日本一周川下り

カヌーで全国一級河川を中心に川下りをした旅日記。
日本一周の楽しいやり方等、カヌーとは無関係に楽しめるでしょう。

 同 【2003年 8月12日】

2006-11-04 07:17:19 | Weblog
《天塩川 Ⅱ》


番号 河川名 全長(km) スタート地 ゴール地 難易度
備  考
1 天塩川 256(内約16) 美深温泉 天塩川温泉  易 キャンプ場が中々のものだ

 早朝、654:美深をスタート。今日は天塩川温泉まで18kmを下ることにした。
 ここ美深のカヌーポートは道の駅から200mほど上流側に「びふかアイランドポート」の看板を川の方へ入れば、OK!湾の形になっていて、どこからでも降ろせる。
 今夏は雨が多く水量が多いので、カヌーにとっては楽な、楽しい川になっている。普段はトロ場でも、今年はよく流れている。
 そんなトロ場を静かに進んでいても、鳥達は敏感に反応する。北海道でも、道北に入ってからは、何だか鳥の反応が早く、それまでは約7、80mで逃げるのだけれど、石狩川以後は150mに近づくともう逃げていく。中には300mもの距離が離れているのに、もう飛んで逃げるものもいる。

 そんな中、これまた面白い光景を見せてくれた。70mほどの距離、「カワアイサ」と思われる鳥が、4羽いて、最初の一羽が小走りに逃げた、続いて3羽が慌てて水の上を走って逃げた。所が、内一羽が岩につまずいてこけた!『鳥でもつまづくことがあるんだ。』と、笑ってしまった。
 また、ここにはカイツブリのように、「完全にもぐる小型で頭が茶色、半分体が白い」水鳥が数羽いた。カヌーに驚いて、もぐる、どこに出てくるか、じっと見ていると少し川下にポカと出てくる。また、すぐもぐって、逃げている。それほど長い時間でもないし、長い距離でもない。 ポカと浮き上がってくる。また、すぐもぐる。かわいくて、面白い!

 大きな水音が聞こえる、今までよりかなり大きい音だ。これは落差が大きい証拠。川全体に流れをせき止めるように、石が連なり流れを盛り上げ、落ち込んでいる。流れも速い。立ち上がって見ても、向こう側はほとんど見えない。ならば、仕方が無い。行くっきゃない。適当な所を見繕って、GO!大分悪い条件だったが、うまく進み、ちゃんとクリアーした。これがキット「豊清水の瀬」と言われている瀬だろう。中々にヤバイ瀬だった。
 945:ゴールの手塩川温泉に近づくとブルーのインフレータブルが、出ようとしていた所へ、私の姿が見えたので、彼は出るのを控えられたようだ。私も話し合いたかったので、丁度良かった感じだ。

 彼は帯広在住で、道東地区を中心にあちこち沢山下っているようだ。釧路川を屈斜路湖から、河口まで下っていて、『釧路川は屈斜路湖から下ると、自然の濃い森林地帯の川となり、摩周の町を通り、また自然の豊かな川となり、つぎにまた町中を通り、最後には湿原へ入る非常に変化の多い、面白い川ですから、是非に行かれますように』との事。私も『釧路川はこの旅の最大の目的の一つでもあるので、全ては無理かも知れないけれど、必ず行きますよ。』と答え、楽しみが増してきた。
 彼は今日も、カヤックにテントなど生活用具一式を乗せて、途中でテント張りながら、名寄市の曙橋から下って、河口まで下ると言う。河口には友人が車で迎えに来てくれるそうだ。河口まで行くのが本当の川下りかも知れない。でも、河口が近くなると、ただ、漕ぐだけの変化が少なく、また、護岸されていて、風景も、面白くないのではないだろうか?
 彼が出発することになり、互いの健闘を祈念し、見送って別れた。

