
このブログをご覧になっておられる日本の友人から10月22日にヤマハ・ミュージック・トレード社より発売された丸三ハシモト(株)製のウクレレ用絹弦(黄色)を送って頂きました。そして、その後さらに別ルートから白色の絹弦も入手いたしました。ゲージの表示はありませんが実測結果は黄色弦が1弦(A)が0.023" (0.60mm)、2弦(E)が0.031" (0.79mm)、3弦(C)が0.039" (0.99mm)、4弦(G)が0.027" (0.68mm)そして白色弦はこれとやや異なり1弦(A)が0.023" (0.60mm)、2弦(E)が0.031" (0.79mm)、3弦(C)が0.037" (0.94mm)、4弦(G)が0.024" (0.61mm)となりましたがいずれもサンプル測定ですので正しいかどうかはわかりません。
ただ白色のほうがウクレレに張った場合に違和感がないので今後はこれで進めるのかもしれませんね。(11月11日追記)
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本文に書きましたように第二次大戦中は三味線用の絹の糸(弦とは呼ばないようです)をウクレレ用に転用したそうですので、私もあちこちの三味線屋さんを訪ねて歩き、入手した「糸」をいろいろと実験したことがありました。
そのときの印象では「音程が安定するまでに時間が掛かる」ことと「音自体に力強さが不足しているように思える」の2点が気になりましたが、今回の「ウクレレ用」として開発された「弦」はそれらがどの程度改善されているか興味のあるところです。
いずれにしても今までの弦に比べると切れやすいはずですのでこれから慎重に検討していきたいと考えています。(10月29日追加)
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先にご紹介いたしましたナイロンのモノフィラメント(ムク弦)にチタンコートを施したダダリオのT2(Titanium Treble)弦はテンションが幾分高いのですが、しっかりとした明るい音で、しかも大きな音量が得られますので今後のウクレレ弦の選択肢の一つとして有力な存在になることでしょう。
チタンコート弦をすでに採用しているコオラウに続いて数社のウクレレに張られるという情報もあるなかで、最近もう一社のチタンコート弦であるハナバッハ(HANNABACH)社のチタニール(TITANYL)を入手いたしましたので、これも自分で実験するとともにいつもお願いしていますshinfujiさんに検討を依頼したところ、T2同様の効果を示したとのレポートを発表して下さいました。
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その昔にはガット弦しか存在しなかったウクレレ弦の世界も、米国では第二次世界大戦前後に登場したナイロン弦がそれに取って代わり、最近まで圧倒的な使用量を示してきました。
一方わが国では第二次大戦中に日本独自で開発したナイロンに似た材料「アミラン」は合成繊維として使うのが精一杯で、ウクレレ用の材料としては使われず、もっぱら三味線の糸あたりをウクレレ弦として代用してきましたが、ガット弦にせよ三味線の糸にせよ極めて耐久性に乏しく、NUA創設者の灰田さんの話では一回のステージで演奏中にもガット弦は何回も切れて困ったとの事でした。
幸い第二次大戦後になると靴下や○○同様大変強くなったナイロン弦がわが国にも登場し、寿命も格段に長くなりました。
そしてこの10年ではshinfujiさんやcobachanにご協力を頂いてウクレレ用として私が初めて世の中にご紹介したナイルガット弦やワースクリエーションの高橋さんが研究開発したフロロカーボン弦も登場して弦の選択範囲が大きく広がり、フロロカーボン弦はコアロハやマーティンの標準弦として、そしてナイルガット弦にいたってはカニレアやカーラをはじめ多数のメーカーが採用するまでに至ったのは大変嬉しいことです。
ただ、いずれの弦も「万能な弦」ではありえず、それぞれの楽器との組み合わせや演奏のしかたで好みが変わりますが、とにかくユーザーの選択肢が広がったことはご同慶の至りと思っています。
たとえばナイルガット弦は高次倍音が多く含まれる傾向がありますので「鳴らない」ウクレレに張るとよく鳴ってくれますが、もともと「鳴る」ウクレレに張ると倍音同士の干渉によってコードがキタナクきこえることすらあります。さらにはこの弦は良く伸びることと摩擦に弱いという性質もあるので、ナットの溝の端の処理がシャープになっていると断線することもあります。でも、これは楽器の側も丁寧に仕上げる必要があったのですから、「ナイルガットはすぐ切れるからダメ」というのは持ち主にも責任があるはずです。
こういった問題は摩擦に強い性質をもつナイロンやフロロカーボンでは起こらないので、当初は戸惑うかも知れませんが・・・・
