日本一周川下り

カヌーで全国一級河川を中心に川下りをした旅日記。
日本一周の楽しいやり方等、カヌーとは無関係に楽しめるでしょう。

 同 【2003年 8月25日】

2006-11-17 05:37:13 | Weblog
《十勝川 Ⅱ》

番号 河川名 全長(km) スタート地 ゴール地 難易度
備  考
13 十勝川 156(内約13) すずらん大橋 十勝川温泉  易 ゆったり、のんびり初心者に

 819:昨日上陸した場所から、スタート。今年は雨が多いので、水量は多く川下りには非常に楽、だけど水がいつも濁っているので、折角の北海道の美しい川を見ることができない。後志利別川、尻別川、暦舟川など清流日本一の川も全て黄河になっていた。ここ、十勝川もいつもはもっと綺麗な川だろうけど、やはり黄河だ。でも、昨日よりは少し綺麗になっていることは確かだ。
 北海道一のつり橋を誇る「十勝大橋」を過ぎると、都会の真ん中にありながらも、人工の造作物が少なくなり、手付かずの自然のまま、といった感じになり、我々カヌーに乗る者にとってはありがたいことだ。
 その十勝大橋の下で、釣りをしている人に声をかける『おはようございます、釣れますか?』 『駄目だ!』 『何釣れるんですか?』 『ニジマス!』 『お~、ニジマス?それは良いですね。頑張ってくださ~い!』 『あんたもな~!』と、流され、離れて行く。

 暫く、下ると、流木が岸に打ち上げられて茶色い山になっている、その中に色の違うものがある、かと思うと、動いた、人だった。あんな所で釣りをしている。釣り師は、成果を上げるために、危ない所へ行くことも多々あり、事故になることもある。気をつけていただきたいものだ。『おはようございます。いかがですか?』 駄目と、手を横に振る。『狙いはニジマスですか?』 『そうだよ、釣れね~!』 『まあ、頑張ってくださ~い。』

 草陰に、人の姿が見えた。竿が見えた。ここも釣りだ。『おはようございま~す。』 『わー、びっくりした。急に、そっちから声がするんだもん。』 『あぁ、失礼しました。脅かすつもりは無かったんですけど、…どうですか?』 『駄目だな!』 『水が濁っているからでしょうかね?』 『そうかもしんね!』 『まぁ、頑張ってください。』
 久しぶりで、カモに合ったような気がする。最近はずっと鳥の姿が見えないでいた所、3羽のカモ、カヌ―が近づいても、逃げないでいてくれた。7mほどの近くへ行っても、逃げない、だが、どちらへ逃げようかとうろうろ見回し、困惑の顔をしている。カヌーが通り過ぎて、離れていくと安心したような顔になった。鳥でも、結構そこまで顔色が変わるものだ。
 以前、犬に大根の葉をやったら、食べた、が、すごくいや~な顔をしたことがあった。犬にも表情があるが、カモにまで表情があるとは思わなかった。また、一つ賢くなたぞ~!役には立たないだろうけど・・・。 

 十勝川は今日も際立った瀬もなく、所々に流木や倒木があり、そこは水の音がし、波立っている。川幅も十分にあり危険な状態はどこにも無い、大丈夫だ。
 初心者にグーな場所、こんなところで何度か楽しく、経験すれば川下りの楽しさが理解できるに違いない。
 その自然が残る十勝川、河岸の壁が素敵だ。
堆積岩で、貝を挟んでいる
まるで貝塚のようだ
結構大きな貝だ
 こんな素晴らしい景観を見て、太古に夢を馳せながら下っていくと、大きな人工物が目に入りだした。
 「十勝中央大橋」だ。何と、もうゴールだ。早い。十勝中央大橋の下を通過、
 1046:着、第一ホテル前のカヌーポートに到着。ここは、堤式になっているので、流れが速くなり、堤の内側は逆流し結構早く流れている。

 ここの公園は、5時~翌朝8時まで車は閉鎖されるので要注意だ。
 帰る途中、土手道を走っていると、何となく、福山辺りと家の屋根の形が違う所に気がついた。斬新的な設計士の知恵なのか、雪を考えての設計ゆえなのかわからないけど、やはり地域によって、屋根の形が違う。片流れになっていながら、反対側が少しだけ屋根がある。珍しい風景だと感じた。
屋根の形が面白い
 自転車で45分走ると、すずらん大橋に現着(現地到着)!
 カヌーを積み、次の目的地、「沙流川」をインプットすると、38号線を西進することになっていたので、またも吉沢さんの前を通り、今度はナスを買った。彼女、喜んで下さり、またも、セロリと大きなナスを下さった。何と何と!昨日も沢山戴いたのに・・・。『今、勉強中だけど、メール書くわ!』と、おっしゃられた。『楽しみにしています。返事は必ずいたしますから・・・。』

