弱いテープで仮留めするの。そこで登場するのが『和ばさみ』
なんで和ばさみかっていうと、もちろん実用性。日本の道具は本当にうまくできてるもんだと感心するわ。
皆さんが通常使っているはさみをまず想像していただくと、使う前には『開く』、切る時に『閉じる』・・・二つの動作が必要でしょ?でも和ばさみは初めから開いているので動作が一つでいいのよ。
編集用のテープをはがす作業と言うのは案外細かい手仕事なので、『開く』という作業が実にわずらわしい。開いたまま固定されて無いから手に負担がかかるのよ。
その点和ばさみは開いた状態が基本なので手にストレスがかからない。ステキ
あとはその鋭利な先端
これを鉄筆の代わりにしてフィルムに字を書くの。
先に書いたように、ラッシュ編集の後にはネガ編集があります。
事前に行ったラッシュ編集はただの予行練習ではないので、ラッシュと寸分違わない状態でネガを編集しなくてはいけない。
でも写真のネガ同様、ネガフィルムは絵が見にくいし、どのカットをどのくらい切って繋いでいるのかいちいちスケールで計るわけにもいかない(ネガにキズがついちゃうからね)し、なんと言っても時間のロス
ネガ編集の時何をどのくらい切ればいいのか、ラッシュ編集の時ラッシュフィルムにマーキングしておく・・・この時に和ばさみの鋭利な刃が役にたつわけです。
とまぁこんなわけで、非常に便利なやつなんですが・・・いかんせん日常的にはあまり使わない
私も手芸の時くらいしか使わないから、無くなったことにも気付かなかった。
大事な想い出の品なのに・・・
和ばさみの難点は鋭利すぎて持ち運びが困難なこと。でもいなくなったあいつはちゃんとカバーがついてて、閉じると一見平たいボールペンのようになるやつだったの。
和とは名ばかりのものすごいクールな外見・・・グッドデザインだったわ!
今でもキャップ付きのハサミがないわけじゃないけど、もっとスレンダーボディでほどよいサイズだったのよ。
白いボディーの中に鋭利なステンレスの刃を隠しもったにくいやつ・・・同じものがないかと色々検索したのだけれど見つからず、ちょっとしょんぼりな今日この頃。
コメント (1)
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