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《5月16日『小宮山国対委員長、ゴミ屋敷禁止法案野党4党共同提出』》
2014年5月11日放送の『たかじんのそこまで言って委員会』「女性の女性による女性のための大討論大会!女性が考える女性問題どこがダメなのか徹底討論SP」での従軍慰安婦をテーマとした最初のコーナーは公平性・中立性を著しく欠いた番組となっていた。
普段レギュラーがパネラーとして座っているヒナ檀に8人の女性パネラーが座り、対して普段パネラーを務めている男性陣のうち津川雅彦、桂ざこば、加藤清隆、宮崎哲弥、井上和彦、竹田恒泰の6人が女性パネラーに対陣するように前の長椅子に一列に座って、女性パネラーに対して質問したり、賛意や批判を示す形式となっていた。
そして司会者はいつもの通りの山本浩之。
先ず女性パネラーの面々。作家で反貧困ネットワーク代表の雨宮処凛(かりん)、ジャーナリストの大高未貴、田嶋陽子(元参議院議員)、健康社会学者だとかいう河合薫、東京都杉並区議会議員松浦芳子、日本維新の会衆議院議員三木圭恵(けえ)、女優・作家で竹田恒泰の慶大での弟子だとかいう吉木誉絵(よしき のりえ)、市民団体「なでしこアクション」代表の山本優美子となっている。
健康社会学者の河合薫の主張が今一つ明瞭でなかったから外すとして、従軍慰安婦強制連行肯定派は田嶋陽子と雨宮処凛の二人のみで、他の5人は否定派であり、司会以下、出演男性陣がどれも否定派なのだから、番組の構成自体が公平性・中立性といった点で最初から偏った性格のものとなっていた。
どう否定派なのかと言うと、山本優美子が代表を務める市民団体「なでしこアクション」は“「慰安婦=性奴隷」のウソに終止符を”をスローガンにインターネット上で集まった有志たちで構成されているとかで、山本優美子は性奴隷とか強制連行はなかったと発言している。
ジャーナリストの大高未貴は従軍慰安婦韓国捏造説・強制連行虚偽説を主張。
東京都杉並区議会議員の松浦芳子は慰安婦の碑の設置反対の「慰安婦像設置に抗議する全国地方議員の会」の代表を務めている慰安婦否定派である。
日本維新の会衆議院議員の三木圭恵は中山成彬を中心とした 「慰安婦問題に関する河野談話見直しを求める国民運動」と称した署名活動を行っているメンバーであるし、竹田恒泰の慶大非常勤講師時代の弟子の27歳とかの吉木誉絵はコチコチの竹田二世。「従軍慰安婦はただの都市伝説」とパネルに書き込んだ否定強硬派であり、性別に「大和女子」と名乗る程に国粋主義的である。
特に肯定派最強硬の田嶋陽子が従軍慰安婦の存在と強制性を主張すると、否定派5人が田嶋陽子に向かって口々に一方的に否定論をぶっつけ、喋れなくしてしまう。しかも女性パネラーを前にして傍聴人よろしく一列に並んで座った、普段はレギュラーとして出演している津川雅彦だ、桂ざこばだ、加藤清隆だ、宮崎哲弥だ、井上和彦だ、竹田恒泰だの従軍慰安婦否定派が揃って同じ穴のムジナの女性否定派に肩入れする口を挟み、田嶋陽子には反論、時には嘲笑の言葉を吐きかけるのだから、公平でも中立でもあるはずがない。
要するに、特に田嶋陽子の従軍慰安婦肯定論を打ち破って否定論をぶち上げることをテーマとした番組となっていた。
さらにゲストとして番組の公正性・中立性の欠如に輪をかけるように自由主義史観代表、新しい教科書をつくる会理事、拓殖大学客員教授、否定派の藤岡信勝を援軍としてゲストに招いていたのだから、番組ぐるみの従軍慰安婦否定の策謀と言えなくもない。
勿論、否定派が肯定派の言いたいことを十分に言わせて、言ったことに対して合理的な反論を試みるなら、言葉の闘わせに何ら問題はないが、相手の言いたいことを最後まで言わせない状況をつくり出して自分の言いたいことを押し付けようとする多勢に無勢の様相を呈していたのだから、一種の言論封殺以外の何ものでもない。
では、両者の遣り取りの中から、そういった様子を見てみる。
田嶋陽子「私はこの問題をずっとやって来ましたから。東チモールからインドネシアから、台湾から中国から。慰安婦の人たちに会ってきていますけども、日本にも慰安婦はいたんです。数万人。何でその人達が名乗り出な いかと言うと、『聖霊を汚すな』っていう物凄い圧力があって、そういう人たち発言できないんですよ。
一人だけ、1971年、本を書きました。城田すず子さんという人ですけども、初めてラジオで発言しました。日本にも亡くなった慰安婦の人たちを祀ってある小さな教会があります。
