日本一周川下り

カヌーで全国一級河川を中心に川下りをした旅日記。
日本一周の楽しいやり方等、カヌーとは無関係に楽しめるでしょう。

 同 【2003年 8月26日】

2006-11-18 06:17:31 | Weblog
《沙流川》

番号 河川名 全長(km) スタート地 ゴール地 難易度
備 考
11 沙流川 104(内約14) 新平取大橋 さるがわせせらぎ公園 中易 豪雨災害の事故捜索しながら

 北海道の川は土手が砂利道だが割と完備していて、「一般車両は通行禁止」となっているが、農業機械も通っているし、私も再々走ったように、通行は可能な所が多い。
 下見するのに、土手道をできるだけ走りたいが、やはり台風の影響で、ここ沙流川では復旧工事が盛んに行われ、通ることが出来ないところも多々ある。そこは仕方なく、下見できず。土手から川原を見下ろすと、水の力で川原の道が削り取られて、がたがたになっている。対岸の山では土砂崩れも起こっており、生々しい。
削り取られた河川敷
土砂崩れの跡も生々しい
 兎に角、この沙流川では10名の犠牲者がでて、まだ、捜索している最中だ。
 それで、「川下りなんかして遊んでいる、なんて、不謹慎な!」と、言う思いと、「捜索を川の方からやるんだ!」と、言う思いとが有り、当然、私は後者を選んだ。

 1310:「新平取大橋」の左岸は川原へ下りる坂の途中から、道をもぎ取られ、道も痛んでしまっていたから車が充分下まで降りれないので、キャリアーで運び、崩れた所を担ぎ降ろし川原へ、そこから出発。
 水量は豊富で、どんどん流れているが強烈な瀬はなく、穏やかな流れ、水はやはり黄河だ。
 30分ほど下ると右岸に十数名の人影、『捜索ですか?』うなずく『後、何名ですか?』2本の指が示された。『私も川から捜索します。』と、言った。
 まだ、二人が見つかっていないんだ。「見つかるまで」と、「あきらめるまで」の間は捜索が続けられることになるので、大変な作業だ。私も川面から、おぼしき所へ近づき捜索に協力、樹木に割りと綺麗な布地がぶら下がっていると近寄り、水際に大き目の布地があれば近くまで行って見るが違う。でも、実際に見つけたら、キット相当に驚くだろうな?

 また、少し下ると左岸のジャングル地帯を十数人の人達がやはり捜索していた。『こんな所もくまなく捜索しているんだ。すごいなぁ。ご苦労さん!』と、言いたい。
 空にはヘリコプターが飛んでいる。キット捜索用なのだろう。でも、こちらにカメラを向けてるような感じがしたので、手を振っておいた。しばらく後で、今度はカヌーの丁度上空を旋回したので、パドルを振った。テレビのニュースで、「不謹慎なカヌーと出たかな?」それとも、「川から捜索か?」と出たかな?

 川は、平凡な流れ、危ない所はない。なのに、大雨が来ると、一気に水が増え、過去も度々被害甚大なことになっているのが、この沙流川と明日の鵡川だそうだ。暦舟川も同じだった。日高山脈に降った雨が一気に流れ出し、下流に甚大な被害を及ぼして、来た歴史があるようだ。この前、大雨に遭ったけど、あの時にこちらでは甚大な被害が起こっていたのだ。
 無事、「さるがわせせらぎ公園」まで14kmを下り、
 1605:着、残念だが捜索に大きく貢献は出来なかった。尤も、もし、遺体が陸上にあれば、鳥たちが黙っていないから、鳥の様子を見ればすぐ判るのだろうし、ひょっとして、水中か土中にまだあるのじゃないだろうか?かわいそうに…。ご冥福を祈るしかない。

 車を取りに上る。1時間足らずだった。
 ここ「新平取大橋」のところにある「沙流川」の看板が実に面白い。
 「さる川」と書いてあるのに、「馬の絵」だ。猿を連想させて、馬だから、非常に面白い。
さる川の馬の絵
 実はこの地区は馬の産地で、有名な新冠や静内と共に門別も平取も馬の牧場が多いのだ。