 帯広から日高山脈を超えて、襟裳岬の丁度反対側へ向う。日高と言えば、牧場が有名だ。道の駅まで、まだ距離も大分あり、持ちそうに無いので、途中で、おしっこ。丁度、牛さんや馬さんが草を食んでいる。そこで前後に車の姿も見えないので、ちょいと止まって、ジョボジョボ、途端に、牛さんが「モウー(そんな所でしないで~)」と、大きな声を出し、すると向こうの馬さん「ヒーン、ヒン・貧・貧・貧・貧!」と、鳴いた。『こん畜生!見て、笑ったな!』と、思ったけど、馬さんと比べたんじゃ、絶対に勝てっこない。笑われてもしかたない。まぁ、無理も無いか!

 日高町の道の駅「樹海ロード日高」で、4時前だったが何となく、好い匂いが漂い、口が寂しくなり、名物「日高そば」を食べたら、結構これが量もあり、全部食べたら、お腹がいっぱいになってしまった。『もうすぐ、食事なのに、失敗したな!』

 下り坂になると、霧が出てきて、雨も降り、段々酷くなる。二風谷オートキャンプ場へ行くと、先日の大雨で3連休と書いてある。でも、場所は有るのだから、キャンプは出来るだろうと入って行った。1kmくらいで到着、が、ロープで敷地内へは入れない、ごみ置き場の所へテント張れるなと目星をつけて帰ろうとしたら、パトカーが入ってきて、じろじろこちらを見ている。『こん畜生!』と、思い、こちらから声を掛けた、『この辺に民宿など無いですか?』 『一寸調べます。』と、言う。『調べなくても、いつも走りまわっているのだから、分かりそうなものだ!』と、我々は思うのだが、彼らは走っていても、見る対象が違うので、民宿の看板よりも、手配写真の顔に気をつけているのだろう。『この近くは無い、日高か、下の鵡川か紋別へ行けばある。』とのこと。 

 もう一箇所のキャンプ場も台風10号の影響で閉鎖されていた。
 途中、民宿が一軒あった。が、そのまま下り、先ずは沙流川の川原へ行ってみよう。海岸線まで降りて、少し戻って、沙流川の土手へ上がるとそのまま川原へ下りれた。ところが、10号台風の余波、無残な姿、大きなものが流されて来たらしく、トイレがひっくり返り、転がっている。小さい木は折れ、大きな木には流木がまとわりついているし、街灯はへし折られ、水道はもぎ取られ、芝生や駐車場には泥が積もり、誠に無残な公園に変身していた。『これは酷かったんだなぁ、今も雨はどんどん降っている。ここで今夜テント張ったら、夜中に水が出たら、大変だ。やはり、ここはテントはヤバイ!
無残な公園 
木にまつわりついている流木
トイレがさかさま。水道ももぎ取られていた. >
 外も暗くなってきた、テント張る場所をこれから探すのは難しそうだ。『しゃーない、今日は民宿だ!』来る途中にあった所へ戻ってみよう。行くと、そこは「満員!」、『近くにビジネスホテルか何かありますかね~?』と問うと、『すぐそこの平取町にビジネスホテルがあますよ。多分、空いているでしょう。』と、教えられ、行ってみると、ここも満員、『「鵡川」なら、大きいからあるでしょう。』と、またも海岸線の鵡川まで下ることになった。8時が近い。雨は本降り、前が見にくい。下手に走ると事故にも繋がる。

 海岸線の門別町へつくと、電器屋さんで尋ねた。教えていただいた、ビジネスオテルは少し離れている。すぐ側に旅館があった。『シャーない、今日はもう遅い、どこでも良い空いてる所にしよう。』と、目の前の新井旅館へ飛び込んだ。
 別嬪さんの女将で、食事は出来ない、何とか空いていると言う。『よろしくお願いします。』と、なった。ここで、さっき食べ過ぎていた「日高そば」が実は役に立った。晩御飯食べなくても、十分にお腹は、まだいっぱいだったのだから。やはり、何でもないことだが、私の行動は不思議なほど、うまく回ってくれている。
 戴いたセロリと缶詰で、うま酒をいっぱい飲んで寝た。ここならもうどんなに雨が降っても平気だ。

 実は、この沙流川、台風10号の被害をもろに受け、後片付けで、多くの人がこの地に集まっている、それで、民宿もいっぱい。ビジネスホテルもいっぱい。旅館も満杯だったのだ。よくぞ空いてくれていたもんだ。これもついている。

 集中豪雨で、犠牲者も出て、不幸ではあったが、宿泊施設には客が集まり、幸をもたらしたことになる。人間社会はおかしなものだ。それにしても、素泊まり¥4000は安いけど、個人的には、ちと痛い!まぁ、きつい雨をしのげたのだから、安いとしよう。
《新井旅館泊》

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