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凍った地球-スノーボールアースと生命進化の物語(田近英一)

2009年04月03日 01時00分00秒 | 
<金曜は本の紹介>

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 この本は、いまから約7億~6億年前や約22億年前の大氷河時代などにおいて、地球の表面全体が凍結していたということに関して、分かりやすく、また詳しく書かれた本です。

 実は長い間、多くの研究者たちは、地球環境は地球史を通じて現在と同様の温暖湿潤な状態が維持されていて、全球凍結したことは一度もなかったと信じていました。

 というのは、地球が全球凍結したとする地質学的証拠は存在せず、もし全球凍結したら、地球は現在のような温暖湿潤な環境に戻ることはできないし、ほとんどすべての生物が絶滅し、私たちはいまここに存在していないと考えられたからです。

 しかしながら、この本では様々な角度から地球が全球凍結したという証拠や、現在のような温暖湿潤な環境に戻ることはできるということ、逆に北極や南極も暖かくて氷がまったくない時期があったこと、地球が全球凍結したとしても生物が生き残る場所があったこと等について書かれています。

 また、大氷河時代と生物進化に与えた影響、地球外生命についても類推されていて、なかなか読み応えのある良書です!

とてもオススメです!!


以下はこの本のポイントなどです!

・南極大陸やグリーンランドには今も大陸氷床が存在する。したがって、定義によって、現在も氷河時代に分類される。つまり私たちは、地球史においては、寒冷な時代に生きているのだ。

・いまから約2万年前は、現在よりもさらに寒冷な時期であった。北欧にはフェノスカンディア氷床、北米大陸にはローレンタイド氷床と呼ばれる巨大な大陸氷床が存在し、たとえば北米大陸は、現在のニューヨーク付近まで氷に覆われていたことが分かっている。

・実は、氷河時代においては「氷期」と「間氷期」とが周期的に繰り返している。氷期というのは、氷河時代の中でもより寒冷な時期で、間氷期というのは、氷河時代の中でも比較的温暖な時期のことである。現在は、このうちの間氷期にあたる。

・氷河時代が定義できるということは、地球史においては、大陸上に氷床がまったく存在しないような、非常に温暖な時代もあることを意味する。そのような時代こそが、真の温暖期である。いまから約1億年前や約5000万年前は、顕生代における代表的な温暖期である。これらの時期には、現在の地球ならば寒冷なはずの高緯度地域すらも非常に温暖であった、という証拠がいろいろ見つかっている。海水温の指標である海水の酸素同位体比の値、海洋域におけるサンゴ礁の分布や陸域における動植物の分布、海底堆積物の種類など、あらゆる地球環境の指標が、当時、非常に温暖であったことを示している。そうした指標を総合すると、白亜紀中頃は、地球全体の平均気温が現在より6~14度も高かったことが示唆される。赤道と極の温度差は、現在は41度であるのに対して、17~26度程度しかなかったようである。つまり、南北間の温度コントラストが小さかったらしい。永久極冠が存在しないどころか季節的な氷も形成されていなかったようである。つまり、北極や南極に氷がまったくなかったと考えられている。実際、アラスカなどの高緯度地域にも森林が広がっており、恐竜を含む爬虫類が生息していたことが、化石記録によって知られている。

・原生代後期には、2つの大氷河時代が知られている。約7億3000万~7億年前のスターチアン氷河時代と約6億6500万~6億3500万年前のマリノアン氷河時代である。

・太陽進化の標準モデルによれば、いまから約46億年前の、誕生したばかりの太陽の明るさは、現在の70%程度であると推定される。太陽は時間とともに徐々に明るさを増しており、現在でも1億年で1%程度の割合で明るくなっているのだ。

・スノーボールアース仮説によって、原生代後期の氷河堆積物に特徴的ないくつもの事実を説明できる。それらをまとめてみると、
 ①赤道域に大陸氷床が存在していたという古地磁気学的証拠
 ②氷河堆積物にともなって約10億年ぶりに縞状鉄鉱床が形成されていること
 ③氷河堆積物の直上に熱帯性のキャップカーボネートが堆積していること
 ④光合成活動が停止したことを示唆する炭素同位体の記録
 これらすべての謎を統一的に説明できるというところが、この仮説の非常に優れた点である。

