日本一周川下り

カヌーで全国一級河川を中心に川下りをした旅日記。
日本一周の楽しいやり方等、カヌーとは無関係に楽しめるでしょう。

 同 【2003年 8月11日】

2006-11-03 07:17:54 | Weblog
《天塩川 Ⅰ》

番号 河川名 全長(km) スタート地 ゴール地 難易度
備 考
1 天塩川 256(内約7) 天塩川温泉 中の島:音威子府  易 初心者にも素敵な素晴らしい川

 6時出発、稚内へ向けた。海岸線のオロロンラインをひた走りに走る。
 左は日本海、今日は風が強く、8~10m吹いている。海岸近くに来た波は少し沖から砕け波となっている。沖では一面にウサギが飛んでいる。そんな海を小さな舟が波に見え・隠れしながら、突き進んでいるのが見える。北海道、それも日本海の漁師さんはすごいものだ。尤も、この程度では普通のこと、穏やかな方なのかもしれないけれど…。
 右側は緑、ずーっと緑、60kmほとんどが緑一色だ。緑一食とは言っても、実は牧草地などで、所々に牛が寝そべっていたり、刈り取られた牧草の大きな束が転がらされている。正に北海道!って感じだ。

 途中、風力発電の風車が27機きちんと一列に建ち並べられ、くるり、くるりと回っていた。
 時々、カーブしながら、ほとんどが直線の道路、車も少ない、90kmでビュンビュンに走る。が、時に、その私を追い抜いて行く車もある。100kmは軽く越えているな。
 寒くなると雪が多い、この地だから、雪対策が色々取られている。道路では、シェルターが設けられ、大きなドーム型の覆いが道路全体を覆い、中には駐車スペースもある。また、歩車道の境界は、上から赤い矢印が示されていて、バス停ではその部分が引っ込めさせてあり、雪深いときでも、その矢印の引っ込んだ所がバス停だとわかる仕組み、考えたものだ。また、こんなのもある、道路に沿って、飛行機の翼やヨットの帆のように、ベルヌーイの定理を利用して、雪を道路に落とさないで、遠くへ吹き飛ばす装置。これも中々考えた装置だ。ごみステーションだって、少し高い所へ台がしつらえてあるし、郵便受けだって、それぞれの家庭で、雪対策が取られている。家屋自体雰囲気が違う。さすが、北海道、冬の寒さ、雪に対する対策が山ほど考えられ対処されている。

 稚内着が8時前。朝食を摂り、減量し、ガソリンスタンドが開くまで、PCに打ち込み、9時過ぎ、スタンドへ。『幾ら?』 『114円』 『高いんじゃな~、でも、しゃ~ないな~!』今までで最高に高かった。まあ、最北の地なのだから、仕方ないか!
日本最北端の宗谷岬
 それから、宗谷岬へ向けて、出発。概ね海岸線を30kmほど走り、岬に着くと、さすがにいっぱいの人、人、人、そして車にバイク。ちなみに最も遠来の車は、私の「福山」で、その次が「岡山」のバイクだった。 岡山県から、バイクで来ているんだ。すごい!
 丁度、日も照り、皆さん、一様に写真に納まり、にこにこしている。少し霞んではいるけど潮香が心地よい。今まで恐らく、こんな風景は見たこと無い。普段は瀬戸内海だから、島が必ず見えているけど、ここでは、海には島が無い。
 私は、観光の旅じゃないので、写真だけ撮って、さっさと最北の地を後にした。次は、天塩川の音威子府へバウを向けた。

 今度は日本海から、オホーツクの海に変わったけれど、やはり左側が広い海で、島影は無い。右は、今度も牧場が多いようで、乳牛が時々座っている。また、潮風に何年も吹かれ、家も傷みが激しいものも散見され、半年しか仕事がなく、やはりこの地で生き抜くことは並大抵のことではなかったことが随所に感じることが出来る。
 クッチャロ湖から、山道に入り、潮の香りとも暫くお別れだ。11時半、道の駅「ピンネシリ(敏音知)」で昼食を済ませ。音威子府まではあとわずか。
 今日は移動に時間をとられているので、ショートコースしかできない、

 音威子府の役場の横の道を天塩川へ向い、隣の「中の島公園」を過ぎた所から、川原へ降りると、カヌーポートがあり、川の駅の名は音威子府の「中の島」上は「天塩川温泉」7km、下は「ぽんぴら」32kmとある。
 先ずは、MTBを降ろし、「川の駅」の表示板に番をしてもらい、「天塩川温泉」へ向かう!途中、蕎麦の畑が広い広い!さすが北海道、何の畑でも広~いずっと向こうまで畑だ、本当に広~い!
広~い蕎麦畑
前庭は花が一杯 >
 手塩川温泉へ着く少し手前のお家の前庭の花畑は中々綺麗だ。近所で競い合い、をしてるようだ。札幌の近くの恵庭市では、確かクリスマスムード盛り上げに、ご近所がこぞって飾り付けをしているのをテレビで見たことが有る。北海道の人は中々おしゃれの様だ。
 天塩川温泉でのカヌーポートは温泉の裏を通り、パークゴルフ場の横を過ぎて、右へ下りて行くと、川面に降りることができる。ここが、川の駅「天塩川温泉」だ。

