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人体 失敗の進化史(遠藤秀紀)

2006年12月15日 01時00分00秒 | 
<金曜は本の紹介>

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 この本は、地球上の生物の設計変更の繰り返しや、ヒトへの進化の中での設計変更とその負の側面等について書かれています。

 具体的には、二本足で歩くための殿筋群、内臓重量や腹圧を受けとめる下腹部、狭いながらもバランスをとる足底、精巧な母指対向性、巨大な中枢神経、高度な思考を分担する大脳、少ない赤ん坊を確実に残す繁殖戦略などは、ヒトをヒトたらしめる見事なまでの意匠です。

 一方で、現代の私たちは設計変更の負の側面に日々悩まされていて、90度回転し、垂直になった腹腔がもたらすヘルニア、二足歩行から起因する腰痛や股関節異常、垂直な血流が引き起こす貧血に冷え性、歩行から開放された前肢が巻き起こす肩凝りなどについても書かれています。

 生物の進化というものがすべて正ではなく、負の面も持っていることや、本来の進化が別の進化を生み出していることなどがよく分かりました。

 とても面白い本でお勧めです!また、この本では網羅できなかった進化に関する現代病は数知れないようです。個人的には続編を期待しております!


 以下は、特に興味深かったポイントです。

・以前の考え方なら、ほ乳類は、は虫類の一群から生じたたとされてきたが、今では、ほ乳類は、は虫類を介さずに、根源的には両生類から直接生じたとするほうが妥当だとされるようになっている。

・生きていくのに必要なカルシウムとリン酸の需給関係の難しさを一挙に解消する方法として、私たちの祖先(魚類)は身体のどこかにリン酸カルシウムを貯蔵する場所を備えたのかもしれない。供給量が多いときに、体内にリン酸カルシウムを塊にして蓄積し、外界から得られなくなったときには、備蓄を崩して自前で供給すればいいことになる。つまり骨(リン酸カルシウム)は、最初から身体を支えたり、運動の起点となったり、身体を保護するためのものではなかったのだ。

・ウキブクロは魚の比重調節装置だ。ウキブクロに空気を入れれば魚は浮きやすくなり、空気を抜けば沈みやすいことになる。空気の出し入れはウキブクロの周囲に分布する血管が担っている。血流を使って出し入れするということ自体が、すでにその後の陸上動物の肺とほぼ同じ概念を満たしている。

・二足歩行をし始めたが最後、重力は身体の尾側へ向かって内臓を引き下ろすように働く。こうなると、4本足のときのままでは、どんどん臓器が落ちていってしまう。加えてヒトは「ほ乳類」だから、妊娠でもしようものなら、普段よりずっと重い子宮が骨盤を目指して落ち込んでいく。そこで講じられた決定打は骨盤を杯のように広げて内臓を下から支えることだ。この仕組みがありさえすれば、内蔵は落下防止のための頑丈な床面を得ることになる。

・非常に大雑把にいえば17歳で初潮を迎え、以後絶え間なく妊娠と泌乳を繰り返して30代で死ぬというのが、ホモ・サピエンスの初期の設計図なのではなかろうか。ホモ・サピエンスの女性の生涯をよく見れば、むしろ積極的に1回あたりの妊娠や泌乳の長さを十分に取り、子供の絶対数を減らしながらも、その貴重な子宝にしっかりと投資する道を選んだという解釈が成り立ってくる。いうなれば、数は少なくてもよい子孫をしっかりと残していくという徹底した作戦を、ヒトの卵巣と子宮がみせてくれているのである。

・脱腸もヒトにきわだって多い疾患だと思われる。これは腿の付け根から、腸管などの内臓が腹腔の外へ飛び出してしまうトラブルだ。重い場合は、男性では陰嚢にまで腸管が突出してしまう。二足歩行に移行した私たちは、陰嚢の位置に向けて、内臓の重量がかかりやすくなっている。しかも、腸管の重さを引き受けている床面に、小さいとはいえ、強度の低い筋肉壁がある。内臓の重さや圧力を受け、そこにはしばしば陰嚢に通じる孔が開いてしまうのだ。

<目次>
まえがき
序章 主役はあなた自身
 私の仕事/いま、何をすべきか/闘いの始まり/出会いのシーン/最高の場
第一章 身体の設計図
 1-1 肩の骨の履歴
 1-2 ハートの歴史
第二章 設計変更の繰り返し
 2-1 5億年の戸惑い
 2-2 骨を生み出す
 2-3 音を聴き、ものを噛む
 2-4 四肢を手に入れる
 2-5 臍の始まり
 2-6 空気を吸うために
 2-7 天空を掌中に
第三章 前代未聞の改造品
 3-1 二本足の動物
 3-2 二本歩行を実現する
 3-3 器用な手
 3-4 巨大な脳
 3-5 女性の誕生
第四章 行き詰った失敗作
 4-1 垂直な身体の誤算
 4-2 現代人の苦悩
終章 知の宝庫
 遺体こそが語る/動物園とともに/動物園とともに/動物園は科学の主役/遺体が繋ぐ動物園と私/熱意あふれる動物園/文化を壊す拝金主義/遺体科学事始め/市民と文化の未来

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<今日の独り言>
 最近深刻な本ばかり読んでいたので、すっかり心がブルーになっていましたが、「窓際OL会社はいつもてんやわんや」を読んでいると、面白くてすっかり元気になりました!今度紹介します!

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