そして去年、東チモールで最後の慰安婦が亡くなった。13歳で騙されたんですね。その人が日本に来て証言しているんですが、その時に騙すに当たって協力したのは王様と、それから村長さんなんですね。
それは韓国でも、それは官憲に威されて、それで(否定派が反論しようとして一斉に口を開く)、ちょっと待って、もう少し――」
加藤清隆「デタラメなことをベラベラ喋るんじゃないよ」
「Wikipedia」に政治評論家で時事通信社特別解説委員とか書いてあるけれども、自身の地位に対するこの品のない発言は何を意味するのだろう。品がないばかりではない。相手の言論に対して言論を以って反論するのではなく、罵り言葉で相手の言論を封じようとした。まさしく不当な手段を用いた言論封殺以外の何ものでもない。
田嶋陽子(ちょっと驚いたふうにして、加藤に)「これ証言ですから」
数枚綴じた紙を差し出すようにする。ところが司会の山本浩之が否定派の大高未貴に質問を振ってしまい、間接的に田嶋陽子の発言を遮ってしまう。司会者である以上、中立な立場からどちらの言葉がデタラメか検証しなければならない役目を担いながら、発言を遮ってしまったのだから、これも一種の言論封殺に相当するはずだ。
司会者の山本浩之自身が従軍慰安婦否定を前提に番組の進行を進めていることが分かる。
だが、我が田嶋陽子は喧しい中、くじけずに、用意した証言を読み上げようとする。
田嶋陽子「ここに城田さんの言葉があるけど、いいですか」
軍事ジャーナリストの軽量男井上和彦が遮るように右手を上げて口を挟む。
井上和彦「そんな言葉はいいですよ」
言論封殺の挙に出る。
ここで否定派の援軍藤岡信勝がゲストとして登場。否定の根拠を並べ立てる。それらがデタラメなのは、「従軍慰安婦20万人説」否定の論拠を見れば分かる。
藤岡信勝「20万人と言うと、日本軍兵士が平均すると、毎日1.3回行かなければならない計算になるんですよ。ですから、あり得ない」
確かに人数には色々な説がある。だが、「毎日1.3回」平均して慰安所に通ったということは20万人の慰安婦が平均して毎日1.3人の 日本軍兵士を取ったことを意味するから、26万人の日本軍兵士が平均して通ったことになる。
ということは、日本の陸海合わせて26万人以下の兵員数なら、「毎日1.3回」平均して慰安所に通うことはできない計算になって、「あり得ない」という話になるが、《図録▽アジア各地における終戦時日本軍の兵数》(社会実情データ図録/2010 年8月9日収録)には終戦時に海外から日本に引き上げた日本軍の軍人・軍属は約330万人、別のサイトに軍人・軍属の外地戦場での戦没者は210万人とする記録が存在、この210万人が戦争の早い時期に一度に亡くなったと計算したとしても、学徒動員や赤紙臨時招集の形で補充していったから、戦争中常時約330万人以上の日本軍兵士が存在していたことになる。
その内 の26万人、約330万人で計算したとしても、7.8%以下 (400万人で計算すると、6.5%に下がる)の兵士が「毎日1.3回」平均して慰安所に通うことは決して「あり得ない」話ではなくなる。
慰安婦の人数に色々な説があるにしても、特に敗色濃くなれば、明日の命も知れない予想確率は高くなり、出撃命令を待つ身の兵士は生きている間はと時間を惜しんでせっせと通っただろうことを考えると、逆に20万人の慰安婦数では不足するようにすら思える。
但しそれが女性が自由意志で任意に行っている慰安行為ならいいが、そこに強制が混じっていたとしたら、当然のこと問題となる。
藤岡信勝の自身の計算を根拠とした「あり得ない」否定説はこの程度である。
少し間を置いてジャーナリストの大高未貴が発言したが、頭の程度が知れる内容となっている。
大高未貴「アメリカに訪問されていたとき、慰安婦問題がアジアン・ホロコーストとして喧伝されていたんですよ。慰安婦問題、南京虐殺問題含めて。
アジアのホロコーストというカテゴリーに括(くく)られて。『いいんですか』って(元駐日イスラエル大使に)聞いたら、このような回答を頂いたんですね」
画面に以下の文章のキャプション。
――元駐日イスラエル大使エリ・コーエン氏の証言
「ホロコーストは世界に比類のなきものであり、それを他の国が起こしたということはありえない。ホロコーストはあくまでもナチス・ドイ ツが起こしたものである。
日本はホローコーストなど起こしていない。
