日本一周川下り

カヌーで全国一級河川を中心に川下りをした旅日記。
日本一周の楽しいやり方等、カヌーとは無関係に楽しめるでしょう。

 同 【2003年 9月 2日】

2006-11-25 06:22:03 | Weblog
《岩木川》

番号 河川名 全長(km) スタート地 ゴール地 難易度
備 考
14 岩木川 102(内約14)  岩木橋 幡龍橋運動公園 中易 2箇所ほど要注意有り

 横浜町を出発し、野辺地を過ぎ、青森へ近づく。まだ、6時33分、『あれ?もう学校へ通う子供がいる、中学生だな!早いな~!』5分後には小学生、『えっ、この寒い地区で、子供たちはこんなに早くから、活動しているんだ。すごいなぁ、キット親が早朝から活動開始しているから、子供たちもそうせざるを得ないのだろう。福山とは雲泥の差が有りそうだ。』
 走っていると、次々と子供達が登校している。驚きだ。こんなに早く、学校へ行って、先生も、もう来ているのだろうか?夏だから早いのだろうけれど、それにしても早い。こんな子供たちは将来、キット良い子に、いや立派な大人になるに違いない。

 岩木川、狙いは弘前市、適当に選んだ所は「岩木橋」何とそこは川原へ降りれる。上流へ約300m。丁度、鮎の釣り師が居られたので、情報収集。『ここから、下はしばらく、ダムも堰も頭首工もない。』とのこと。ありがたい。早速カヌーを降ろす。
 いざ、出ようとバックすると、出ない。しまった、石原につかまった。あの人にお願いしなければならないとなり、またまた、御無理を言う。鮎釣りを中止し、やってきてくださったが、ふと思いついて、タイヤの後ろ側の砂や石を取り除き、少し谷を低くして、バックギヤ、出た!『ごめんなさい。折角来ていただいたけど、出ました。ありがとうございました。』と、丁寧に御礼を言って、上陸場所探しにスタート。

 これも適当にナビで設定。行って見ると、まるでカヌーポート。宿泊場所にももってこいの運動公園。土手のトイレのところにセーラー服の女の子二人が昼間から、何だか怪しげな様子、あぐらを組んで、しゃべりあっている。側へ行けばパンツ丸見えなのじゃないかなぁ?
 ゴールも寝床もここに、キ・マ・リ!

 テント張っていたら、一人の紳士、背中に荷物を背負い、階段を上がったり、下ったりしている。キット、山登りのトレーニングだろう。帰られる途中、こちらへ来られて、話が始まった。登山の話、川の話、川下りするでしょう、一人だったら、車は?等など、私も質問を…。
 私が教えていただいたこと、近所に居酒屋は?風呂は?どちらもすぐ近くにあり、便利で助かった。今夜は居酒屋へ行って、津軽弁を聞こう。そんなこともあって、スタートは遅くなったが、まだ大丈夫。スタート地へ行くと朝の釣り師はまだ居られ、中々頑張って居られたようだ。少し話をし、互いの健闘をたたえ・祈り、遅まきながらの

 1510:出発。
 早速の瀬、岩木橋の真下、橋脚へぐっと押し流され、橋脚へわずかながら、ごつん!
 次の橋の下、テトラが敷かれ、水量の少ないときはポーテージしなければならない。が、今日はテトラの頭の上をかろうじて通過できた、が、そのすぐ後の瀬が浅すぎて、ストップ、ポーテージ。
 3番目の橋の下流500mほどの左岸側、鮎の密猟者と思しき一団、投網を干していた。その向こうで、3,4人がこちらを怪しげな目で見ていた。『こんにちは~!』と、声を掛けたが、何ら返答はなかった。『密漁が見つかったかな?ヤバイな!』と、言う気持ちでもあったのだろうか、何だか変な雰囲気の人たちだった。

 ここはセグロセキレイが割と多く見れた。目の前をかすめて飛んで行ってくれる。
 カモたちもまあまあ多く、あちこちで早め早めに飛び逃げるのは残念だ。でも、時々逃げ遅れがいて、慌ててグエーグエーと声を荒げて飛んでいく様は、かわいそうだけど、ユーモラスで可愛くて、面白く、カモの飛び立つ様を私は大好きだ。
 今日もすごく楽しい・面白い・滅多に見れないシーンのお話を…。
 水鳥がカヌーのすぐ横、3m程の所に浮き上がってきて、カヌーや私を見て、びっくりした表情、きょろきょろして、慌てて、声も出さずに、逃げて行った。