・南極やグリーンランドの氷床掘削によって得られたアイスコア(筒状の氷の柱)には気泡が含まれている。そのガス組成を分析することで、過去の大気中の二酸化炭素濃度の変動が推定されている。その結果、少なくとも過去約80万年間にわたる気候の変動は、大気中の二酸化炭素濃度の変動と見事に同期していたことが明らかになった。すなわち、大気中の二酸化炭素濃度は、氷期には180ppm程度にまで低下し、間氷期には280ppm程度にまで上昇するという変動を10万年周期で繰り返すのである。氷期と間氷期の変動は、二酸化炭素濃度の変動と密接に関係しているのだ。

・過去約5億4200万年間の気候変動も、大気中の二酸化炭素濃度の変動と同期していることが分かってきた。このような時間スケールでは、化学風化を受けた昔の土壌や植物プランクトンの光合成による炭素同位体比の変化の大きさなどから、古二酸化炭素濃度が推定されている。それらの推定結果は、炭素循環モデルを用いた理論的な推定結果とも非常に調和的である。たとえば、温暖とされる古生代前半(約5億年前)は二酸化炭素濃度が現在の約20倍も高かったと推定されてる。しかし、古生代後半(約3億年前)には二酸化炭素濃度が現在とほぼ同じくらいにまで低くなり、大氷河時代(ゴンドワナ氷河時代)が訪れた。それが、中生代の白亜紀(約1億年前)になると、二酸化炭素濃度が現在の数倍~10倍くらいにまで高くなり、有名な温暖期となった。恐竜が繁栄していたのもこの時代である。そして、新生代半ばになると、二酸化炭素濃度が低下して、ふたたび氷河時代になった。もちろん、気候変動の原因には二酸化炭素のほかにもさまざまな要因が存在していて、それらが複雑にからみあっているということには注意が必要である。

・もともと地球の大気中には酸素がほとんど含まれていなかった。一方で、約22億年前、大気の温室効果はメタンが担っていたのではないか、という仮説が提唱されている。メタンが数百ppmもあれば、暗い太陽のもとでもメタンの温室効果だけで地球を温暖に保つことができるのだ。ところが、あるときシアノバクテリアが出現した。シアノバクテリアは、酸素を発生させるタイプの光合成をはじめて行った生物だ。シアノバクテリアの活動によって、大気中に酸素が供給されるようになると、それまで高濃度だったメタンはすみやかに酸化されてしまい、大気の温室効果は急速に失われるであろう。この結果、地球は全球凍結に陥ったのではないだろうか。カーシュビンク博士は、それがまさに南アフリカ共和国にみられる約22億年前の氷河時代の原因だったのではないか、と考えたわけである。

・今から4億年ほど前に陸上植物が出現し、陸上に森林が広がったことが、いまから約3億年前の大氷河時代(ゴンドワナ氷河時代)を引き起こしたらしい、というものがある。これは、陸上植物によって大陸の表面には土壌が安定に保たれるようになり、その結果、大陸が著しく「風化」されやすくなったことが原因のひとつだと考えられている。また、陸上植物に特徴的なリグニンやフミンといった有機物はバクテリアによって分解されにくいため、大量の有機物が分解されずに湿地帯において埋没することによって、大量の二酸化炭素が固定されたことも、寒冷化の原因となった。現在使われている石炭の多くは、このとき埋没した植物の化石である。この時代が「石炭紀」と称される所以である。

・大気中の酸素濃度の増加は、さらに原生代前期に起こった生物の大進化を促したのではないかと考えられる。真核生物の出現である。細胞内に膜で覆われた細胞核や小胞体、ミトコンドリア、葉緑体などさまざまな細胞小器官を持つような生物のことで、それまで地球を支配していた原核生物(真正細菌及び古細菌)とは一線を画す。私たち人類を含む動物、植物、菌類、原生生物などはみな真核生物である。

・真核生物の誕生は、原生代前期の20億年前頃ではないかと考えられる。すなわち、真核生物は、まさに原生代前期のスノーボールアース・イベントの少し後に出現した可能性が強く示唆されるのである。大気中の酸素濃度の増加もまさに同じ時期だと考えられるので、そのことととも調和的である。