 北海道には、難しい名前や面白い名前があるのだが、当然のことアイヌ語が活かされているからだが、「新平取大橋」のすぐ近くに「オバウシナイ橋」と言うのが有り、石狩川の支流に「ヤリキレナイ川」と、言うのがあった。アイヌ語だから、意味は違うのだけど、日本語の意味に置き換えると本当におかしい名前になる。
ゆっくりお読みください
 10号台風では、この「さるがわせせらぎ公園」の入り口の小さな支流に、本流から逆流し、近所の家や田畑・牧場が泥水につかり、畑も牧場も使い物にならないような状態になっていた。そばにおられた、おばあちゃんと話していた時、一人の男性、私の車の後ろを見ていた。
 そのおばあちゃんの話では、今日新たに一人の遺体が見つかり、明後日で捜索打ち切りだそうで、二風谷ダムのもっと上で見つかったそうだ。あと一人だけど、むつかしいことだ。

 今夜は雨が降りそうに無いので、川原へテントを張ろう。
 夜、テントを張り、夕食準備をしていたら、車が入ってきて、『今日、昼、そこで会ったものです。面白そうですね。』と、近づいてきた。『ハイ、楽しいですよ。見て行きますか?』 『えぇ、良いですか?』 『それはかまいませんよ!』友達と二人でやってきた。
 今日は豚ハツ(心臓)で野菜炒めを予定していたので、その様に始める。
 外では難しいのでテントの中で作り始めた、『中に入られますか?』と、問うと『入る!』と、言う。野村さんと友達は大内さんと言う、水が少なくなっていたので、『水が欲しい。』と言うと、大内さんの家が近いのでと、ボトルに汲んできてくれた。

 面白い人たちだ。ついに一緒に食べ始め、酒も出し、わいわい、宴会風になり始めた。私はこんなことが大好きだから、実に楽しい。
 野村さん、一寸帰ってくるといい、今度は中1の息子、ヨシヒロ君を連れてきた。「きりたんぽとトマト」のお土産もぶら下げて、『息子にあなたのような人を見せたい、息子にも何かそんなことさせたいから、』と、言う。大内さんもしきりにうらやましがり『歩いて北海道一周をしたい。』と、言う。『それは絶対にできます、ぜひ実現してください。それは苦しいかも知れないけど、非常に楽しいことですから、』と、力づけた。事実、旅は非常に楽しい、ただ、普通の観光旅行はそれほど面白いものではない。

 観光地を見るのはテレビに限る。TVだと、一年を通して、緑の季節、雪の風情など最高のシーンを見せてくれるし、説明もきちんとしてくれる。金も掛からない。だが、自分が行く時、常に良い時ばかりではない、雨も降り、霧もかかり、花も散ってたり、疲れていたりで、ガイドさんの話も聞いてはいない、質問もしない、どちらかと言うと日本人は、特に中高年女性は、土産買うための観光旅行しかしていないようだ。こんな観光旅行は馬鹿げた無駄なことだと思うんだが・・・。
 観光旅行でもキチンとテーマを決めて、それを目指せば別だけど、時間制約があり充分に果たせないだろう。

 全国行脚のテーマは無料温泉巡りとか、友人訪問、全国城巡り、知事訪問、市長訪問、道の駅巡りなどと、見つけ、これは行かねば体験できないこと、自分がやらねばならないこと、だから楽しい。なお、旅はできれば一人に限る。二人だとどちらかが常に我慢し、犠牲になるので、結果は良いものにならない。また、一人の具合が悪くなると、中断するし、そちらが良くなって、今度は自分が具合が悪いとまた中断することになり、能率も悪くなる。一人で動けば自分のわがまま通り、マイぺースで行くことが出来る。旅は一人に限る。夫婦でも、別々に交代で、自分の好みのことに目的やテーマを持って旅に出るのが良い。
《さるがわせせらぎ公園泊》

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