今、新しい冷戦構造の中で、多くの国がホロコーストをプロパガンダのツールとして利用している、ということに日本人は気付かなければならない。そして、日本人は『これ(韓国人の主張)は嘘だ。
誰もそんな嘘は信じない』などと言っている場合ではない。
すべての日本人が自分の持っている力を出し、ネットなどありとあらゆる武器を駆使して、世界に真実を発し、この情報戦を戦うべきだ。」
大高未貴氏のインタビュー(2014.4.24) ――
竹田恒泰「もしアジアン・ホロコーストと言うんだったら、それこそ広島・長崎の 原爆のことだと思いますね」
元駐日イスラエル大使エリ・コーエン氏の証言は、「ホロコーストは世界に比類のなきものであり」、「ホロコーストはあくまでもナチス・ドイツが起こしたものである」と言っているように、銃殺、人体実験、ガス室等の残虐な方法による600万人(一説には 250万人)のユダヤ人に対する大量殺害をそのまま厳密に意味化した歴史的事実がホロコースト(=大虐殺)であり、このホロコースト以外に厳密にホロコーストだと意味化できるは歴史的事実はドイツ以外の地の歴史のどこを探しても存在しないという文脈でのアジアン・ホロコーストの否定であって、従軍慰安婦や南京大虐殺という歴史的事実まで否定しているわけではない。
いわば従軍慰安婦や南京大虐殺は人数の規模から言っても、殺害方法の残虐性の点から言っても、あるいは民族浄化という目的から言っても、ホロコーストの名に値しないとしているに過ぎない。そしてこの観点から、従軍慰安婦や南京大虐殺をアジアン・ホロコーストとしている 情報に対して戦うべきだと勧めているに過ぎない。
この根拠として、「Wikipedia」から見つけた情報だが、1990年代に旧ユーゴスラビア地域で各民族間の内戦が勃発中、セルビア人によるアルバニア人に対する虐殺をマスコミが「ホロコースト」と名づけて糾弾すると、〈ナチスによるユダヤ人虐殺以外に使わせることをユダヤ人団体が認めようとせず不快感をあらわにした〉結果、セルビア人の対アルバニア人虐殺を、英語の場合は「ethnic cleansing」(=民族浄化)に変えた事実を挙げることができる。
皮肉な言い方をすると、ホロコーストという名称はナチス・ドイツの商標登録ということなのだろう。
要するに元駐日イスラエル大使エリ・コーエンにしても、「ホロコースト」という名称に拘ったということである。にも関わらず、大高未貴は大使の証言を従軍慰安婦存在否定説、あるいは強制連行否定説、そして南京虐殺否定説に取り替える我田引水に過ぎない頭の程度・理解度を示したに過ぎない。
竹田恒泰は「もしアジアン・ホロコーストと言うんだったら、それこそ広島・長崎の原爆のことだと思いますね」と言っているが、例えそうであったとしても、国民の命・兵士の命を考えずに国体(天皇制)に拘って、戦争終結を手際よく図ることができなかった日本政府と軍部の責任は問わないご都合主義を見せている。
頭の程度の低い連中だ。
井上和彦「私は色々と韓国人と色んな話を、問題をやった時にね、(韓国人が)『なかった、なかった(と言うなら)証拠を出せ』。じゃあ、こっちは、 『あった証拠を出せよ』と。
(韓国人は)『ない。日本軍が全部燃やした』と。法的に認められた慰安所のことですから、私は、燃やす必要はないわけですから、そんなバカな話はないし、やっぱり証言者がね、うちの従兄弟のお姉ちゃんが連れ去られたりしたとか、妹が連れ去られたりとか、そういう人、誰もいないじゃな いですか。これおかしいですよ」
藤岡信勝が尤もらしげにに頷きながら聞いている。
井上和彦の言っていることが正しいとすると、法的に株式会社として認められた企業は脱税して作成することとなった二重帳簿を隠す必要はないということになる。法的に認められたとしても、法に触れること、名誉に関わることをしていたなら、その証拠を燃やすなり、廃棄処分するなりの処置を取らざるを得なくなる。
こういった常識的な判断もできない。
藤岡信勝「朝鮮半島から、ただの一人も法廷に証言者がいない」
井上和彦「親族とかね、関係者いないですよね」
田嶋陽子「だって、セック ススレーブにされた人は民間に知られたら、その人はリンチにされたんですよ」
井上和彦「(慰安婦として名乗り)出てきているんじゃないですか。出てきているんじゃないですか」