・全球凍結イベントという破局的な地球環境変動が生じれば、生物進化に与える影響は計り知れない。全球凍結による生物多様性の大幅な低下と大気中の酸素濃度の増加が重なり、真核生物や多細胞動物の出現という、生物進化史上の大進化をもたらしたのだとしたら、全球凍結は生物の進化にとって決定的な役割を果たすものだったといえるであろう。

・現在までのところ、発見されている太陽系外惑星のほとんどは、木星や海王星のようなガスや氷などからなる巨大惑星ばかりだ。大変興味深いことに、太陽系外惑星系には、太陽系でみられる惑星の軌道とは大きく異なるものが多いことが分かってきた。たとえば、木星のような巨大惑星が、太陽系でいえば一番内側の水星よりもさらに内側の軌道を回っていたり、円形の軌道から大きくはずれた超楕円軌道を回っていたりするなどだ。宇宙には、太陽系とは似ても似つかない惑星系が多いらしい。もちろん、太陽系に良く似た惑星系も見つかっている。惑星系はきわめて多様であることが分かってきたのである。

・太陽系には、実は、スノーボールプラネットとよく似た天体が存在している。木星の衛星のエウロパとカリストである。これらの天体は氷衛生と呼ばれているが、木星による巨大な潮汐力のために天体内部の氷が融け、「内部海」が存在すると考えられている。つまり、氷の地殻の下に液体の水が存在しているのである。液体の水があるので、当然、生命の存在可能性も指摘されており、探査計画が議論されるほどだ。その成因は異なるが、構造的にはスノーボールプラネットと良く似ているといえるだろう。

・地球は初期の数億年間にわたってスノーボールアースだった可能性がある!もしそれが本当だとすれば、若い星の周囲を観測すれば、スノーボールプラネットが発見される確率は高いということになる。

・地球はいま、新生代後期氷河時代のまっただなかにある。氷期と間氷期が約10万年の周期で繰り返しており、ほんの1万年前までは寒冷な氷期だった。その後、地球は温暖な間氷期となり、人類は文明を繁栄させてきた。しかし、あと数千年から1万年くらいのうちに、またふたたび氷期が訪れることはほぼ確実であろう。

・現代の地球温暖化は、人類が化石燃料の消費や森林伐採などによって、大気中に大量の二酸化炭素を猛烈な勢いで放出することによって生じている。問題はその速度にある。人類活動による二酸化炭素の放出速度は、火山活動による二酸化炭素の放出速度の約300倍にも達する。地球システムは、そのような大きな速度での二酸化炭素の放出にすぐには対応できず、大気中の二酸化炭素は急激に増加する結果となる。このまま二酸化炭素の放出が続くといったいどうなってしまうのだろうか。

・たとえば、グリーンランド氷床が全部融けると、海面上昇は約6メートルにもなる。さらに南極氷床が全部融けると、海面上昇は約60メートルにも達する。

<目次>
まえがき
プロローグ
第1章 寒暖を繰り返す地球
 1 南アフリカの大地に証拠が
 2 氷河時代にいる私たち
 3 赤道まで凍っていた
第2章 地球の気候はこう決まる
 1 環境を決める3つの要素
 2 一気に凍り、一気に融ける
 3 太陽は少しずつ明るくなっている
 4 地球環境はなぜ安定しているのか
 5 プレートテクトニクスの役割
第3章 仮説
 1 気づかれなかった論文
 2 4つの謎が1つの仮説で解けた
 3 零下50度まで
第4章 論争
 1 激しいやりとり
 2 地球は横倒しになっていた?
 3 生物はどうやって生き延びたのか
 4 ソフトかハードか
 5 答えは南極大陸に
 6 なぜ全球凍結したのか
第5章 22億年前にも凍結した
 1 地球と生物の共進化
 2 なぜ酸素濃度は急激に上がったのか
 3 カナダ・ヒューロン湖にある地層
第6章 地球環境と生物
 1 絶滅と進化の繰り返し
 2 真核生物の誕生
 3 生物進化に与えた影響
第7章 地球以外に生命はいるのか?
 1 地球のような惑星
 2 金星や火星にも海があった
 3 存在するスノーボールプラネット
エピローグ

面白かった本まとめ(2008年)


<今日の独り言>
ウソ?ホント?クイズの本を買ったのですが、5歳の息子はとても気に入って、毎日読んでいます。やはり子供には楽しい本でなければならないと痛感しました。漢字の勉強にもなって良いです^_^)

コメント
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