函館 麗舟
ティーカップ一人は苦く病んでいる
少子高齢線香花火が燃え残り
曲水の宴に私の夢と愛
函館 豊子
人間が乾いて言葉ひびかない
ときめきの捻子を時折り巻き忘れ
カルチャーを渡り歩いて夢多彩
松山 澄江
羊腸の峠に残る父母の
囲繞する碑文は念と深く彫る
紙ふうせんまあるくたたむ風の遺書
北見 晩穂
残照を措き去りにして野の仏
故里の残響を抱く日の流れ
瞑想を続ける影が従いて来る
北見 敬子
陽に踊る視野一面の彩に酔う
故里の画布に花緒の下駄履いて
緑陰で流している明日
札幌 久子
初冠雪 熱いお茶を二つ入れ
画布いっぱい好きなひまわり描いて 秋
耐えた日の日記を閉じた菊の花
札幌 守
どろどろの水 発光するニンゲン
心奥はどこに 三体の石仏
波紋ひろがる 柳の根の異形
函館 羊孤
噴水に夢をうかべるアベマリア
地下街を抜け出て抱こう天の川
花火からアンモナイトも貰う恋
札幌 詔子
分解掃除晴れたり曇ったり
青空の覗くペンです水やります
どちらがあとに残る パズル解けない
旭川 麗水
とりどりの紐のたわむれ草紅葉
中天の月吊り上げる野外劇場
次ページに結論を置く砂の塔
追分 たかし
盆栽や花に蕾に枝はしる
ヒト科との一戦 月のひとり言
ごはん粒に 宿るほとけをつかむまで
函館 義治
束の間の人生ピエロの顔で行く
エリートの母がポツンと駅で待ち
携帯の誘い青い実転げ落ち