私はヤゴです

水中から地上へそして空中へ飛び立つ人生を

川内 康範

2008-04-10 08:56:31 | weblog
「月光仮面」の原作や演歌「おふくろさん」等の作詞家として知られていた川内康範(本名 川内潔)が、慢性気管支肺炎のため3月6日青森県の病院で死去した。享年88歳。
映画、音楽、テレビをはじめ政治評論家や作家として幅広いジャンルでその才能を発揮してきた川内康範は、多くの作品の中で「日本人の美徳」を追い求めてきた。演歌の作品だけでも「誰よりも君を愛す」「恍惚のブルース」「骨まで愛して」「おふくろさん」等々列挙したらきりがない。
寺の住職の子として育てられた川内は母の影響を強く受け、どの作品にもその根底には「愛」「情」「正義」がちりばめられ貫かれている。名曲「おふくろさん」も亡き母の教えである「普遍の愛」を作詞家として可能な限り込めた心骨であると言われている。隣人を愛し社会の傘となって献身せよとの「無償の愛」を詩にしたその心や思いがよめず、昨年勝手にフレーズを入れて歌った歌手森進一との間でトラブルが発生した時も、歌は人の志を運ぶ船と位置づけ、歌の心がわからず常識が欠落している者には私の歌を歌う資格はないと森を一蹴した。かつては森を非常に可愛がり私生活にわたって面倒を見、蜜月時代もあったが、川内の一徹な性格と芯の通った気骨魂は最後まで森を許さなかった。30年以上も前に混迷する今日の日本の世相を喝破し生前「むき出しの欲望がぶつかり合うような殺伐とした世の中では国は滅びる。情、愛や正義がなくなればこの世は闇だ。私はやすらぎを与えるような歌をつくり、日本を再生させたい。」と語っていたが、数々の志を半ばに他界した。
作詞界の巨星の死に改めてご冥福をお祈り申し上げます。      合掌