日本一周川下り

カヌーで全国一級河川を中心に川下りをした旅日記。
日本一周の楽しいやり方等、カヌーとは無関係に楽しめるでしょう。

 同 【2003年 8月31日】

2006-11-23 06:13:09 | Weblog
《天の川》

 朝、熊にも襲われる事も無く、無事、目を覚ますことが出来た。斉藤さんのお陰だ。
 早めに斉藤さんたちに別れを告げ、一路「天の川」へ。
 駐車場から少し下がった所に、赤い欄干の「大沢橋」があり、その側に「けもの道」らしき樹の切れた草地で少し踏み固められたような所が見えた。これが夕べ話に出た、熊の通り道、けもの道はこんな感じなんだな、覚えておこう。長居は無用と通り過ぎる。

 今日の予報では「曇り時々雨」だったが、予報通り、大雨が降り出した。暫く降っていたが、通り雨で止んでくれた。
 夕べ、美味しい水の出るところを2箇所、齋藤さんから紹介されていた。
 津波で大被害を受けた、奥尻島の丁度対岸にある「生命の水」を2本のタンクに詰めておいた。

 江差追分の本場、江差へ到着、道の駅「江差」はトイレの中にも「追分」が流されており、ムード満点。だが、売店などは誠に小さく、3人が入ればもういっぱいだった。
 「江差追分会館」で、実演があるので、聞いて行こうと会場へ行くが、駐車場はがらがら、おかしいなと思い、見てみると開演は11時から、まだ、10時、無理も無い。では、待つわけにもいかないので、仕方ない、減量しながら聞いた、「追分」で我慢しよう。

 天の川の河口の町、上ノ国町へ到着、早速、上陸地の確認、車は花沢温泉の駐車場に置いておき、丁度、今は鮭の捕獲のヤナを建設中だけど、今日は日曜日なので、お休み、これもついている。通行止めのガードの横を通って川辺へ下りた。上陸地にバッチシ。
 さて、出発地はどうだろうか?と「湯ノ岱(よのたい)温泉」へ向けて走る。始めは、砂利の土手道を走り、下見を、鮎の釣り師も所々にいる。暫くからは、土手も無くなったので、一般道へ。
 「湯ノ岱橋」の右岸、これまたスタートに最適地。ここの左岸に立派な川名の看板。普通は金属板の味気ない国土交通省の表示板だが、さすがにここは一味違う。
素敵な天の川の表示板
 川はやはり小さい、でも水は綺麗だ。なお、以前は、「天野川」だったものを「天の川」と代えたことが川名板から解る。ロマンティックで良い名前にしたものだ。キット、町民の声を反映させたのだろう。
 カヌーを川原へ降ろしておいて、そのまま帰り、花沢温泉で昼食をしていると、また、大雨が降りだした。黒雲は一面を覆い、低く、当分続きそうだ。『これは、困ったぞ!この雨が続いたら、カヌーに雨が溜まる、沢山溜まるとヤバイ!それと、それほど降ったら、川が増水、カヌーが流されるかもしれない。だと、上げに行かなくてはならない。となると、今日は中止、決行は明日か?』

 日程も考える。『本土への復帰、ならぬ内地、いや本州へ帰るのが一日遅れる。が、元々は3日が岩木川の予定、ここから岩木川までは丸一日半は必要、すると今日ここをやらないと、一日足りない、それでなくても、7日の「芋煮会」にはぎりぎりなのだから、どうしても今日でないと駄目。「天の川を中止にすることは絶対に出来ない」と、言うのが、一昨年、私と友の石川さんとで「天の川カヌークラブ」を福山に結成したのだ、天の川があることも知らなかったが、鵡川で山田さんに戴いた「北海道の のんびり下れる 川の本」に出ていたので、初めて知った。そしてまた、北海道最後の川になるのだ、何だかすごく記念の川になったのだから、どうしても行きたい。雨よ静まれ!雨よ止んでくれたまえ!』