 今、この板柳町一帯はりんごの最盛期、種類により、収穫が始まっているが、天候の不順でりんごも十分な収穫が望めないのかも知れない。が、川には沢山のりんごが流れている。桃ならば桃太郎が生まれるところだが、りんごでは昔話も知らない。一つ拾ろって見ようと寄せる。見ると別に悪い所は見えない。少し小振りかな?かじる。美味いじゃん!食べれる。結局一個まるまま食べてしまった。今度はもっと赤いのを食べよう。あった、赤いのがあった。漕ぎ寄せ、掴む、何と下半分がかじられていた。誰かが半分かじって、捨てたものだった。残念!
 ゴール手前500mほどの所、倒木が右岸にある、流れが急な所なので、カヌーは吸い寄せられ易い、注意が必要だ。川幅はあるので、余り近づかない方が良いだろう。そこから、カーブを回ると、ゴールの「幡龍橋」が見え、その手前が上陸地の運動公園。

 夕方、雨が強く降り出した。まあ、お聞きした居酒屋は幡龍橋のすぐたもと、テントから400mほど。川魚料理「べんけい」とある。覗くが客は誰もいない。
 お店にしたら、新客、スキンヘッド?不振な顔をしても不思議ではない。すぐさま、『今日そこの運動公園で、背中にザックを背負って、階段を上り下りしている、背の高いめがねを掛けた人に、安くてうまいからと、ここを紹介していただいてきました。私はカヌーで川下りしながら、日本一周を目指して、やっとここまで来た。家を出てから、90日足らずになる。私はムネカタと言い、親父は弘前生まれ、私の祖父は例の八甲田遭難事件の捜索に、弘前隊で行ったと聞いているんです。』等説明していると、少し肥えた人が入って来られた。その人も始めての私を見て、不審な顔。ママが説明し始めた。所々の言葉は分るが大半理解できない。ママが『言葉が、分らないでしょう?』と、こちらを向いて言う。『所々は分るけど、ほとんど分らないね。でも、実は、この津軽弁聞きたくて、来たんですよ!私は方言愛好者ですから、どんどん方言でしゃべってください。』

 お二人の話から、ザックを背負ったお方は「東奥日報」販売店の古川さんで、こちらでは「コガワ」と、読むのだそうだ。福山では「フルカワ」だが、やはり地区により、同じ字を書いても読み方が違うものだ。こんなのもある「門田」と書いて、福山では「モンデン」、愛媛県では「カドタ」、「モンタ」と読む地域もある。同じ漢字でも色々な読み方があるものだ。
 ママは千葉さん、肥えた常連さんは成田さん、話が色々と続いた。

 ママが『ジャッパ味噌って知ってる?』と、私に『ジャッパ味噌?初めて聞くよ!何?それ!』 『これ!食べてご覧!』 『ん、面白い、味噌味はする、プツプツするのは何かな?芯は有って硬いけど溶けるようにやわらかい、ん~、分らん?何?これ何かな?』 『それは魚の骨よ。魚の骨を、24時間から48時間とろ火で煮るの、そしたら、缶詰めの魚の骨のようにやわらかくなって、カルシュームたっぷりの美味しいジャッパが出来るのよ。それに味噌を加えて、煮たもの、身を入れるともっと美味しくなるのよ。でもこれ、身は少ししか入ってないけど、美味しいでしょう!私、これ大好きなのよ!』 『私も缶詰の骨、子供の頃から大好きで、今、旅行中の昼は大抵缶詰で済ましているから、骨をよく食べている。好いよ、ママ、これうまいよ!』

 「ジャッパ汁」と、言うのもあるそうだ。これは鱈の骨と身を48時間煮て、汁にするのだそうだ。一度やってみよう。これはやはり北国ならではもの、ストーブの上に、何時間でも置いておけれるからこのような料理が生まれたのだろう。
 帰るとき、ママが「ジャッパ味噌」をビンに詰めてくださった。
《板柳町岩木川運動公園泊》

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