東国原知事「誇りある地域づくりに向けて」広島市講演に見る真の政治家の姿

2008-10-15 01:50:56 | Weblog

 朝日新聞社の会員制情報ページ「アスパラクラブ」が『週刊朝日』2008年9月2日号の東国原宮崎県知事に関する記事を取り上げている。
記事の題は≪ヒロシマを怒らせた“罵詈雑言”≫(本誌・今西憲之、横山 健 2008年9月12日号)

 内容は広島青年会議所の例会で89.5%という驚異の県民支持率を誇る地方の星(とは書いてないが)東国原英夫・宮崎県知事(50)が講演を依頼された。テーマは「誇りある地域づくりに向けて」

 日本の誇る地方の星東国原にはふさわしい、ぴったりのテーマと言える。<3日で定員がいっぱいになるほどの人気ぶり>と書いてあるから、入場者を募集したところ、3日目で定員数を満たしてしまったということなのか。聴衆は約500人。国や地方自治体などが大量動員をかけて参加者を確保していた小泉内閣のタウンミーティングとはわけが違う。タウンミーティングでは質問者自体も質問内容共々前以て依頼しておいた“サクラ”であった。今回は正真正銘の期待の星、東国原知事のお出ましである。

 ところが、“漫談”のように始まった講演の冒頭が聴衆の眉を顰めさせたという。“漫談”で入ったということなら、肩書きは東国原英夫・宮崎県知事の姿を取りつつ、お笑い芸人そのまんま東の姿を取ってまずは聴衆に対面したということなのだろう。

 但しお笑い芸人そのまんま東を先ずは演じたということなら、聴衆の眉をひそめさせたのでは自らの持つ姿に対する不忠実を示すものであろう。笑わせ、愉快な思いをさせてこそ、お笑い芸人たる自らの才能に忠実であったことになる。

 問題の冒頭部分――。

 「宮崎で飛行機に乗ろうとしたら、どこにも飛行機がない。空港の人に聞いて、『あれですよ』と教えてもらったら、めちゃめちゃ小さなプロペラ機」

 「飛行機に乗ったら、座席は狭くて、乱気流に巻き込まれて、スチュワーデスがキャーと悲鳴をあげて、私もその時は非常に恐怖の思いでした」


 「誇りある地域づくりに向けて」だとかの高邁な内容をテーマとした講演のお招きに与って宮崎─広島間を55分で結ぶ日本エアコミューター(JAC)便に乗って、東国原宮崎県知事だかお笑い芸人そのまんま東だかが宮崎から広島までわざわざお出ましになった。

 普段大型ジェット旅客機しか乗り慣れていなかったのだろう。だから、「めちゃめちゃ小さなプロペラ機」と比較対照的にお笑いのネタにすることができた。

 インターネットで調べてみたら、日本エアコミューターはJAL系列で、座席数74席のQ400(DASH8-400型機)11機と座席数36席のSAAB340B型機11機(共に2008年10月現在)を保有していて、本社所在地は鹿児島県霧島市溝辺町麓787-4(鹿児島空港内)。支店・駐在所等が大阪国際(伊丹)空港、新千歳空港、松山空港、出雲空港、福岡空港、奄美空港等にあると言うことだから地方都市間を空の便で結ぶ役目の航空会社なのだろう。

 それまでは国産旅客機YS-11型機(64席)を運行させていたが、2006年9月に退役したという。

 多分東国原英夫は宮崎県知事になっても東京にしか目を向けていなかったのだろう。橋下徹が大阪府知事に選挙に立候補・当選してからは東京程ではないが、大阪にも目を向けるようになった。東京・大阪といった日本の代表的な都市にしか目を向けていなかったことは記事の次の解説部分が証明している。

 <同便が発着する広島西飛行場は現在、宮崎便と鹿児島便の2路線が運航されているが、空港の運営は赤字続きで、広島県と広島市が年約5億円を負担する状況だ。それだけに広島県と広島市はキャンペーンを張り、宮崎市で原爆ドームなどがデザインされた「ラッピングバス」を走らせたり、宮崎県の旅行会社に広島の観光パンフレットを置いたりするなどして、宮崎県からの観光客獲得に力を入れていたところだったのだ。