 1244:岸を蹴る。すぐ可愛い瀬、中央を進むと楽チン、楽チン!
 ここからの「中の島」公園駅まではそれほど厳しいものはなく、先日来の雨で、水量は多いので、非常に楽だ。流れもしっかりとあり、瀬も結構深さがあり、腹を擦ることはほとんど無い。
 トロ場でゆっくりパドリングしていると、鳥達が驚いて逃げて行く。過日も書いているけど、福山の鴨たちは、声をあげながら、すぐ空へ飛び上がって逃げるのだけど、ここ北海道に来て、羽をばたつかせ、水面に半分体を浮かせ、水を足でかきながら走る逃げ方をするのが居る。小走りと言った感じだ。所が今日はまた違ったやり方の鳥が居る、それは羽をばたつかせないで、足だけですごい速さで、泳いで逃げる。水を押しのけて、船が前の水を盛り上げて走るように…。飛べば早いように思うんだけど、足が相当に強いのだろう、また、水から離れたくないように、水の上を猛スピードで走って逃げる。遠くて、種類はわからないが、どうも「カワアイサ」らしい。宿題だ。
 トロ場を過ぎて、暫く行くと浅い長い瀬にやってきた。膝立ちして、浅瀬用に重心バランスを変え、時々コントロールが必要だが、手間の掛からない楽な瀬。こんなのばかりだと楽なのだけれどもなぁ!
 トロ場を進んで行くと、左岸の樹上から、50羽位の川鵜が飛び立った、『おーすごい!』と、思っていたら、隣の木から、7、80羽が飛び立ち、なんと100羽以上の黒い集団が空を舞った。見事だ。これほどの鵜の大群は初めて見た。すごい!でも、これだけの大食漢の鵜がこれだけ居ると、魚の被害も大きいに違いないけれど、それだけ魚が豊富だと言う証拠でもあろう。立派な川だ。その鵜の大群を見せてくれたら、すぐがゴールの「中の島公園」だった。
 1350:着。7kmを66分の可愛い・楽しい川旅でした。
 ここのカヌーポートは、きちんと木の杭を打ち込んで、水量によりどの高さにも着岸できるように、いわゆる雁木式に立派なカヌーポートが作られていて、感心だ。

 美深温泉のキャンプ場は、道の駅「びふか」の裏に美深温泉があり、その前側から天塩川の間の広い場所がそれで、以前は無料だったらしいが、平成12年以後有料になっている。フリーキャンプは一晩一人200円とオートキャンプは一台2000円、人数は問わない、電気や水の設備が完備、キャンピングカーが電気使うので多いようだ。今日は満席との事。だから、キャンピングカーがフリーの方へも結構来ている。
ゆったりと優雅な人たち
 テント張る場所をきめ、張っていると、私のテントの奥のご夫婦、関西弁なので、『関西からおいでですか?』 『そうです、あちらは暑いのでね。仕事無いから、夏は毎年ここへ来るんです。もう、3年になります。4、5ヶ月くらい居ますよ!』 『えっ~、4、5ヶ月も?別荘ですね。』 『そうなのよ、ここは私達の別荘なのよ。テント張ったまま、あちこち行くんですよ!』何と、世の中にはすごい人がいるもんだ。一日200円だから、素泊まり宿泊費、4ヶ月でも、一人24、000円、これは安いよ。涼しくて、トイレ・水場は有るし、温泉はすぐ側だし、綺麗な空気吸って、あちこち、イベントがある所へプラプラいきたい所へ気の向くままに、行って、携帯電話で、家族とも話をし、持病があっても、お医者さんとも連絡取れるし、こちらの医者にも掛かれるし、それは、豪華で立派な人生。素晴らしい!

 テント張って、荷物も入れ込み、さて、食事の準備でもしようかと思った所に『生ビール飲みませんか?話を聞かせてください!』と、声を掛けてくださったお方が居られ、『ありがとうございます。じゃぁ、私がお伺いします。』テント内を整えておいて、そちらへ向う。私より年上の人やら若い人やら、ログハウスのテラスでバービキューしながら、くつろいでいる。 『今晩は!お言葉に甘えて、参りました、ムネカタと言います。よろしくお願いします!』 『まぁ、ビールでも、イカの美味しいのがあるからどうぞ、どうぞ!』山登りが好きな人、魚釣りが好きな人、人の世話するのが好きな人、人の話をきいてるのが好きな人、など色々な人がいるのだが、互いに仕事などプライベートなことは知らない同士、何だか皆さんのことが・話が、私の頭の中で、どうもかみ合わない。

 で、色々お聞きしている内に、段々判ってきたことは、この美深温泉へは毎年来ていて、それぞれがばらばらな人たちで、勝手に来て、勝手に帰る。勝手にこのログハウスに来て、一緒に食事し、話、夜は自分のテントや車に帰って寝る、時には、そのままここで寝てしまうことも、有るようだ。
毎年ここだけで会う人たち
 毎年夏になるとここでだけ会う人たち、もう何年も同じようにやっていると言う。これも中々おしゃれで、面白いやり方があるものだ、と、感心する。結局は、私のカヌーの話しより、彼らの話を聞かせていただいた夜だった。
《美深温泉キャンプ場泊》

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