一方ローG弦として愛用される「金属巻き弦」は弦の直径(ゲージ)を増さずに質量(重さ)を増す手段として有効なためたくさんの愛用者がいますが、どうしても他の3本の弦とは鳴り方が異なるので違和感を覚えるかたも多いと思います。
コアロハはナイロンより密度の高い(比重の大きい)というフロロカーボンの特徴を生かして、テナーやロングネックコンサートのような弦長の長い楽器にはフロロカーボンのローG弦を張ってユーザーの要望に応えています。
・・・・とひとわたり弦の現状をおさらいいたしましたが、最近のニュースとしてコオラウから新しい弦を張ったウクレレが登場しました。ご存じのようにコオラウはずうっと「ゴールド弦」と呼ぶ黄色に着色したナイロン弦を自社のウクレレに張り、弦セットも販売していたのですが、その弦をディスコン(販売終了)させました。
そして登場した弦は僅かに色がついている透明なもので、おそらくどちらかの弦メーカーとタイアップして開発したものと推定しています。
そこでたくさんの弦メーカーをしらべたところ、コオラウが採用した弦と同じものであるという裏づけは無いのですが、すでにダダリオから「T2」と称するクラシックギター弦が発売されていることが判明しました。
「T2」という弦はもともとムク弦を使うクラシックギターの高音側(treble)の3本の弦として、従来のナイロンのムク弦に代わるチタン(titanium)コーティングした弦、すなわちtitanium trebles=T2を開発したもので、チタンの持つ剛性とナイロンのもつ振動特性を併せ持つ弦を目指しているようでした。
さっそく「ものは試し」と何組か購入し、弦の研究の第一人者shinfujiさんに検討をおねがいするとともに、自分でもいろいろなウクレレに張って見ました。
まずはナイルガット開発時に一番改善効果の有ったFlukeの弟分Fleaに張ってみたところ、高音が伸びただけでなく全体の音量が明らかに増加しました。
続いてハワイ産ウクレレとしては一番安いKeli'iのシルバー・スタンダード(トップがコア、サイドとバックがマホガニーのいずれも単板)に張りました。Flea同様、オリジナル弦がたぶんGHSと思われますが、こちらも格段の改善が見られました。
・・・と文学的表現だけではご理解いただけないでしょうから、shinfujiさんのサイトの研究報告のデータを是非ご覧ください。張ったウクレレによって異なりますが、いずれも明らかな差が認められることがお分かりいただけるかと思います。
これに気を良くして以前ナイルガット開発時に特性のパッケージを作成したように
単品売りをしているT2の中からウクレレに適した組み合わせを考えた「ハイGセット」と「ローGセット」のパッケージを作成しました。
T2として単品販売されているのは
「エクストラハード」の
1弦 T4401 0.029"
2弦 T4402 0.033"
3弦 T4403 0.042"
「ノーマル」の
1弦 T4501 0.028"
2弦 T4502 0.033"
3弦 T4503 0.040"
{ハード」の
1弦 T4601 0.028"
2弦 T4602 0.032"
3弦 T4603 0.041"
の9種類なので、それらの中から1弦としてT4601 (0.028")、2弦としてT4602 (0.032")、3弦としてT4603 (0.041")、4弦としてT4401 (0.029")それぞれ選び、セットとしました。ローG弦には同じくダダリオの巻弦からえらんだものを使いました。
一方、ハナバッハのTITANYL弦のゲージを実測すると
1弦が0.0285"、2弦が0.033"、3弦が0.0405"と、T2の「ノーマル」や「ハード」とほぼ同等の寸法になっていました。
ところで上記の「"」は「インチ」のことで、なぜか現在でも弦のゲージとしてはこの「インチ」表示がされています。米国も国際的には「メートル法」を採用しているのですが、弦に限らず日常使う品々の重量や寸法に「ヤードポンド法表記」が当たり前になっていて、申し訳程度に「メートル法表記」も併記しています。
以前弦のゲージを測定する目的で購入した電子マイクロメーターの「ミツトヨ・クイック・ミニ」をずうっと愛用していたのですが、当然ながらミリ表示となっていて、弦のようなインチ表示が必要な場合にはいちいち電卓で換算していました。
「米国」に移住してみると、さすがヤードポンド法の国ですね、ミツトヨからも「インチ」対応の「クイック・ミニ」が出ていました。
そしてこの「クイック・ミニ」は「インチ表示」と「ミリ表示」が切り替えられるので大変便利です。これは是非日本でも販売して欲しい測定器ですね。
・・・・と、いつもながら長い文章となりましたが、お忙しい中を私のためにT2弦の効果を測定してくださったshinfujiさんに心からお礼申し上げます。
そしてT2弦とTYTANYL弦の外見比較写真を掲載いたします。上から1弦、2弦、3弦の比較で、それぞれの上がTYTANYLです。この程度の写真では両者の差は全く分かりません(汗)。
ウクレレに張った時の動作にも有意差がないのでこの両者は同じ使い方が可能と判断いたしました。
