2004・10月 現代川柳『泥』91名作品集
函館 苦朗 標津 カツ
人愛す涙の数の放浪記 定検の重い空気を吸っている
正論の槍はいつでも研いでおく 閉め忘れたか蛇口ぽとぽと生きている
極楽へまだ旅立てぬ白い地図 嘘を見抜かれ飴はほめたりちぎったり
旭川 笑葉 札幌 百合子
生存証明のないかえらない木霊 自立を叫ぶすっくと立っているキリン
濁りから覚めぬ湖底のロスタイム 動物園の一頭ずつの悲しい眼
どこまでも未練ゆきつく墓守に 笑うこと泣くこと人間で良かったな
余市 香京 旭川 茂雄
ハルウララあなたを応援しています 逃げ水を抱いて夏陽のゆうらゆら
もう一度聞きたいあの日の花言葉 舞台暗転切られた首が飯を喰う
あてのない手紙こころの放浪記 しあわせは腹から笑える友と酔い
小樽 竹生 東京 渓舟
天へ向くなお天へ向く葱坊主 古傷を風に晒して強くなる
他人事のように広がるオゾン穴 一病と上手に生きている手足
難民へ生きよ生きよと星の降る うらおもてあるてのひらで握手する
江別 靖政 旭川 啓子
泥にまみれて光るもの 三つ この街の未来に吊すちひろの絵
砂金なのか星だったのか 明るい闇 散るときは花の色抱く骨であれ
待ちきれぬ夜明け合鍵握りしめ 北国の女に雪の血がかよう
北見 花王子 堺 作二郎
泥捨てる引き込み線だなあと思う 一筆書きのサーカス点る 青ピカソ
遇かなる喧嘩愚かに人を刺す スペインのひげ エロチカは沈下せり
天使じゃない煩悩の固形です 祭り月砂糖壺 脳さかさまの闘牛士
苫小牧 せつ子 姫路 芙美代
燃え尽きるまでは梳いていく修羅の髪 縄電車みんな攫ってみんなこぼして
首吊りの縄と男の棒グラフ 街は乾いて水をほしがる泥仏
雷鳴は止んだ目覚めたのは孤独 ていねいに葡萄をたべている 戦
苫小牧 トシ子 静岡 重尾
また一枚プライドはがされてレタス でっかいやつも小さいやつも裏帳簿
胡散くさい私が浮遊 一句 底知れぬ奈落が続く壁の穴
金平糖どのとんがりにも 会話 眉間を小突く運動体は貪欲だ
さいたま 尾幸 千葉 忠兵衛
工夫した構図に優しいバラ一輪 生活が灯る団地の所帯数
煩悩の抜け殻捨てる場所がない 目刺し焼く北半球というところ
休日が欲しがっている肝機能 こどもらに地球をひとつ残さねば
京都 美也子 新潟 比呂夢
鳥抱いた月日ぼんやりある向こう 花歳時記やロマンチックに老いるべし
きずぐすり眠り薬にも甍 遅老遅死まで敵を知る検診か
歯痒さの育たぬように笛太鼓 とき色で舞う朱鷺ふたたび島の愛
苫小牧 とし江 市川 素床
鎮魂の組曲届け星空へ あとは寝るだけ毛だらけの夫婦
歯車が錆びて歪な女傘 おーいお茶 いやばあさんは死んだのだ
青いバラ手中に落ちる夏の夢 手を振りつづける平凡が消えないように
宮城 昌子 江別 一州
また一枚プライドはがされてレタス ペン走る 憤怒の澱を吐くように
胡散くさい私が浮遊 一句 補助線を足すと崩れている作図
金平糖とのとんがりにも 会話 修羅抜けて希望の明日の海へ発つ
函館 苦朗 標津 カツ
人愛す涙の数の放浪記 定検の重い空気を吸っている
正論の槍はいつでも研いでおく 閉め忘れたか蛇口ぽとぽと生きている
極楽へまだ旅立てぬ白い地図 嘘を見抜かれ飴はほめたりちぎったり
旭川 笑葉 札幌 百合子
生存証明のないかえらない木霊 自立を叫ぶすっくと立っているキリン
濁りから覚めぬ湖底のロスタイム 動物園の一頭ずつの悲しい眼
どこまでも未練ゆきつく墓守に 笑うこと泣くこと人間で良かったな
余市 香京 旭川 茂雄
ハルウララあなたを応援しています 逃げ水を抱いて夏陽のゆうらゆら
もう一度聞きたいあの日の花言葉 舞台暗転切られた首が飯を喰う
あてのない手紙こころの放浪記 しあわせは腹から笑える友と酔い
小樽 竹生 東京 渓舟
天へ向くなお天へ向く葱坊主 古傷を風に晒して強くなる
他人事のように広がるオゾン穴 一病と上手に生きている手足
難民へ生きよ生きよと星の降る うらおもてあるてのひらで握手する
江別 靖政 旭川 啓子
泥にまみれて光るもの 三つ この街の未来に吊すちひろの絵
砂金なのか星だったのか 明るい闇 散るときは花の色抱く骨であれ
待ちきれぬ夜明け合鍵握りしめ 北国の女に雪の血がかよう
北見 花王子 堺 作二郎
泥捨てる引き込み線だなあと思う 一筆書きのサーカス点る 青ピカソ
遇かなる喧嘩愚かに人を刺す スペインのひげ エロチカは沈下せり
天使じゃない煩悩の固形です 祭り月砂糖壺 脳さかさまの闘牛士
苫小牧 せつ子 姫路 芙美代
燃え尽きるまでは梳いていく修羅の髪 縄電車みんな攫ってみんなこぼして
首吊りの縄と男の棒グラフ 街は乾いて水をほしがる泥仏
雷鳴は止んだ目覚めたのは孤独 ていねいに葡萄をたべている 戦
苫小牧 トシ子 静岡 重尾
また一枚プライドはがされてレタス でっかいやつも小さいやつも裏帳簿
胡散くさい私が浮遊 一句 底知れぬ奈落が続く壁の穴
金平糖どのとんがりにも 会話 眉間を小突く運動体は貪欲だ
さいたま 尾幸 千葉 忠兵衛
工夫した構図に優しいバラ一輪 生活が灯る団地の所帯数
煩悩の抜け殻捨てる場所がない 目刺し焼く北半球というところ
休日が欲しがっている肝機能 こどもらに地球をひとつ残さねば
京都 美也子 新潟 比呂夢
鳥抱いた月日ぼんやりある向こう 花歳時記やロマンチックに老いるべし
きずぐすり眠り薬にも甍 遅老遅死まで敵を知る検診か
歯痒さの育たぬように笛太鼓 とき色で舞う朱鷺ふたたび島の愛
苫小牧 とし江 市川 素床
鎮魂の組曲届け星空へ あとは寝るだけ毛だらけの夫婦
歯車が錆びて歪な女傘 おーいお茶 いやばあさんは死んだのだ
青いバラ手中に落ちる夏の夢 手を振りつづける平凡が消えないように
宮城 昌子 江別 一州
また一枚プライドはがされてレタス ペン走る 憤怒の澱を吐くように
胡散くさい私が浮遊 一句 補助線を足すと崩れている作図
金平糖とのとんがりにも 会話 修羅抜けて希望の明日の海へ発つ