 だが、そんな事情も知らない東国原知事は、

 「広島と宮崎なんて、飛行機が飛んでいたんですね。全然、知らなかった」

 とまで言う始末。>――

 一つ言い忘れていた。彼は東京・大阪といった大都市以外に“道路”には最大限の目を向けていた。下ばっか見ていて、ついつい空に目を向けるのを忘れていた。だから、広島と宮崎の間に飛行機が飛んでいたことを知らなかった。知らなかったばかりか、飛行機とは言えない飛行機、彼の認識から言えば、飛行機の部類に入っていなかった「めちゃめちゃ小さなプロペラ機」が使用されていた。

 講演の形で「誇りある地域づくりに向けて」をテーマに「地域」について語るなら、一般的な地域の実情に関しての知識を、例え大まかなものであっても自分のものとしていなければならない。

 彼は広島に講演に出かけるに当たって最初から最後まで東国原宮崎県知事を主たる人格とせず、そのまんま東を主たる人格としていたということなのだろう。
 
 少しでも宮崎県知事を人格としていたなら、多分自分が乗ることになると想像していた大型ジェット機に反して「めちゃめちゃ小さなプロペラ機」を見た瞬間に需要との関係で利便性や規模、価格等を含めた供給が決定する経済の実勢に添った現実を瞬間的に汲み取り、そこに地方空港の多くが赤字経営で四苦八苦しているといった現在の日本社会が置かれている現実、その財政状況にまで目を向け、宮崎―広島西空港間に限った場合の利用状況や経営状況を読み取ろうとしたに違いない。

 1日に何便飛んでいるのか。年間乗客数は。採算は十分に取れているのか。

 だが、東国原英夫宮崎県知事だかそのまんま東だか知らないが、その人間はそういった目の向け方をしなかった。「めちゃめちゃ小さなプロペラ機」が飛んでいることの地方の実情を飛ばしてしまい、自身をそういった実情から疎い場所に置いた。

 「真の政治家の姿」を纏うことができたからこその実情の疎さであろう。

 東国原知事の発言について宮崎県に苦情を申し入れた広島市の対応から行ったことなのだろう、「週刊朝日」が東国原知事に取材し、書面で次のような回答があったという。

 <「宮崎─広島西線については、本県と広島県を直接結ぶ貴重な路線と認識している。講演の中では、“つかみ”のために誇張した表現も使ったが、路線を一層充実させていきたいという思いから発言したものである。今回の発言で広島市や市民のみなさんに誤解を与えたのであれば、非常に残念であり、宮崎─広島西線を活用して、宮崎と広島の交流がより活発になることを期待している」
 広島のみなさん、東国原知事の“フォロー”、伝わりましたか?>――

 講演で「広島と宮崎なんて、飛行機が飛んでいたんですね。全然、知らなかった」と言っていたのである。「路線を一層充実させていきたいという思いから発言したものである」。どこをどう細工したら両方の言葉を結びつけることができるのだろうか。

 このように巧妙な言い回しでスムーズに誤魔化しに入っていけるところがやはり東国原英夫という男から「真の政治家の姿」、それも大物の「真の政治家の姿」を見て取ることができる。

 「不勉強でした、軽率な発言でした」と正直に謝ったりしたら、日本では「真の政治家の姿」から離れることになる。異端として扱われることになるだろう。東国原宮崎県知事は知事のまま、既に国政を舞台とした政治家(=国会議員)に大きく成長したように見える。自民党が立候補に望むだけのことはある。 


(参考引用) 「週刊朝日」September 2, 2008
 東国原宮崎県知事が
 ヒロシマを怒らせた“罵詈雑言”


 本誌・今西憲之、横山 健 2008年9月12日号

 県民の支持率89.5%という驚異の数字を誇る東国原英夫・宮崎県知事(50)が、ヒロシマの人たちを怒らせているという。講演会で口走ったある発言が逆鱗(げきりん)に触れたというのだが──。

 「何しに来たんじゃ」

 ムッとした表情で会場を後にする人もいたという。

 8月20日、広島市内のホテルで開かれた広島青年会議所の例会。東国原知事は「誇りある地域づくりに向けて」をテーマに講演し、芸人から政治家を目指した経緯などを軽妙に語った。