ただ、ダダリオと違いハナバッハのほうはドイツ製のため「輸入品」となり高価になってしまうため、当面はダダリオのT2を中心に使っていくつもりです。
なお、これを機会に他のタイプの「弦セット」を考えているのですが、思いのほか難航しています(汗)
中々、これと言った弦が決められませんが、特にハイGチューニングではより強く感じます。
不思議ですが、ローGだと、何となく納得してしまう音でも、ハイGだと物足りなく感じたりするのは何故でしょう。
今、ハイGにはナイルガット、ダダリオのプロアルテを使っていますが、、。
この弦、興味有ります。
何となくキャリンと言う様な音なのかな。
まだ、売っていないんですね。
shinfujiさんの所も見てきました。
職場故、音はまだ聴いていませんが、ウクレレとの相性があるようですね。
ナイロンだとちょっとモヤットした音になるマウイ・マンゴーに張ってみようかな。
テンションがかなり高いらしいのできまさん好みかも!
きまさん、クラシックギターのショップにありましたよ。
私が確認したのは「アウラ」です。
http://www.auranet.jp/
http://www.guitarshop.jp/list.php?name=string&class=string&division=%E3%83%97%E3%83%AD%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%86
ただエクストラハードは置いていないようですが。
4弦をどうするかですね。
ノーマルテンションで1~3弦+ハードT4601 0.028"にしてみます?
「キャリン」というより違和感のない明るく大きな音がします。
スタンダードに張る場合は1~3弦セットを買えば1弦を二等分して4弦にも使えるので割安です。
日本ダダリオのサイト
http://www.tmc-liveline.co.jp/daddario/daddarioclassic.html#06
には全製品が載っているので、どこか他の店にエクストラハードも置いてあるかもしれませんね。
ない場合はもりぞーさんの組み合わせで問題ないと思います。
早速使ってみたいけどウクレレ用セットはまだ国内にないのですね・・・。
http://www.fana.co.jp/tokyo-annnai.html
http://www.fana.co.jp/tokushu-gen.html
ドイツのクラシックギター弦メーカーのハナバッハでもチタンコーティング弦を出しているようですが、
http://www.guitarshop.jp/list.php?name=string&class=string&division=%E3%83%8F%E3%83%8A%E3%83%90%E3%83%83%E3%83%8F%E3%80%80%E3%83%81%E3%82%BF%E3%83%8B%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%80%80%E3%83%9F%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%A2%E3%83%A0%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%83%86%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3
お値段が倍します。
ちなみにダダリオのテナー・ウクレレ用J71プロアルテは今回の組み合わせとほぼ同じ0.00285", 0.00327", 0.0041", 0.0029"になっているのでテンションはそれと同等ですね。
ちなみに数多くのウクレレに採用されているGHSのスタンダード用ハイテンションH-10は0.0025", 0.0032", 0.0037", 0.0028"ですので、機種によってはナットやブリッジに弦が納まらないかもしれませんね。
じつはハナバッハの純金コーティング弦、銀コーティング弦、そしてカーボン弦(フロロカーボンではなくB-787に使われているカーボンファイバーではないかと思います)等にも興味があります。特にカーボン弦はFANAでも売っていますので、よろしかったらちょうせんしてみてくださいね。
色を表しているだけかと思っていました。
弦が死んじゃっても勿体なくて捨てられませんね。(貧乏性だぁ~)
カーボン弦はどんな音なんでしょうね?
FANAは遠いですが、アウラにもあるようなので
カーボン弦は1~3弦セットでで実販1160円と とってもイイお値段ですから、
機会と
安くはないですけど。
ゲージはどうなんでしょう?(HANNABACHのHPにも書いていませんでした)
身の回りのカーボン製品(釣り竿等)だと繊維がとても細いからモノフィラじゃなく縒り糸なのかな?
音も硬そうなイメージです。
やっぱり試してみないと!(汗) いつか