 北海道には、当然だが白樺があちこちにある。のだけど、白樺林となると、自分の行動範囲には、案外目に止まることは少なく、美深温泉へ帰る途中に、白樺林が道の両側にあった。色々な木と混ざり合ってる場合が多く、ここは比較的白樺が固まっていた。ダンプも道路をバンバン走っている。  山の自然の林でなく、時には学校の塀の変わりに白樺が植えてあり、子供たちは門まで行かなくても自由にその間を出入りできる、そんな学校もあったが、キット子供たちはのびのびと育っているだろう。
 一寸暗い詩だが、替え歌を一つ。
白樺林
 ♪ 白樺 雨雲 向かい風
 ♪ ダンプカー ほこりを巻き上げて
 ♪ あぁ 素通りしいて行く
 ♪ 目にゴミ、痛くて、コン畜生も 言い出せないまま
 ♪ 離れて 行っちまったぁ もう どうしようもない
 ♪ あぁ、仕方ない、我慢だけ 我慢だけ

(「北国の春」の曲で・・・。真に駄作だ。)

 美深へ帰り着き、急ぎ、次の「渚滑川(しゃこつがわ)」へ向けて、走った。
 途中、進行方向が暗くなり、雲が垂れ下がり、『降るぞ!』と、思っていたら、ライダー達が急に止まり、雨具の用意をし始めた。あそこでも、ここでもやっている。さすがだ!
 雨は降り出した。段々酷くなる。すごい、超大雨となった。ワイパーをフルに動かしても、前が見えないほど、強烈な雨だ。これはライダーや特に自転車の人は大変だぞ!と感じながら、昼間だけどライトをつけ、スピードは落とし、気をつけながら走る。こんなときは車はやはり楽だ。そんな時、道の駅「にしおこっぺ花夢」があり、そこへ入る。暫くして、小降りになったので、出発しようかと表に出ると、一人のライダーが雨を避けて、入り口のピロティーで体を拭いていた。『すごい雨で、あなた方は大変でしたね!』 『えぇ、ヘルメットの中にまで雨が入り、前が見えなくなって、危ないんです。』 『あぁ、そんなことになるんですか?』彼は毎年北海道に来てるとの事。最初に来たときに、北海道の人の温かさに触れ、毎年来るようになったそうだ。『ここは、自然が厳しいから、お互いに助け合わないと生きて行けないから、人情が深いんですね!』と、まだお若いのに中々しっかりしたことを言われる。私の「へいせい徒然草」に同じこと書いているので、同感だ。

 先へ急ごうと、彼と別れて、また走り出した。またも大雨が降りだした。すごい。今日の雨はキット梅雨明けの雨になるだろうけど、それにしてもすごい雨だ。断続的ではあるが、余り経験の無い雨で、5回も超豪雨になった。
 後で分かったのだが、この集中豪雨が日高地方の土砂崩れを誘い、4人の死者が出、川下りの鵡川の上流であったが為に、大勢の捜索隊が川に沿って探しておられた。私も、川から捜索したのだが。

 「渚滑川」の上流と思しきところへと進むが、どうも川へ入る事が出来そうに無い、そうこうする内に紋別市についてしまった。
 少し上流へ行くと、面白い名前の橋に出合った「宇津々橋」だ。車の降りた跡がある。対岸に川の工事関係者らしき人達がいる、先ずは聞いてみよう、『これから上は降りれるところは余り無い、下は海まで行けれる。』との事、『おっと、これは面白いことになるかもしれないぞ!マスコミさんに一声かけて見よう。』
 右岸側はコンクリートタイル風で平らになっており乾燥しているし、草も少し間から生えているけど、寝るに支障は無い。よし、今夜はここだ。寝どころが決まるとあとは楽になるので、河口へ行き、自転車を置いておき、町の方へ向う。
 角を曲がると「北海道新聞販売所」の看板。よし、話してみよう、と訪れる。『川下りしながら、日本一周をしているものですが、ここの渚滑川が面白いのでニュースになりそうなので…。明日、朝8時頃、宇津々橋を出発します。』と、話した。『支局に連絡しておきます。』とのご返事。
 NHKにも電話入れたけど、留守番電話。ここの人は高校野球で甲子園に行ってて不在だと後で判った。テレビも新聞も無い生活をしているので、高校野球もプロ野球も政治も経済もどんになっているのか、さっぱりわからない。これも中々に幸せなものだ。
《紋別市宇津々橋泊》

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