田嶋陽子「フェニズムということがあって、女性の人権がと言うことを知ってから、みんな勇気を出して出てきたんであって、その前は、この前は、城田さんだって、発言できない。日本人に数万人の慰安婦がいたんですよ。その人たちは誰一人、何て言ったかというと、(綴じた紙を取り上げて)『名乗り出て、国に恥をかかせるな』って。
要するに毎日15人から30人の客を50銭で取らされていた女の人は、そして使い物にならないからと言って、裏に穴を掘って埋められた女の人たちが、そういう人たちが日本に帰ってきて、言えないんですよ。
で、最後にパラオで以って、(周りから一斉に反論が起こる)ちょっと待って。パラオで――」
言論封殺で田嶋の口を閉じさせる。
吉木誉絵「お母さんとか兄弟とかがいるわけじゃないですか。20万人の女性だとしたら、少なくとも50万人から60万人の周りの男性たちが、何で暴動を起こさないのかなって。指をくわえていたのかなっと思って・・・・」
井上和彦「(腕を組んで)そうです。その通り」
二人とも底なしの頭の悪さだが、自分では気づかない。20万人の慰安婦の女性が一つの街、あるいは一つの村に纏まって存在していたわけではないのだから、「50万人から60万人」の親兄弟が纏まって協力して抗議の暴動など起こしようがない。多くの朝鮮人が日本軍を恐れ、一人ひとり息を潜ませていたのである。
以前ブログに利用したが、内務省嘱託員が朝鮮半島内の食料や労務の供出状況について調査を命じられ、1944年7月31日付で内務省管理局に報告した『復命書』には、動員された朝鮮人の家庭について「実に惨憺(さんたん)たる目に余るものがあるといっても過言ではない」 と述べ、動員の方法に関しては、事前に知らせると逃亡してしまうため、「夜襲、誘出、その他各種の方策を講じて人質的掠奪(りゃくだつ)拉致の 事例が多くなる」と分析。朝鮮人の民情に悪影響を及ぼし家計収入がなくなる家が続出したなどの実情が記されているという。
要するに一般的な韓国人は人質的掠奪・拉致を横行させてしまう程に治安の保護を受けていない弱い存在であった。逆に朝鮮総督府とその手下の韓国人官憲は治安を守るどころか、治安を壊し、韓国人を苦しめていた。
田嶋陽子「一つこういう話があるんですけど、韓国人のお父さんが、自分の娘が慰安婦だったということを聞いて、(自分の左側側頭部を手で押さえて)ショックで亡くなったという人もあったくらい――」
吉木誉絵「韓国の警察がそこでは機能していて、日本人は韓国に警察機能を任せていて――」
田嶋陽子「だって、韓国の警察は日本の政府の言いなりですから」――
以前ブログに書いたが、『日本軍に棄てられた少女たち―インドネシアの慰安婦悲話―』 (プラムディヤ・アナンタ・トゥール 著・コモンズ)には暴力によって日本軍に拉致・誘拐され、慰安婦とされた未成年のインドネシア少女が日本軍の敗戦によって故郷に戻って、慰安婦にされていたことが知られると、家族の恥、一族の恥とされ、「ジキジキジュパン、ジョウトウ、ナイデスネ(日本人とセックスした女は汚い)」、「ジキジキジュパンは出て行け」と蔑まれるために名乗ることも身の上を話すこともできなかったという記述がある。
敗戦から確か1970年頃まで、女給がホステスと名を変えても、自身の職業を恥ずかしいものとして隠さなければならなかった。市民権を得て、クラブのホステスをしています、キャバレーのホステスをしていますと名乗ることのできる市民権を得たのはそれ以後のことだったはずで、戦後の日本と言えどもそれ程にも個人の権利意識は社会的な抑圧を受けていた。
当然、慰安婦となれば、ホステス以上に隠す必要があっただろうことは想像に難くない。
さらに言うと、個人の権利意識が向上した民主主義社会の今日でも、性同一性障害者は満足に名乗ることができない状況にあり、名乗った場合、時として偏見や差別を受けることもあるのだから、戦前や戦後の暫くの間、慰安婦が名乗ることができなかったということを十分に考えなければならない合理性を備えるべきだろう。
そういった時々の状況に於ける日本人の人権意識、あるいはアジア一般の人権意識を考えずに親兄弟がいながら、誰一人証言者がいない、法廷に立つ者はいないなどと合理性を欠いたことを言う。
だが、このような合理性の欠如は程度の低い連中の各個人的な問題だが、偏った出演者で番組を構成して、頭数に頼んで十分に相手に話させないようにする番組ぐるみの一種の言論封殺は公共放送としての報道機関の名に反し、決して許されることはないはずだ。
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