 「ツテがあって知事をお招きすることができました。普段の例会は会員のみですが、知事が来るということで広く一般の方々も参加頂けるようにしたのです」(広島青年会議所の幹部)

 この日集まった聴衆は約500人。3日で定員がいっぱいになるほどの人気ぶりだったという。

 「講演もおおむね好評でした」(別の幹部)というが、聴衆が眉をひそめたのは、“漫談”のように始まった講演の冒頭だった。

 「宮崎で飛行機に乗ろうとしたら、どこにも飛行機がない。空港の人に聞いて、『あれですよ』と教えてもらったら、めちゃめちゃ小さなプロペラ機」

 「飛行機に乗ったら、座席は狭くて、乱気流に巻き込まれて、スチュワーデスがキャーと悲鳴をあげて、私もその時は非常に恐怖の思いでした」

 東国原知事は、ついさっき乗ってきた宮崎─広島間を55分で結ぶ日本エアコミューター(JAC)便をこきおろしたのだった。

 同便が発着する広島西飛行場は現在、宮崎便と鹿児島便の2路線が運航されているが、空港の運営は赤字続きで、広島県と広島市が年約5億円を負担する状況だ。それだけに広島県と広島市はキャンペーンを張り、宮崎市で原爆ドームなどがデザインされた「ラッピングバス」を走らせたり、宮崎県の旅行会社に広島の観光パンフレットを置いたりするなどして、宮崎県からの観光客獲得に力を入れていたところだったのだ。

 だが、そんな事情も知らない東国原知事は、

 「広島と宮崎なんて、飛行機が飛んでいたんですね。全然、知らなかった」

 とまで言う始末。

 講演を聞いていたある広島市議が憤慨する。

 「あの路線は地方間の産業活性化のため、コミューター路線という位置づけで地元自治体同士が協力して運航しているのです。利用促進されたら双方にいいわけでしょう。それを飛行機が飛んでいるのも知らないとか、乗りたくないとか、知事が言う言葉でしょうか」

 実際、広島市は、今回の知事発言について宮崎県に苦情を申し入れている。

 「発言は、せっかく広島と宮崎で協力して観光を推進しているのに、水を差すようなものです。あれでは飛行機に乗る観光客も不安になるでしょう。知事は聴衆を喜ばせるつもりで言ったのだと思いますけど、最後まで何のフォローもなしではこちらもカチンと来ますよ」(広島市幹部)

 さて、当の知事はどう考えているのか。本誌の取材に書面でこう答えた。

 「宮崎─広島西線については、本県と広島県を直接結ぶ貴重な路線と認識してい
る。講演の中では、“つかみ”のために誇張した表現も使ったが、路線を一層充実させていきたいという思いから発言したものである。今回の発言で広島市や市民のみなさんに誤解を与えたのであれば、非常に残念であり、宮崎─広島西線を活用して、宮崎と広島の交流がより活発になることを期待している」

 広島のみなさん、東国原知事の“フォロー”、伝わりましたか?


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1 コメント

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Unknown ()
2008-10-15 02:22:35
広島市民ですが、その通りですからね。
飛行機の機体は小さい、便数は少ない。
間違ったこと言ってないし、みんなそのことはよく知っている。
広島県知事は、財政のこともあるしもともとの約束(空港をよそに作ったら、旧 空港・現 飛行場は廃止する)もあるしで廃止したいようですが、
市や商工会議所は、頑として首を縦に振らない。
だから、今、キャンペーンを張っている。
効果があるかどうかは、疑問ですが。
宮崎県知事のPRのVTRも、街角のビジョンによく映ってますよ。
だいたい、東国原知事の講演のあった日のニュースは、みんな 知事の「郷土を思う熱意と行動力」に刺激を受けていたし、自分らの県知事(自身の後援会のカネの問題で2回辞職勧告を受けてるのに、知らん顔のバカ知事)と比較して 「あんな知事だったらいいのに!」の意見の方が9割方でしたが。
ほんの一部の、言葉の端を取り上げて大騒ぎするような、バカ議員の考えが 広島市民の考えだと思われると非常に迷惑だし、無礼ですよ、あなた方が!!
売国朝日も、貴方も ろくに現地の声も取材も調べもせず 言いたい放題、書きたい放題。
まったく地方に目を向けてないのは、どちらでしょうね。
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