 半分はなるようにしかならぬ、の考えで、雨の様子を見るためもあり、車の中でPCの打ち込みをしていた。
 1時過ぎ、空が少し明るくなった。『おっ、いけるぞ!もうちょい!』少しずつ明るさが増し、願いが叶い、雲が開け、青空が見えだしたので、急ぎ出発しよう。でも、雨はいつ降るか分らない、雨支度を十分にし、自転車で湯ノ岱へ。途中、日も差し始め、着ていた雨具が暑くなり、普段の服装になると、涼しく、気持ちが良い。快適なサイクリングとなった。

 道路から畑を挟んで、5、60m離れた所の家の庭で、こちらを向いて放尿の男性、一物は見えないけど、ついそちらに目が行った。男性『○○○○!』キチンとは聞き取れなかったが、私へのお声がけだと感じたので、手を上げて、挨拶、すぐ後で『どこまで行くのかね?』と、言った様だと気が着いて『湯ノ岱まで』 『頑張ってな!』と、応援メッセージとなった。
湯ノ岱から川面を見る
 天気はどんどん回復し、今度は暑くなってきた。
 あれだけの雨、カヌーの中に水が大分溜まっているに違いない。と思いつつ、着いてみると、全く濡れていない。何と、こちらはで降っていなかったのだ。
 函館行きの時、またここを通るので、自転車は電柱に番をしてもらうことにした。

 1420:スタート。
 水は綺麗だ。北海道へ来て、「清流日本一」を誇る、いくつかの川も全てが雨で黄河であったが、ここ「天の川」上流では雨が暫く降っていないらしく、今までで一番綺麗な川となった。北海道最後の川が「天の川」で、透き通った綺麗な水、私に取って最高の舞台装置となったのにも何か因縁めいたものを感じる。

 流れは丁度良い位に時速4~5km程度、瀬は沢山有るけど、強烈な所はなく、正に、出来たての「天の川カヌークラブ」に適し、初心者でも楽にチャレンジできる川だ。水が綺麗な性で、カワセミが多く、次々と姿を見せてくれる、まるでカワセミの乱舞、と言った風情。贅沢の極みだ!
 鮎釣り師が多いが紳士ばかり。ただ一つの問題点は、虫の大襲来だ。ミツバチ位の大きさ、腹は細く、横縞があり、蚊くらいドン臭く、飛んでるやつを叩ける。止まったやつを叩けば一打ち2匹も度々のこと。悪いことに噛むか刺すかで、「ちくっ」とする。一時痒い。その虫が、始めは4,50匹が顔の周り、体の周りをぶんぶん羽音を立てて、飛び回るので、驚いた!驚いた!追い払ったが、向こうはこちらを狙っているので、逃げるどころかそこら中に止まる。ライジャケに止まる。シャツに止まる。すぼんに止まる。股間に止まる。顔に止まる。体中、止まった所をどこでも叩く、下にぼろぼろ落ちる。まだ、動いているやつもいる。ぎゅっとおさえてつぶす。大分数が減ったと思いきや次の集団がやって来る。また、ばんばん叩く。足首をやられた。痒い!畜生!叩いて、叩いて、落ちたやつを、まとめて川へ落とす。『ざまー見ろ!魚の餌食だ!』魚は「今日はえらいご馳走が多いい日じゃのー」と、喜んだに違いない。

 この虫との戦いは、中ほどの宮越辺りまで続き、100匹程度の虫を魚の餌にした。宮越辺りから後は不思議なほど急速に、全く虫が来なくなった。
 花沢温泉へゴールしたのは少し暗くなり始めた1805:着 17kmを3時間と45分。その内1時間半くらいは虫との闘いをしていたことになる。この虫との闘いも結構面白かった。

 濡れた体のまま、すぐ近くの花沢温泉へ、資料では100円だったが200円に値上がりしていた。が、それでも安い、ありがたいことだ。虫にやられた所はその時だけは痒かったが、その後、全くなんともなくなっていた。
 カヌーを上げた所は花沢温泉のすぐ下、進入禁止になっていたけど、車止めを勝手に外し、中へ入り、そのアスファルト道路にテントを張った。進入禁止だから車は来ない筈だ。

《花沢温泉下川辺の道路泊》

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